国内消費の現状

■国内消費の現状

日本はたくさんの遺伝子組換え植物を輸入し、消費しています

 日本は遺伝子組換え植物の世界最大の輸入国とも言われます。輸入している主要農作物の半分程度が遺伝子阻換え品種です。多くの人が気づいていないかもしれませんが、日本の食は遺伝子組換え植物抜きには成り立ちません。

■食料自給率と農作物の輸入

 日本の食料自給率はカロリーベースで40%前後と言われます。つまり、60%を輸入に頼っています。年により異なりますが、ここ数年、日本はカロリー源になりやすい穀類(トウモロコシ、小麦、コメ)、豆類(主として大豆)、ナタネなどの農作物を合わせて3200万トン程度海外から輸入しています。このうち、世界的に遺伝子組換えが進んでいるトウモロコシ、大豆、ナタネについて輸入の現状とその使用について見てみましょう(データは2010年のものです)。

 トウモロコシ(主としてデントコーン)は年間約1600万トンのはぼ全量を輸入し約1200万トンが家畜の飼料、残りがスターチなどの食品や工業用に使われます。9割以上を米国から輸入していますが、米国での遺伝子組換えトウモロコシの作付け割合が90%近いことから単純に計算すると日本が輸入しているトウモロコシは少なめに見積もって1200万トン程度が遺伝子組換え品種と推定されます。大豆は350万トン程度を輸入し、国産は22万トンです。250万トンが搾油(植物油への加工)に使用され、残りが豆腐、味噌、納豆などの主に表示義務のある食品へ利用されます。米国、ブラジル、カナダの3カ国にほぼ輸入を依存しています。これらの国での遺伝子組換えの割合は90%前後です。組換え大豆は、ほぼ搾油用に限って輸入しているとすると、約220万トンが遺伝子組換え品種と計算されます。ナタネは230万トンほぼ全量を輸入し、そのほとんどが搾油に使われます90%以上をカナダに依存し、カナダでのナタネの90%は遺伝子組換え品種であることから、190万トン程度が遺伝子組換えということになります。したがって、日本は、トウモロコシ、大豆、ナタネを合わせると年間約1600万トンの遺伝子組換え植物を輸入していることになり、日本が輸入している農作物の約半分を占めるという計算になります(内訳は異なりますが2012年も約1600万トンという試算があります)。カロリーベースでは約25%が遺伝子組換え植物という試算もありますが、米国産の牛肉の多くも遺伝子組換えトウモロコシによって育てられていることを考えれば、実際の数値はもっと大きくなるでしょう。

 このように、日本の食は遺伝子組換え植物抜きには成り立たなt)のが実情ですが、多くは飼料に使われたり(家畜飼料の非常に多くが組換え植物と考えられます)、加工されて消費されるので、消費者には実感がないようです。それでは、どのような食品に加工されるのでしょうか?最も多いのは植物油でしょう。ナタネ油と大豆油を合わせると日本で消費される植物油の60%程度になります。それぞれの原料が遺伝子組換え品種である率は90%程度に達すると考えられるので、日本で消費される植物油の半分以上が遺伝子組換え植物に由来すると推定できます。植物油はてんぷらなどの揚げ物に使われるだけでなく、マヨネーズ、マーガリンを初めとするさまざまな食品原料に使われます。したがって、遺伝子組換え食品(遺伝子阻換え植物を原料とした食品)を消費していない日本人はまずいないと考えられます。しかし、次に述べるように植物油には表示義務がないので多くの消費者はそのことに気づきません

▶異性化糖(コーンシロップ)

 清涼飲料水の原材料に、異性化糖あるいは果糖ブドウ糖液糖といった表示が見られます。これらの糖類は、砂糖とは異なり多くの場合、デンプンを原料に作ります。砂糖のように固体での保存が難しいこともあり、異性化糖そのものを店頭で見かけることはありませんが、砂糖より価格が安いこともあり、飲料などには良く利用されます。トウモロコシのデンプン(コーンスターチ)は、異性化糖にも加工され、私たちは日常的に消費しています。