民俗の仮面(kousin242-nakamata-aaa/)

民俗学/民俗の仮面/

㈵仮面の起源n1鳥のくちばしをもった男性群 (部分)日本語の仮面にあたるマスク(仏masque・英mask・伊mas・chera)は,狭義では,布・弧木,金・銀・その他の材料で人間や動物あるいはその両方の要素を同時にもつ人体の顔の部分を覆うものを指す・しかしながらマスクという言葉の語源をたどる時・末期ラテン語でmascaは,魔女という意味であり,マスクの古い宗教的で呪術的起源を暗示している・旧石器時代の洞窟には,浮き彫り,線刻画その他のテクニッグで,人間や動物の姿そして呪術的意味をもつ記号のようなものが多くの文化に,しばしば見られる・その中でも動物の頭を持った人間像は多く・動物の頭の部分が仮面だと解釈される例が少なくない・これらの動物とも人間とも区別し難い裸体人物群の中に,呪術師だとか・魔女だとか判別される人物がいて,それが仮面と呪術が密接な関係を持っているのではないかと言われる根拠でもある・そしてまた顔や体に色を塗ったり,頭に飾をつけたり,動物の毛皮を被ったりする原始的呪術的変装といえる行為から,仮面という固定したものをつける形へと発展していった2 仮面をつけた人物(部分)のではないかと考えられる・シチリアのバレルモ市近郊のアダウラ(Addaura)の洞窟に鳥のくちばしを持った裸体の男性群を彫った線刻画があるが,その頭部ほ仮面だと解釈され,まさに呪術的祭儀を行っている状況を描いていると言われる・フランスのアリエージュ県(Ari昌ge)のいロワ・フレルと呼ばれる洞窟には・呪術師と称せられる牡鹿の角をつけ,玲のひげ,馬の尾,人間の手足と男根をもった人物の壁画があり・かもしかシベリアのシャーマンのかもしかの角をつけ,動物の毛皮を被り・手に太鼓を持った姿と比較し・超自然との関係をもつ老の変装として指摘されている・更に,北アフリカのアルジェリア東部・タヅシリ・ナジュール(Tassilin・Ajjer)で,1956年フランス人アンリ・ロr=H.Lhote)は,仮面をつけた黒人が踊っている先史岩壁画を発見した・この人物のつけている仮面は,現在もアフリカのコートディヴォアール北西部の・森林地帯に住むセヌフォ族の使っている仮面と同じである・これらの例に示されるように,人間は,強力で影響力のある超自然の力を持つ被創造物として描かれている・それはギデオン(1)によれば,人間の超自然と直接関係をもとうとする必然性から生れる「宗教的衝動」に具体的形を与えようとした努力の結果である・そして呪術的起源から発した仮面の用途ほ,祭儀だけでなく,戦,劇,裁判,政治,或いは死者につける死面へと多様化