ZIPANG TOKIO 2020

ZIPANG TOKIO 2020「自然とともに!建築家 藤森照信建築作品

 ラ コリーナ近江八幡「回廊」。ここは、サンタフェ⁉それともコスタデルソルか⁉ここではきっと、遊びの天才子供たちは影を踏まずに片足飛びをしたりして・・・色々な遊びを発見するに違いない。そんな気持ちにさせてくれる空間である。

 夏の暑い盛りはきっとこの場所がベストポジション。草屋根が強い日差しを吸収し、風は好んでここを通り抜けるに違いない!ここには沢山の風鈴を吊るしてみたい。一人一人が願いを込めて・・・

「本社」

「ショップ&カフェ」

 栗林の中に居るような木のぬくもりが感じられるカフェ
焼きたてのカステラや、カステラと同じ新鮮な「たまご」をつかった オムライスが注目!

 「カステラショップカフェ」栗の森が癒してくれる。つい触れたくなる。木はいつまでも生きているのだ・・・

 「草屋根上空からの眺め」こんな風に大凧に乗って大空を登ってみたい!
あ、そうか凧揚げねえ・・・きっと男の子は喜ぶかも~遠江・中田島砂丘の凧揚げの様に・・・畦道が大木に見えてきた。大河にも見える。我々は地球という大きな木に支えられているのだ!

 近江八幡「たねや」全景 回廊・ショップ・本社・あぜ道・田んぼ・棚田・モニュメント (設計 藤森照信)

 たねやグループが未来に向けてどのような夢を描き、自然や世界とどのようにつながろうとしているのか。 一粒のどんぐりから始まったラ コリーナ近江八幡の物語。

この物語は「2011/07/12 15:48」から始まりました・・・ラ コリーナ近江八幡「起工式」このところ建築家 藤森照信氏の関係する展覧会や講演会の紹介が続いております。現在開催中の展覧会東京・森美術館「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」での監修。

 左は銅葺き屋根の「本社」と右は草屋根のショップ、手前には青々とした江州米の田んぼが広がる。「ササニシキ?」「コシヒカリ?」、きっと「日本晴れ?」

 そういえば以前に訪ねた瀬田の唐橋から信楽へ抜ける街道の田んぼで、農家の方が「砂地でとれる米が一番美味しい、この辺りの米はほとんどが京都の寿司屋に買われていくんだよ」と言ってたのを思い出した。

それでは最初は、滋賀県、近江商人の故郷「五個荘町」「日野町」「長浜」と並ぶ「近江八幡」の『森とお菓子と、これからと。たねやグループは、自然と共に。』がキャッチフレーズ

「たねや」ご当主 山本昌仁語録

 写真を見ると「なるほど!」とうなずけます。子供も大人もみんなが楽しそうですね!

 みんなで力を合わせ・・・努力の結晶、でも実るまでは油断大敵!また刈り入れが楽しみ
勿論、おやつや汗を流した後のみんなで一緒に食べる食事タイム!何を食べても美味い!

 秋にはきっとこうなるのでしょうね~この気持ちをいつまでも忘れたくないものです。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

「土塔」大地の恵みのモニュメント!まさに、陽の光と水と空気と大地。恵の地ですね~ヒポクラテスの意見も聞いてみたい・・・

 屋根一面が芝におおわれた、ラ コリーナ近江八幡のメインショップ。 広々とした吹き抜け空間の1階に和・洋菓子の売場が並びます。和菓子売場では、たねやの全商品を取り揃えるほか、職人が目の前でお菓子を仕上げる

 「できたて工房」を併設。 バームクーヘンを使った新商品が登場する洋菓子売場は、クラブハリエ最大のバームクーヘン専門店に。また、2階のカフェでは自然を感じる開放的な空間で、焼きたてバームクーヘンをお楽しみいただけます。 ユニークなデザインと栗の木が印象的な建物は、建築家・建築史家の藤森照信氏によるもの。 従業員はじめ協力業者のみなさん、地域の学生と共に創りあげました。

バームクーヘン専門店B-studio最大のショップ・イン・ファクトリー。

 天井の黒い点は炭。 音の反響を抑える効果がある。足場があるうちに藤森照信氏と従業員が一緒に炭つけを行った思い出の空間。

 藤森照信氏のオリジナルデザインの椅子が並びます。

フードガレージの手前にある回廊の草屋根を見ると何故かホットする・・・

補足資料

■栗

 ブナ科。 日本各地のブナ、ミズナラ、カエデ等と混じって山地に分布する。木理は粗。比重は0.60。直径60cm。年輪がきわめて明瞭な環孔材。
まれに直径1.5mくらいに達するものものがあるが、大径木が少ないため 価値は高い。弾力性に富み、狂いが少ない。加工しにくいが、割裂は容易。乾燥は困難。耐朽・保存性はきわめて高く、水湿に耐える。まれにフェンス の材料として使われる事もあり耐久性はかなり高い。

