保育園・幼稚園・複合施設の環境園の事例

 地域ミュニティーの衰退や少子化は、こどもの地域ミュニティー、あそび集団の縮小、解体を促している。そのため伝統的なあそび方法の伝承ができなくなり、外であそぶ意欲の低下にもっながっている。欧米では地域スポーツクラブ等のコミュニティー施設での地域活動が行われているが、我が国では整備が遅れており、学校での活動が放課後の多くの時間を占めている。

 さらに幼児のライフスタイルが大人のライフスタイルに影響され、夜型に移行したため、睡眠時間の減少がみられる。これはこどもの健全な発育に大きな影響を与えていると考えられる。

 このような状況において、幼児施設である幼稚園・保育園の環境の重要性はますます高まっている。脳科学の進化により、8歳までに中枢神経の開発は90%完成することがわかっており、その時期を過ごす幼稚園・保育園のあそび環境が成育環境としていかに重要かがわかる。こどもの健全な成長のためにも、豊かな園庭が必要である。一方、幼稚園・保育園は今や迷惑施設に挙げられ、「こどもの声がうるさい」と批判されることもあるが、こどもが元気にあそべる環境を保障しない国に、将来はない。こどもの成育環境に対する国民の理解を促し、意識を高めるためには、地域運動、国民運動として「こどもが第一の運動」が起こされねばならない。質の高いあそび環境、成育環境の形成とともに、社会システムの形成を同時並行的に行わねばならない。