ティンゲリー

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 ジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely, 1925年5月22日 – 1991年8月30日)はスイスの現代美術、画家、彫刻家である。

 彼は廃物を利用して機械のように動く彫刻を制作することで知られており、キネティック・アート(動く美術作品)の代表的な作家である。またダダイスムの影響を濃く受けており、第二次世界大戦後のフランスで誕生した美術運動、ヌーヴォー・レアリスムのメンバーでもあった。代表的なシリーズに「メタメカニック」(metamechanics) が、その他「メタ・ハーモニー」シリーズ、「死の舞踏」シリーズ、「哲学者」シリーズなどがある。

 ティンゲリーはスイスのフリブールに生まれ、バーゼルで美術を学んだ。この時期に彼はクルト・シュヴィッタースに影響を受けて、ダダイスムやジャンク・アートへの関心を高めた。

 1950年代半ば以降はパリで活動し、イヴ・クラインやニキ・ド・サンファルらの美術家たちと知り合った。

 1950年代末から、捨てられた家電や機械の一部を組み立てて動く作品を制作し、1959年には「メタマティック」(自動デッサン機)シリーズを発表している。

 1960年にはヌーヴォー・レアリスムの結成に関わり、ニューヨーク近代美術館で開催された展覧会では不器用に動いて音を立て最後は自ら炎上して崩壊する巨大な機械『ニューヨーク賛歌』を出展した。

 1971年には長年同居してきたニキ・ド・サンファルと結婚1977年にはバーゼルに『噴水の劇場』(ティンゲリーの噴水)を制作。1982年にはポンピドゥー・センターに隣接するストラヴィンスキー広場に、『自動人形の噴水』をニキ・ド・サンファルと共同制作するなど、各地にパブリックアートを設置した。

 1984年には日本の高輪美術館(後のセゾン現代美術館)に『地獄の首都 No.1』の制作を依頼され、来日している。その他、ドイツのデュースブルクやフランス・シノン城にニキ・ド・サンファルと共同制作で作品を設置しているほか、アメリカのノースカロライナ州シャーロットに『La Cascade』という名の巨大作品を設置している。

 ティンゲリーは1991年にベルンで死去した。1996年10月にはバーゼルにマリオ・ボッタの設計で「ティンゲリー美術館」が開館し、彼の動く作品群が展示されている。


■ティンゲリーの噴水

 ティンゲリーの噴水あるいはタンゲリーの噴水(‐のふんすい 独: Tinguely-Brunnen)は、スイスの現代彫刻家であり、画家でもあるジャン・ティンゲリーによってバーゼル市立劇場Stadttheaterの前庭に作られた噴水状の彫刻である。正式名称は謝肉祭の噴水(独: Fasnachts-Brunnen)であり、単にカーニバル(独: Carnaval)と呼ばれることもある。1975年から1977年にかけて旧バーゼル市立劇場の舞台のあった場所に制作され、バーゼルのミグロス五十周年の記念に贈られた。

 ひとつの大きなプール状の水場に十の異なる機械式の彫刻(部品には旧市立劇場の舞台装置や小道具用いられている)が設置されており、それらが電気によって駆動することで様々な様相の噴水を作り出している。これらの機械式の噴水は、ジャン・ティンゲリーにとっての典型的な十の「水遊び」を表現している。
噴水に見られる機械式の彫刻は、以下のとおりである:

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劇場の顔 dr Theaterkopf – der Theaterkopf
糸紡ぎ d’Spinne – die Spinne
グラグラ dr Waggler – der Wackler
噴水 d’Fontääne – die Fontäne
スプラッシュ(水しぶき) dr Spritzer – der Spritzer
ザウザー dr Suuser – der Sauser
ヴェーデル dr Wäädel – der Wedel
チャプチャプ dr Schuufler – der Schaufler
笊(ザル) s’Seechter – das Sieb
フルート dr Querpfyffer – der Querflöter