プリッカー建築賞
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伊東 豊雄
せんだいメディアテーク
坂茂
2011 女川町仮設住宅 宮城県女川町
フランス国立美術館「ボンピドー・センター」
被災地を駆ける
震災避難所に「紙の家」を無償提供
妹島和世、西沢立衛
安藤 忠雄
安藤 忠雄作品集
せんだいメディアテーク
■せんだいメディアテーク
1995年にコンペが行われ
、私たちの案が一等になり、
2000年に竣工した建物
です。コンペ案を提出した段階では透明感があって軽くてモノの存在感がない建築をつくりたいと考えていて、
構造体である鉄骨のチューブ
が力を受けていないように見せたい、透明感のある
光のチューブ
のように見せたいと思っていました。コンペの時点で構造設計者の佐々木睦朗さんが提案したモデルでは、
できるだけ薄くて強いフラットスラブをつくりたいということで、グリッド状のリブを二枚の鉄板で挟んだサンドウィッチパネルを使う計画
にしていました。そしてチューブの構造は、トラスを組んでHPシェルの曲面をつくるという計画でした。ですから、コンペの時点では、ストラクチュアは純粋幾何学の組み合わせで構成されていたのです。
ところが実施設計が進み、現場が始まると、その純粋幾何学だけではうまくいかなくなってきました。
力の流れ方に不均質な状態
が表れたのです。端的にそれが表れたのが
チューブの周囲の床
でした。チューブの周りには非常に大きな力が働くので、格子状のグリッドパターンで計画していたものが
不均質な三角形に割られていった
のです。複雑な力の流れを可視化するパターンとして表れたわけです。
そして現場では、ものすごく大量の溶接が行われました。
その溶接作業をやっていた頃、地元で、
この建築に反対する声が聞こえてきました。
「こんなチューブは止めて、普通の柱にした方が、よはどスぺ−スが広く使えるではないか」と地元の新聞などを通じて言われていました。それはミース的な均質なグリッドの空間にしてしまえ、というのと同じことです。たしかにチューブをやめて、普通の柱を使うことは可能ですが、
チューブのスパンは平均して15m近く
あるし、場所によっては20m近いところもあるので、やはり太い柱と厚いスラブを使うことになります。チューブの中に納めているエレベータシャフトや階段もどちらにしても必要なのですから、決して無駄をやっているわけではないのですが、一般の人から見ると無駄に映ったようでした。そういう状況もあり、当初考えていた存在感のないチューブというものではなくて、
なにがなんでも動かない強いチューブをつくりたいと思いました。
徹底的に力技で交戦しようと思ったんです。
ここで注目して欲しいのは、グリッドで計画していた床が、有機的なチューブを配置した途端に
「東京−ベルリン/ベルリン−東京展」
の波打つ床のように、グリッドが
解体され変形
を始めたことです。純粋幾何学でつくられている全体のボリュームの中に、有機的なものが発生したことで、純粋幾何学が変形したのです。そこには均質であることを合理的だとするシステムに対して、むしろ
不均質なものこそが自然界
を
つくり出している
という、つまり自然本来の姿が表れていると思いました。たとえば、一本の木は全体としてバランスが取れているけど、一本としてシンメトリーな木なんてないですよね。こうして「せんだいメディアテーク」をきっかけに、私は「
もののもつ力
」ということについて考えるようになりました。
■設計プラン
■基礎工事
■竣工
■支柱の構成
■市民の活動空間(図書活動の場・芸術活動の場・憩いの場・話し合い活動の場)
■震災事故状況
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