映像資料の読み方

■映像構成を読み解く力 27 28

▶映像資料の構成と類型を知り、様々な映像資料を実際に視聴して、その読み解き方を学ぶ。

 あらゆる宣伝や広告、広報活動、政治活動はプロパガンダに含まれ、同義であるとも考えられている。利益追求者(政治家・思想家・企業人など)や利益集団(国家・政党・企業・宗教団体など)、なかでも人々が支持しているということが自らの正当性であると主張する者にとって、支持を勝ち取り維持し続けるためのプロパガンダは重要なものとなる。対立者が存在する者にとってプロパガンダは武器の一つであり、自勢力やその行動の支持を高めるプロパガンダのほかに、敵対勢力の支持を自らに向けるためのもの、または敵対勢力の支持やその行動を失墜させるためのプロパガンダも存在する。

 本来のプロパガンダという語は中立的なものであるが、カトリック教会の宗教的なプロパガンダは、敵対勢力からは反感を持って語られるようになり、プロパガンダという語自体が軽蔑的に扱われ、「嘘、歪曲、情報操作、心理操作」と同義と見るようになった。

 またプロパガンダを思想用語として用い、積極的に利用したウラジーミル・レーニンとソビエト連邦や、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)とナチス・ドイツにおいては、情報統制と組み合わせた大規模なプロパガンダが行われるようになった。そのため西側諸国ではプロパガンダという言葉を一種の反民主主義的な価値を内包する言葉として利用されることもあるが、実際にはあらゆる国でプロパガンダは用いられており、一方で国家に反対する人々もプロパガンダを用いている。あらゆる政治的権力がプロパガンダを必要としている。

 なお市民的及び政治的権利に関する国際規約は、戦争や人種差別を扇動するあらゆるプロパガンダを法律で禁止することを締約国に求めている。

■真珠湾攻撃事例 

▶日本側・米国側の見方により全く表現も異なる。映像合成はされていなかったのか。

 この映像を少し注視してみると、果たしてこのような状況下で撮影できたのか。また戦闘機の背景と実際の天候は果たして同じであったか。米国の戦艦が炎上しているがリアル性にかけていないか。など疑問が多い。これは、米国によりドキュメントと映像と臨場感を表現するための合成がされていたのである。また、ナレーションでより当時の様子を見る側に再確認させている。

■アメリカの敵・日本を知る―アメリカ製作フィルム Part2″Know Your Enemy -Japan”

■撮影の視点をみるとケネディの位置とカメラワークに不自然さが見える。実在しないケネディの映像は完全にデジタル合成の映像である。(Forrest Gump JFK “I Gotta Pee” Scene)カメラアングルとガンプそしてケネディの位置を確認すると、カメラの映像には映る筈がないという矛盾も見えてくる。

 アイルランドの西の端、大西洋に浮かぶこの3つの島をまとめてアラン諸島と言う。アイルランドに旅する人なら誰しも名前を聞いた事があるはずだ。その名が初めて国外に知られるようになったのは、ドキュメンタリー映画“Man of Aran”(1934年、邦題:『アラン』)がきっかけだっただろう。内容はというと、単にアラン諸島に住む人々の生活を映しているだけなのだが、これが凄絶の一語に尽きる。アイルランドの西部は往々にして、やせた岩だらけの大地に容赦ない潮風が吹きつけるという、人間が生きるためには非常に厳しい環境だが、アラン諸島の自然はその中でもおそらく最悪だろう。猛々しい海に囲まれた、猫の額ほどの土地は石だらけ、耕そうにも耕す土がない。しかし人々は、生きるためにその石を掘り出し続ける。しかし、そうして確保した貴重な土も、油断しているとすぐに絶え間なく吹きつける風と、年間200日以上降ると言われる雨に奪われてしまう。

映像

 ここで言いたいのは、各場面天候はその時撮影したのか。べつの撮影の天候が含まれている。リアルな場面だが、カメラアングルは1台のみ。しかし、カメラの視点は、下から海岸を見上げる方向に撮影されたり、上空から三人をとらえていたり、近くで海藻を持つ人を撮影している。これは、再度場面構成しているのである。いわゆるトリック技法である。時間と場所との矛盾がみえてくる。1934年撮影