■法隆寺
法隆寺(ほうりゅうじ)は、奈良県生駒郡斑鳩町にある寺院。聖徳宗の総本山である。別名は斑鳩寺(いかるがでら、鵤寺とも)、法隆学問寺など[1]。
法隆寺は7世紀に創建され、古代寺院の姿を現在に伝える仏教施設であり、聖徳太子ゆかりの寺院である。創建は金堂薬師如来像光背銘、『上宮聖徳法王帝説』から推古15年(607年)とされる。金堂、五重塔を中心とする西院伽藍と、夢殿を中心とした東院伽藍に分けられる。境内の広さは約18万7千平方メートルで、西院伽藍は現存する世界最古の木造建築物群である。
法隆寺の建築物群は法起寺と共に、1993年に「法隆寺地域の仏教建造物」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。建造物以外にも、飛鳥・奈良時代の仏像、仏教工芸品など多数の文化財を有する。
■南大門
西院伽藍の南方、境内入口に建つ。入母屋造の一重門。室町時代(1438年)に、当時の西大門を移築し建立。建築当初は切妻屋根であった。
■金堂
入母屋造の二重仏堂。桁行五間、梁間四間、二重、初層裳階付。上層には部屋はなく、外観のみである。二重目の軒を支える四方の龍の彫刻を刻んだ柱は構造を補強するため修理の際に付加されたものであるが、その年代については諸説ある。金堂の壁画は日本の仏教絵画の代表作として国際的に著名なものであったが、1949年、壁画模写作業中の火災により、初層内陣の壁と柱を焼損した。黒こげになった旧壁画(重文)と柱は現存しており、寺内大宝蔵院東側の収蔵庫に保管されているが、非公開である。なお、解体修理中の火災であったため、初層の裳階(もこし)部分と上層のすべて、それに堂内の諸仏は難をまぬがれた。この火災がきっかけで文化財保護法が制定され、火災のあった1月26日が文化財防火デーになっている。
■五重塔
木造五重塔として現存世界最古のもの。初重から五重までの屋根の逓減率(大きさの減少する率)が高いことがこの塔の特色で、五重の屋根の一辺は初重屋根の約半分である。初層から四重目までの柱間は通例の三間だが、五重目のみ二間とする。初重内陣には東面・西面・南面・北面それぞれに塔本四面具(国宝)と呼ばれる塑造の群像を安置する(計80点の塑像が国宝)。東面は「維摩経」(ゆいまきょう)に登場する、文殊菩薩と維摩居士の問答の場面、北面は釈迦の涅槃、西面は分舎利(インド諸国の王が釈尊の遺骨を分配)の場面、南面は弥勒の浄土を表す。北面の釈迦の入滅を悲しむ仏弟子の像が特に有名である。五重塔内部にも壁画(現在は別途保管、重文)があったが、漆喰が上から塗られたことなどが原因で剥落してしまっている。
■伝法堂
切妻造、本瓦葺き、桁行七間、梁間四間。内部は床を張り、天井を張らない化粧屋根裏とする。橘夫人(県犬養橘三千代(藤原不比等夫人、光明皇后母)伝承されるが、現在では聖武天皇夫人・橘古奈可智とする説が有力)の住居を移転して仏堂に改めたものとされ、奈良時代の住宅遺構としても貴重である。昭和大修理時の調査の結果、この堂は他所から移築され改造された建物で、前身建築は住居であったとみられる。堂内には多数の仏像を安置するが、通常は公開していない。
■東大門
西院から東院へ向かう道筋に建つ、奈良時代の八脚門。