善財童子

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 善財童子(ぜんざい どうじ、Sudhanakumâra)は、仏教の童子の一人であり、『華厳経入法界品』、『根本説一切有部毘奈耶薬事』などに登場する。

■国宝

 木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像 4躯(附:仏頂尊勝陀羅尼・文殊真言・文殊種子1巻、木造最勝老人立像1躯)

 鎌倉時代を代表する仏師快慶の作で「知恵の文殊」として親しまれている。巨大な獅子にまたがる総高約7mもある文殊菩薩像を4体の脇侍像が取り囲む文殊五尊像である。文殊五尊像の脇侍は、通常、善財童子、優填王(うてんおう)、最勝老人、仏陀波利三蔵と呼ばれるが、文殊院では「最勝老人」にあたる像を「維摩居士」、仏陀波利三蔵にあたる像を「須菩提」と称している。最勝老人像は慶長12年(1607年)の補作である。2013年(平成25年)6月19日付で国宝に指定された(最勝老人像は附指定)。

■概要

 『華厳経入法界品』については仏道修行する内容で広く知られる。

■華厳経

 『華厳経入法界品』に於いて、インドの長者の子に生まれたが、ある日、仏教に目覚めて文殊菩薩の勧めにより、様々な指導者(善知識)53人を訪ね歩いて段階的に仏教の修行を積み、最後に普賢菩薩の所で悟りを開くという、菩薩行の理想者として描かれている。 善智識の中には比丘や比丘尼のほか外道(仏教徒以外の者)、遊女と思われる女性、童男、童女も含まれている。

■派生作品

 昔からこの様子が多くの絵や詩歌に描かれており、日本では、明恵上人高弁による善財童子の讃嘆が有名であり、また東大寺には『華厳五十五所絵巻』、『華厳海会善知識曼荼羅図』などが現存している。金沢文庫に『善財童子華厳縁起』がある。

■東海道五十三次

 一説には、江戸時代に整備された東海道五十三次の五十三の宿場は、善財童子を導く五十三人の善知識の数にもとづくものとされる。

■根本説一切有部毘奈耶薬事

 ジャータカ(本生経)の1つ『根本説一切有部毘奈耶薬事』によれば善財童子は曠野国に攻め入った時、通りかかった薬叉(夜叉王は毘沙門天(クベーラ)部下はパーンチカ(鬼子母神の夫)ら)の援軍をえたという。

■紅孩児

 明代に集大成された西遊記では善財童子は紅孩児が観音菩薩に帰依した後の名とされる。