中宮寺木造菩薩半跏像

中宮寺木造菩薩半跏像

 本尊。飛鳥時代の作。像高132.0cm(左脚を除く坐高は87.0cm)。広隆寺の弥勒菩薩半跏像とよく比較される。寺伝では如意輪観音だが、これは平安時代以降の名称で、当初は弥勒菩薩像として造立されたものと思われる。国宝指定の際の官報告示は単に「木造菩薩半跏像」である。材質はクスノキ材。一木造ではなく、頭部は前後2材、胴体の主要部は1材とし、これに両脚部を含む1材、台座の大部分を形成する1材などを矧ぎ合わせ、他にも小材を各所に挟む。両脚部材と台座部材は矧ぎ目を階段状に造るなど、特異な木寄せを行っている。本像の文献上の初出は建治元年(1275年)、定円の『太子曼荼羅講式』で、同書に「本尊救世観音」とあるのが本像にあたると考えられている。それ以前の伝来は不明である。現状は全身が黒ずんでいるが、足の裏などにわずかに残る痕跡から、当初は彩色され、別製の装身具を付けていたと思われる。

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 東洋美術における「考える像」で有名な、思惟半跏のこの像は、飛鳥時代の彫刻の最高傑作であると同時に、わが国美術史上、あるいは東洋上代芸術を語る場合 にも欠かすことの出来ない地位を占める作品である。また国際美術史学者間では、この像の顔の優しさを評して、数少い「古典的微笑(アルカイックスマイ ル)」の典型として高く評価され、エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザと並んで「世界の三つの微笑像」とも呼ばれている。
半跏の姿勢で左の足を垂れ、右の足を膝の上に置き、右手を曲げて、その指先きをほのかに頬に触れんばかりの優美な造形は、いかにも人間の救いをいかにせ んと思惟されるにふさわしい清純な気品をたたえている。

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安置場所         広隆寺宝冠弥勒  中宮寺木造菩薩半跏像
顔の表現  アルカイックスマイ ル  アルカイックスマイ ル
材  質  アカマツ材+クスノキ材  クスノキ材
 彫刻構造  寄せ木造り  寄せ木造り
表面処理  漆泊仕上げ  漆彩色

 

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