秋野不矩美術館

■秋野不矩美術館

 丘の上にある美術館までのアプローチ(坂道)を歩いてみてください。常緑樹を中心とした植栽による自然との調和を図るため、たくさんの工夫がなされています。


擁壁のコンクリートブロックには杉板を張り、排水溝には木製の蓋が取り付けてあります。坂道沿いには栗の木の板をしゅろ縄で繋ぎ、木のクサビで柱に取り付けた棚が設けてあります。坂道を照らす街灯は、使い古しの木製の電柱に傘がついた白熱灯を取り付けてあります。

 屋根は長野県諏訪産の鉄平石で葺かれ、外壁はワラと土を混入した着色モルタルと天竜の杉材の板で覆われています。雨どいはヒノキとサワラの半丸太をくりぬいた木製となっています。雨の降る日には、雨どいから、雨が滝のように流れ落ちる光景を見ることが出来ます。

 秋野不矩美術館の最大の特徴は履物を脱いで鑑賞するという点です。
設計者の藤森照信氏は秋野不矩画伯の絵の汚れのなさと土足は似合わないと考え、この裸足になる美術館を設計しました。

 

 展示室内の壁は、漆喰が塗られ、その白い内壁が、作品を引き立たせます。
第1展示室の床には籐ござが敷かれ、さらに第2展示室の床には大理石が敷き詰められ、直に座ってゆっくりと作品を鑑賞することが出来ます。