特別活動の研究

特別活動の研究 課題2「今日の特別活動の課題」  

 平成14年度から本格的に開始された完全週五日制の下での新教育課程の基準が示された。各教科などにおける教育内容の厳選が行われ、特別活動においても、そうした観点からの教育活動の見直しが必要となった。その結果、次のような問題が生じている。
 
 第一の課題は、クラブ活動である。中学校・高校では、部活動の参加をもって履修に変えることができるとした。それは廃止という結末であった。しかし、クラブ活動は、学校のゆとりと充実の狭間にあって、果たして十分に実施されるのだろうか疑わしい。中学校や高等学校の部活動による代替処置も含め、実際学校生活にゆとりと充実を取り戻せるのだろうか。特別活動本来の目標である自主的・実践的態度の育成の観点を離れた活動になっては論外である。特に、教科学習や校外学習との関連を考慮しつつその準備のあり方など見直し、精選を図るよう表現され、クラブ活動や学校行事の精選問題が今日残されている。この打開策として「開かれた学校」を目指して学校外活動の接点を模索して学校教育活動の活性化の努力が必要である。しかし、好ましい人間関係の醸成や豊かな体験活動の充実、基本的モラルとしての善悪の判断能力の育成や社会生活上のルールの習得、集団の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度などの育成ができるか疑わしいと考える。 
 第二の課題は、学級とホームルーム活動の問題が指摘できる。特に学級活動の指導上の課題は、児童生徒に十分な活動の確保が保障されていないことである。今回の改訂では、年間35週または35単位時間というのは、「生徒会活動」「学校行事」を含めての時間設定である。時間の設定基準は、各都道府県教育委員会の下で、任されてはいるものの、指導計画作成に当たって配慮するものと位置づけられてはいる。教育現場で、実際学級活動が児童生徒の手で生き生きと活動するためには、活動計画を進める計画委員会の運営が重要であり、その十分活動できる時間の確保の保障こそ必要である。 だが、時間不足のため放課後などに実施するという現状が多くみられる。学校運営が煩雑で多忙な昨今、多忙を理由に児童生徒を主役とする学級活動の基盤ともなる計画委員会の活動が損なわれている実態をみると反省せざるを得ない。しかも、学校段階が上がるほど主体的に活動している割合が低いという実態がインターネット検索による各都道府県の教育センターの調査報告にみられる。このことからも、真に学級を核として主体的・自治的に活動する児童生徒の育成が十分達成されない状況であると判断できよう。 

 第三の課題は、学校行事と生徒会活動とに関わる問題がある。学校行事に児童生徒の自主的参加を促すために生徒会活動と関連づけて協力して取り組むことは大切なことである。生徒自身が組織して、学校生活の充実と向上を目指し、自発的・自治的な活動としての特質をもつ生徒会活動の取り組みは、学校間で生徒会の意見がどの程度反映しているかどうかで判断される。特に、地域の方々との積極的な交流や生徒の諸活動の連絡調整など、学校行事を通して、まさに人格形成に関わる社会性や個性の伸張を図っていくべき活動のねらいの本質がある。
 また、一部の生徒による生徒会役員選出にならないよう自由な立候補制で活発な選挙戦が運営されるよう支援していくべきである。ほとんど信任投票という形骸化した生徒会活動の運営では、児童生徒の活性ある活動は不可能であり、民主主義的精神は培われないだろう。常に、生徒会組織が自発的・自治的活動の運営され、学校のもつ課題を自ら解決しようとする意欲が育つ土壌の環境であるかどうかは、教職員一人ひとりの教育への姿勢にも関わっている。さらに加えて、過去にある県で起こった問題であるが、儀式的行事および勤労生産・奉仕的行事についての問題も注目しなければならない。単に政治的問題の防止を意図に児童生徒や教職員行動の管理を強化したり、国旗掲揚・国歌斉唱の儀式への関心を強めたり、児童生徒の企画運営が極力削減され実施されることにならないよう行政サイドや教育委員会の理解を得て、実施されることが必要でないだろうか。 

 今日必要なことは、地域という集団社会の中で、児童生徒が何を主体的に学ぶのか明確にしていくこと。地域や家庭との連携を深め、地域への参加、体験活動の行事の工夫が一層大切である。さらには、学校を地域に開くことで、父母集団や地域住民と子供に行うための交流を深め共に学びあう精神を樹立する必要がある。教師と父母そして学校と地域とが共に歩み考える教育環境(人的・物的を含め)の充実に努めなければならない。