 削って磨きをかけるとミズナラのような雰囲気があるが、ミズナラより優しく素朴な感じがする。量が少ないので一般的にはあまり使われていないが、日本独特の数寄屋の世界ではとくに好まれる。上り框や床柱など装飾性のあるところに使われる。またクリと言えば、誰もが知っている秋の木の実の代表選手。縄文時代の昔から、トチの実、クルミ等と共に大切な食糧である。

 梅雨の頃(6~7月)、独特の甘い 香りを放ちながら花がさき、新しい枝に雄花と雌花が一緒につく。黄色味がかった白色の雄花は、軸にたくさんついて、10~15㎝くらいの長さの モールのようなものがフサフサと上向きにつく。その軸の基部の方に小さな雌花が2~3ヶつく。クリは、虫媒花で雄花から雌花へは虫等が媒体になる。

 花が終る頃、雄花はバラバラと落ちてしまい、雌花は実を熟す準備に入る。果実は、9~10月に成熟。ご存じの様に鋭い針で覆われたイガ(殻斗)の中に1~3ヶのクリの実がある。始め緑色だったイガは徐々に茶色に変色し、熟すとイガが割れてクリの実が出る。

「世の人の 見付けぬ花や 軒の栗」   芭蕉
「よすがらや 花栗匂う 山の宿 」   正岡子規
「栗のつや 落ちしばかりの 光なる」  室生犀星

■大丸旅館外湯 ラムネ温泉館

 大丸旅館外湯「ラムネ温泉館」は小生とは大変に縁が深く、今から23年程前大分県直入町役場から連絡があり、用件は町営の天然温泉施設「御前の湯」をつくるにあたり浴槽は檜風呂にしたいのでアドバイスをしてほしいとの事でした。そしてその後、檜風呂の設計協力と、制作を行いました。

 その折に宿泊した世界屈指の炭酸泉として有名な大分・長湯温泉の大丸旅館さんが500メートルくらい離れたところに造られたのが大丸旅館外湯「ラムネ温泉館」、偶然にも建築家 藤森照信氏の設計であることがわかり、23年ぶりに大丸旅館の女将さんに電話をしてご協力いただくことになりました。

 長湯温泉は、もともと湯原温泉といっていました。湯原温泉の歴史は「風土記」の昔(8世紀半ば)に、『二つの湯の川あり、神の河(寒川、のちの芹川)に会えり』と記されているその「湯の川」にさかのぼると考えられています。

待合室に入口を構える、ラムネ温泉館併設の美術館です。 当温泉ご利用のお客様は無料でご入場いただけます。

美術館

美術館

これは、何でしょう?会場で藤森先生に聞いてみて下さい。

■温泉

 世界屈指の炭酸泉「長湯温泉」を、「これぞ、ラムネの湯だぜ」と世界に紹介してくれたのが文豪・大仏次郎先生です。 昭和9年のことでありました。

 あれから何回も何回も昼と夜が訪れて70年― 相変わらず温泉はコンコンと湧き続け、静かに“その時”が来るのを待っていました。

 そして遂に“その時”がやって来ました。 長湯をこよなく愛す作家の赤瀬川隼、原平先生を通じ、東京大学の藤森照信先生と世界屈指の炭酸泉が奇跡の出会いを果たしたのです。 2005年8月5日 開館

 藤森先生を通じ、路上観察学会の先生方(写真左から:藤森照信先生・嵐山光三郎先生・松田哲夫先生・南伸坊先生・林丈二先生・赤瀬川原平先生)のお力添えも賜りながら(ロゴ・キャラクターデザインは南伸坊先生に手掛けていただきました。)、無事世界に誇るべき長湯温泉『ラムネ温泉館』が誕生。

■建築について(長湯温泉大丸旅館:当時のインタビュー記録より)

「ラムネ温泉館の建築を手掛けていただいたのが、東京大学名誉教授で建築家の藤森照信先生です。
ラムネ温泉館に宿る“藤森哲学”をご紹介します。

今より少しだけお若い頃の写真です。

藤森 照信(ふじもり てるのぶ)

 東北大学工学部卒業後、東京大学大学院にて近代建築、都市。画史を専攻。全国各地で近代建築の調査・研究にあたる一方、赤瀬川原平氏らと「東京建築探偵団・路上観察学会」を結成。建築作品として「神長官守矢史料館」「タンポポ・ハウス」「ニラ・ハウス」「一本松ハウス」などがある。日本都市計画学会賞、日本文化デザイン賞、日本芸術大賞、日本建築学会賞受賞他。

う~む…。 焼き杉と漆喰、そして屋根には手捻りの銅版が張られ、頂上には日本の祝いの象徴冬雪に耐えるはずの骨太の松の木がそびえるのであります。

屋根には、自然環境と建築の対立的関係を調停する力があります。
工業製品の中で一番、自然環境に合うものを探して見つけたのが銅板でした。
銅板は手で曲げることができる、風化しても美しい、のふたつの性格から自然素材に近いのです。 「焼き杉」は杉の表面を炭化させることで腐食を防ぐ工法です。間を開けて「漆喰」を塗ることで横の歪みが吸収され、白黒のコントラストで雨の日も沈まない印象になっています。

