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気仙沼被災地支援報告
気仙沼被災地支援報告
吉備文化財修復所 牧野隆夫
平成23年3月11日に発生した、東北関東大震災と津波被害の被災地の内で、つながりのある現地(過去に修理した仏像のある寺院)へ安否確認と援助のために行った。以下その報告を略記する。今後、現地において何らかの支援活動を志す方々の参考になれば幸いである。
・手段:運送会社ワゴン車(運転手1名)。救援物資を載せた緊急車両許可をとり、牧野が同乗。
・現地:気仙沼市波路上(はじかみ)牧地区。さいたま市から往復約1,000km。
・日時:平成23年3月23日(水)、5:00さいたま市工房出発23:50帰着。
・往路:東北道(岩槻→仙台)三陸道(仙台→東和町)国道398号→国道45号。12:00現地着。
・復路:16:00現地出。気仙沼より国道284号→一ノ関。東北道(一ノ関→岩槻)。
途中一般道路には通行障害等無し。ただし東北道は、一般車には一ノ関で規制有り。
1.交通状況
*日々変わっているので注意。基本的には現地でしか詳細は分からない。
・東北道は、福島県内では補修個所が目立ち、走行中の振動がひどく、運転には充分注意のこと。
・三陸道は特に問題無し。国道398号は45号(海岸線の道)に入る手前から、道路と併行する川沿いには漂着物や瓦礫、破損した車両が目立ち、人家はまともに建っていない。川に沿い内陸部まで浸水の跡。
・国道45号は、寸断不通個所が多く迂回路はあるが、土地勘がないと迷う可能性有り。
・45号海沿い人家は、壊滅状態。気仙沼線崩壊。道路の復旧個所も水位が上がれば、再度水没の恐れあり。
2.波路上地区の状況
・気仙沼港の入口西側で、岬になっている地区。90戸の8割以上は津波で消滅、海岸線が上がっているのか、水に浸っている土地も多い。道路沿いに残っている家も被害あり。住人で片付けをしている姿は見られるが、外部からの手助けはあまり見られなかった。
・波路上地区に入った寺の手前、道路に崩れた家が一軒あり、通行不能。大きく迂回すればワゴン車程度は、寺の正面まで行ける。
3.寺院の状況
3年程前に本堂、多目的ホール、庫裡などを新築、改修したばかりである。
・周囲の人家がほとんど全て消滅し、三方が海岸まで見渡せる状態。
・敷地入口の門、寺域に植えられていた樹木、石塔など大半倒壊、消滅。
・本堂、庫裡等寺域の建物は全て残っているが、建物内部は破損した物、漂着物で埋め尽くされていた。
・本堂内右脇間の片付けを24日の法要に合わせ、飛騨から駆けつけた住職同級生数名が車に泊まり込み、
支援中。住職も位牌等の整理。
・本尊は住職が抱いて避難したとのこと。他の数体のみ内陣前机に仮安置されていた。
・午後から、死亡者の葬儀で住職は不在となった。避難生活と、職務とで心身ともに疲労が見える。
・余震やそれによる津波を警戒しながら、退避路を確保した上で、片付け、復旧をする必要がある。
4.当日作業
・寺で住職に挨拶後、支援物資を住職避難所(気仙沼中心地高台の弟さん自宅)へ輸送。荷下し。そこには、避難中の数家族がおり、住職義父談によると家のあった地区は64戸のうち残ったのは4戸のみ、半数は死亡・不明。8人家族で高校生1人残し他は死亡した例もあるとのこと。
・寺への帰路、気仙沼市教育委員会に立寄り、文化財担当者を訪問挨拶(不在)。
・寺に戻り、作業。内陣奥の間の仏像安置場所は戸棚、椅子、建具、塔婆、漂着物(便器蓋まであった)等で埋まっており、中から見つかっていなかった、本尊光背と仏像2体、台座等を発見した。本尊台座内の寄進者札も回収。本尊光背枘部分の破損した断片と地蔵尊(小)の左手先、地蔵尊2体の持物等は未発見。
・内陣内片付けを2時間半程行った後、16:20出発。
*支援物資等協力者
・上尾市東栄寺様:タオル等多数。トイレットペーパー1梱包。菓子。ジュース。使い捨てカイロ。使い捨て食器。割り箸。マスク。歯ブラシ等。
・ときがわ町皎圓寺様:毛布27枚。米80㎏。カップ麺70個。チョコレート。マスク。歯ブラシ他。
・原田様:乾電池。水4ケース。紙おむつ(大人1、子供1)、お尻拭き等。
・吉備文化財修復所所員:情報収集。使い捨てカイロ。生理用品等。
・㈲東北古典彫刻修復研究所:情報収集・提供。
・輸送協力:㈱埼玉急送社(運転手坂野茂樹氏、夫人は大船渡出身で実家は今回流失、家族は避難生活中)(吉備文化財修復所:缶詰。使い捨てカイロ。ノコギリ。保温シート。ゴミ袋。消毒薬。傷薬。傷テープ等)
以上。
住職避難場所。物資を荷下ろしした家。 波路上地区内、道路中央に倒壊家屋。
寺院と周辺、近隣の家は全て消滅 寺院敷地内、立ち木は一本も無くなっている。
住職が探し出し、避難させていた仏像。 堆積したゴミの中に見つけ出した地蔵菩薩。
以前修理した仏像と台座は全て一通りそろった。 堆積物に隠れていたご本尊光背。
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