今後40年かかる言われる福島第一原発の廃炉作業。その第1関門となる「4号機燃料プールからの使用済み燃料取り出し」がいよいよ始まる。万一破損すれば 大量の放射性物質を放出する危険がある、使用済み燃料。ところがそれを収めた燃料プール内には、爆発で生じた大量のがれきが飛散していた! 金属やコンク リート片など、実に500種類にものぼるがれきを、特製の器具で一つ一つ拾い上げるという難しい作業に、いま技術者たちが挑んでいる。難関ミッションはど うやって成し遂げられようとしているのか。知られざる廃炉作業の最前線に密着する。
福島第1原発4号機の使用済み燃料プールに貯蔵されている燃料棒の取り出しが、11月8日にも開始される見通しであることがわかった。
4号機の燃料プールには、使用済み燃料など、1,533体が貯蔵されているが、東京電力は、使用前検査などの手続きが終わり次第、早ければ、11月8日にも燃料棒の取り出しを始める見通し。
4号機の燃料棒は、原子炉建屋を覆うように建設された大型のクレーンで取り出され、当面は、近くにある共用プールという、貯蔵施設で保管されることになる。
4号機の燃料棒は、2014年末までかけて取り出される予定で、取り出しが始まれば、福島第1原発の事故収束に向けた作業は、次の段階に進むことになる。
「原発で使用済み燃料を取り出す場合、通常は位置や状態があらかじめコンピューターに入力されているため、スムーズに作業できます。しかし、福島原発は違 う。燃料プール内にはコンクリート片や金属片など500個余りのガレキが沈んでいる上、燃料棒が破壊されている可能性もあるため、作業員が目視で作業を進 めることになります」(経済ジャーナリスト)
作業員はプールに沈んでいる大量のガレキを避けながら、長さ約5メートル、重さ約300キロの燃料棒を1本ずつキャスクに移動する。それを1年かけて、 1500回以上も繰り返すのだ。これだけでも相当、至難のワザだ。さらに複数の燃料棒が入ったキャスクの重量はざっと100トンにもなる。
地上に運ぶ際、何らかのトラブルでキャスクが傷付いたり、落下したりして燃料棒が空気に触れれば、たちまち即死レベルの放射性物質が放出される。仮に 1500本を超える燃料棒がムキ出しになれば、放出される放射性物質の量はチェルノブイリ事故の10倍。東日本に人が住めなくなるのは間違いない。失敗が 許されない命懸けの「UFOキャッチャー」作戦だ。
規制委の田中俊一委員長も会見で「潜在的に非常に大きなリスクがある。個人的には汚染水以上に心配」と本音を漏らしたが、本当に大丈夫なのか。
原子炉格納容器の設計に携わっていた元東芝技術者の後藤政志氏はこう言う。
「燃料が空気に触れたら作業員の大量被曝は避けられません。燃料をキャスクに移動している時や、キャスクをトレーラーに載せる時など、極めて慎重な作業が 求められる場面で地震などが起きたらどう対応するのか。規制委や東電がトラブルに対してどこまで検討しているかが重要です」
サイエンスZERO「難関!使用済み燃料 取り出… 投稿者 yamato_1121