1970年3月、大阪千里を会場にして、日本万国博覧会 EXPO’70 がはなばなしく開幕した。77カ国が参加し、会期は6ケ月であった。メインテーマは「人類の進歩と調和」(Progress and Harmony for Mankind)。日本の戦後復興の最初の区切りにあたる。1960年代に始まった高度成長が1つのピークをしるした時だった。経済大国ジャパンが世界の舞台に登場した。この大イベントにあたり、福田繁雄はオフィシャル・ポスターを制作した。1966年に朝日新聞主催の「万国博への提案デザインコンペ」に入選し、翌年の「日本万国博覧会公式ポスター指名コンペ」に参加したのである。このとき38歳。海外公募展にはその2年はど前から入選し始めていた。万博ポスターの応募作品は数種類作られたようだが(図版で確認しているのは9点)、公式採用されたものは2点。1つ目は(上図左)で、図案化された地球のまわりに、5大州をあらわすのだろう5つの円球が寄り添い、下に6つの影‥・これが万博のシンボルマークを示している。2つ日は(上図右)で、EXPO’70の文字は、高さを変えて木工制作した立体を写真撮影したもの。それが林立する旗を因んでいる。旗は万国旗を使えずに色布で撮影したという。地響きをたてて伸びあがってくるような力強さと、はためく旗が好対照である。