福島沖セシウム海底分布

くぼみにたまる傾向 kaitei001

海底のくぼみにたまる放射性物質のイメージ(PDFダウンロード)

 東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性セシウムの海底での分布が、東京大などのチームの調査でわかってきた。海底のくぼみや泥がたまっている場所は線量が高い傾向があった。これまでに比べて広域で連続したデータを取ることで、地形との関係が見えてきたという。

 東京大と海上技術安全研究所、金沢大のチームが原子力規制委員会の委託で報告書をまとめた。福島第一原発沖の南北50キロ、東西25キロの範囲で、独自に開発したガンマ線を測る装置を船で引き、同時に音波探査で海底地形を調べた。測定した距離は1千キロに及んだ。

 セシウム137の濃度は海底土1キロあたり平均90ベクレルだったが、沖合4キロの測定では1千ベクレルを超える場所が約20カ所あり、沖合6キロには2千ベクレルの場所もあった。

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 東京大生産技術研究所のソーントン・ブレア特任准教授(海洋知覚システム学)によると、濃度が高いのは段差やくぼんだ場所。岩場に比べ泥がたまりやすく、細かな粒子にセシウムがくっつき高濃度になると考えられるという。原発の南側のほうが高く、事故時の海流の影響とみられる。

また、宮城県の阿武隈川河口から1・6キロ沖と2・5キロ沖でも、1キロあたり1300ベクレルと2700ベクレルの高濃度の海域があった。福島県を南北に流れる川が泥などとともに運んだセシウムがたまったとみられる。台風シーズンを挟んでもほぼ同じで、細かな泥は再移動しにくいと分かった。

さらに、採取した海底土からセシウムがどれくらい溶け出すかを実験で調べると、濃度にかかわらず1~2%程度だった。事故直後の約10%より低く、海底からの再汚染が少なくなっていることを示していた。

ソーントンさんは「海の中全体が汚染されたわけではなく、濃度が高くなりやすい場所があることが分かってきた。今後も継続的に調査したい」としている。2014年7月3日05時00分(川原千夏子)