 古来アジアで植物の代表とされていた松は、厳しい環境に強いし生命現象や長寿のシンボルとされ大切に扱われてきました。そのようなことから当館の屋根には“ラムネ温泉が長く栄えるように”と祈りを込めて塔のてっぺんに松を植えました。」

  実は、長湯温泉「大丸旅館」の女将のご主人は、観光カリスマ・地産地消の提唱者でさらに旅行作家、さらにさらに「荒城の月」で有名な竹田市の現役の市長・首藤勝次氏なのです。
23年ぶりにHPを拝見して「えぇ、あの時の方が・・・」と声を発したまま、後の 声が出ませんでした。

「多治見市モザイクタイルミュージアム」

 施釉磁器モザイクタイル発祥の地にして、全国一の生産量を誇る多治見市笠原町に誕生したモザイクタイルミュージアムは、タイルについての情報が何でも揃い、新たな可能性を生み出すミュージアムです。

 設計は、独創的な建築で世界的な評価の高い建築家、藤森照信氏。タイルの原料を掘り出す「粘土山」を思わせる外観は、地場産業のシンボルとして、なつかしいのに新鮮な、不思議な印象を与えます。

 タイルは、単調な壁や床を彩り、楽しい景色を創り出すことで、ひとやまちを元気にします。その魅力を知っていただくために、膨大なタイルのコレクションを基盤に、この地域で培われてきたタイルの情報や知識、技術を発信。さらに、訪れた方々がタイルの楽しさに触れ、タイルを介して交流して、モザイクタイルのように大きな新しい絵を描いていける、そんなミュージアムを目指します。

ライトアップも美しい

 すり鉢状の緑の斜面に立ち上がる土の壁。 見たことがないのになつかしい、
藤森建築のミュージアム。

 すり鉢状に傾斜した地面と、そこに立つ土の壁。タイルの原料を掘り出す採土場をモチーフにモザイクタイルミュージアムを設計した藤森氏は、「建築物を構成する素材の中で最も根源的なものは何か」という問いに、「土」と答えています。

 タイルもまた、土を焼成して作る建材のひとつ。土という原点を形にすることで、そこから生まれ、人の暮らしを彩ってきたタイルの変幻自在な魅力と、これからの豊かな可能性を示唆します。
(藤森照信 ちくまプリマー新書166『フジモリ式建築入門』筑摩書房、2011年)

最上階は青空をそのまま見ることができる、太陽が頂点に昇るとレーザー光のような光がモザイクタイルを宝石の様にきらめかせる。

多治見の夏は暑いのがいい・・・こんな時は「澤千」の鰻が食べたくなる。

 冬になると思わぬ贈り物が天から舞い降りてくる。ここは天と地の境界線にある・・・自然は素晴らしい・・・

不思議、不思議・・・建物は雪に覆われない。

様々なモザイクタイルを見学できる。

これまで見たこともないような珍しいモザイクタイルがきれいに収納・展示されている。

珍しいというよりもビックリするこれで街を走ったら大注目!

多治見市モザイクタイルミュージアムでは、タイル絵セミナーも開催

協会設立35周年記念 インテリアフェスティバル2018

◆第1部◆ 記念セミナー(14:30~16:00)
第1部~第3部すべて同じ会場です(ホテルメルパルクNAGOYA)

テーマ「自然材料を生かした建築の作り方」

 夕陽に映える多治見市モザイクタイルミュージアム

屋根一面が芝におおわれた、ラ コリーナ近江八幡のメインショップ。
百本以上もの栗の木を使った店舗。栗林の中に居るような木のぬくもりが感じられる空間です。
栗の木や栗と聞くと、岐阜県中津川市や付知町を思い出しますが、その話はまた改めて。

ラムネ温泉館の大浴場には、42℃の内湯と32℃の外湯(露天)があります。
家族風呂にも42℃と32℃の源泉がそれぞれ湯船に湛えられ、雰囲気の良い中庭を眺めながらゆっくりと過ごすことができる。

講師:藤森照信(ふじもり てるのぶ)氏/建築家・建築史家

 講師プロフィール: 昭和21年長野県生まれ。東北大学建築学科卒、東京大学大学院博士課程修了。東京大学生産技術研究所教授、工学院大学教授を経て、現在は、東京大学名誉教授、工学院大学特任教授、東京都江戸東京博物館館長。専門分野は建築史。 45歳より設計を始め今に至る。近作に、「モザイクタイルミュージアム」(多治見市)、「草屋根」「銅屋根」(近江八幡市、たねや総合販売場・本社屋)、「せん茶」(水戸芸術館「藤森照信展」茶室)、「樹の茶室」(デンマークOrdrupgaard Museum)、「十字架教会」(第16回ヴェネチア国際建築展 ヴァチカン館)他、史料館・美術館・住宅・茶室など建築作品多数。