デザインとは

 デザインの歴史やデザインの基本的な法則など、デザイナーでなくても知っておくと役立つ内容があります。メールを書くこともデザインって考えたことありましたか?

デザインとは?アートとは?

 まず「デザイン」とは何でしょうか?
「デコレーション」「美しいもの」「問題解決」「治療」「用途にあわせて形をつくるもの」など様々な意見が参加者からあがりました。

 デザインとは何かを考える上で、アートとデザインの違いは何でしょうか?
様々な考え方がありますが、一つの考え方として、アートは、それを作る動機が自分の中にあり、デザインは、それを作る動機が自分以外の他者(違う言い方をすれば社会)の中にある、という考え方があります。

 そして、ただ形をつくるだけではなく、対象について深く分析した上で形に落とし込むことがデザインである、と考えます。

デザインの歴史

 デザインの語源は「計画を記号に表す」という意味のラテン語のdesignare(デジナーレ)です。デザインという言葉が日本に入ってきた当初、 日本語では「意匠」などと訳されていて、その意味が正確に反映されていませんでした。またフランスでは英語をあまり使用しないようにするお国柄、当初、デ ザインに代わる言葉が検討されたものの、一語で表すことはできなかったそうです。そして英語でいうstylingとconceptにあたる二語で表現した そうで、そのことからもわかるように、単に表面にある”もののかたち”をデザインと呼ぶのではなく、計画やコンセプトを基にかたちをつくる、という意味 が、もともとのdesignという言葉に含まれているんですね。

 そもそも、なぜデザインという考え方が生まれたかという歴史を紐解くと、19世紀にイギリスで起きた産業革命まで遡ります。産業革命によって大量生 産が始まり、これまで職人が手仕事で行っていたものづくりが、機械に取って代わられるようになりました。最初は作るものの設計図がきちんとしていなかった ため、当時の流行を模倣しただけでクオリティーも低かったといいます。そんな状況に対し、このままでは世の中に汚いものが溢れてしまうという危機感を覚え たウィリアム・モリスという人が、最初の設計=デザインが重要だと考えました。彼は機械生産そのものに反対するという点で、時代錯誤の部分もありました が、彼の生み出したデザインという思想は後々引き継がれていくことになりました。その当時、いわゆる絵画・彫刻などはpure art(純粋芸術)、デザインはapplied art(応用芸術)と呼ばれていました。アートのテクニックを応用したもの=デザイン、という考えであったことがわかります。

グラフィックデザインとは?

 昨今ではデザインのカテゴリーはボーダーレス化していると言われています。ただ今回は便宜上、プロダクトデザインとグラフィックデザインを分けて考 えます。この2つの違いとして、プロダクトデザインは立体、グラフィックデザインは平面であると言う人が多いと思うのですが、実は、プロダクトデザインは 目的がそれ自体を使用することであるのに対し、グラフィックデザインは目的がそれによって何らかの情報を伝えることである。

 何らかの情報を伝えることがデザインであるとするなら、つまりデザインという言葉をすごく広い意味で使うなら、誰かに何かを伝えるとき、いつでもデ ザインが行われている、と言えそうです。そうすると、メールを書くのもひとつのデザインと言うことができます。メールはそれによって相手に何らかの情報を 伝えることが目的です。思いついたまま文章を羅列して改行なしに書いたら、わかりにくいですよね。例えば見出しに丸印をつけたり、改行を入れたり、普段自 然にやっていること、これも一つのデザインです。問題はそれに意識的になるかどうかということなのですが、良いデザイナーはわかりやすいメールを書く、という人もいるくらい、相手にどれだけわかりやすく伝えるかは、デザインを考える上で一つのポイントとなる。