朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)は東京都台東区谷中七丁目にある明治 – 昭和の彫刻・彫塑家であった朝倉文夫のアトリエ兼住居を改装した美術館である。1986年に台東区に移管され、現在は公益財団法人台東区芸術文化財団が運営・管理を行っている。
館内
朝倉彫塑館は、朝倉文夫のアトリエ兼住居です。朝倉を記念する施設として以前から公開されていましたが、2008年に国の名勝に指定されたことを受け、耐震補強を含めた保存修復工事に着手。4年半をかけて、朝倉最晩年の昭和30年代当時の建物・庭園の姿に復原されました。ありませんでした)
■和・洋が見事に調和、4年半ぶりに再開館
明治から昭和の日本彫塑界をリードした彫塑家・朝倉文夫。朝倉が晩年を過ごしたアトリエ兼住居「朝倉彫塑館」の保存修復工事が終わりました。
朝倉文夫は1883(明治16)年生まれ。東京美術学校(現東京藝術大学)を首席で卒業し、翌年、25歳で第2回文部省美術展覧会(文展)に出品した「闇」がいきなり2等賞を受賞。新進気鋭の彫塑家として華々しくデビューしました。
朝倉彫塑館は、朝倉文夫のアトリエ兼住居です。朝倉を記念する施設として以前から公開されていましたが、2008年に国の名勝に指定されたことを受け、耐震補強を含めた保存修復工事に着手。4年半をかけて、朝倉最晩年の昭和30年代当時の建物・庭園の姿に復原されました。館内に入ってすぐ左側にある、大きなアトリエ。床下には深さ7.3メートルの電動昇降制作台があり、今回の保存修復工事で実際に動かせるようになりました。
朝倉彫塑館の建築の大きな特徴は、西洋建築と日本家屋が融合している事です。鉄筋コンクリートの打ちっぱなしであるアトリエ棟と、数寄屋造りの住居部分が違和感なく調和しています。アトリエの奥に進むと、渡り廊下の左側には日本庭園「五典の水庭」が見えます。朝倉はこの庭に仁・義・礼・智・信の五つの巨石を設置。自己反省の場として設計したとも伝えられています。庭園は自然の湧水を利用しています。建物は3階建て(アトリエは3層吹き抜け)。純日本風の居室からは、日本庭園が見下ろせます。
3階の和室「朝陽の間(ちょうようのま)」は応接の場として使われた和室です。赤味を帯びた壁は、細かく砕かれた天然石の瑪瑙(めのう)が塗られており、保存修復工事で瑪瑙を回収・洗浄し、再度塗り上げられました。2階から見下ろした日本庭園と、3階の和室「朝陽の間(ちょうようのま)」外部の通路には、豚の顔を象った噴水が。こちらも保存修復工事で、口から水が出るようになりました。
屋上には庭園が設けられています。朝倉がこの建物で彫塑塾を開いていた時は「園芸」が必修科目で、屋上で弟子が野菜を育てていました。屋上で育てた野菜を、豚の噴水で洗っていたのでしょうか。朝倉自身が設計・監督した朝倉彫塑館は、大工や造園、銅板葺きなど、当代の名工が集まって技術の粋を結集して建てられました。いわば、館そのものが朝倉の作品ともいえる存在です。
朝倉彫塑館の建築の大きな特徴は、西洋建築と日本家屋が融合している事です。鉄筋コンクリートの打ちっぱなしであるアトリエ棟と、数寄屋造りの住居部分が違和感なく調和しています。アトリエの奥に進むと、渡り廊下の左側には日本庭園「五典の水庭」が見えます。朝倉はこの庭に仁・義・礼・智・信の五つの巨石を設置。自己反省の場として設計したとも伝えられています。
建物は3階建て(アトリエは3層吹き抜け)。純日本風の居室からは、日本庭園が見下ろせます。3階の和室「朝陽の間(ちょうようのま)」は応接の場として使われた和室です。赤味を帯びた壁は、細かく砕かれた天然石の瑪瑙(めのう)が塗られており、保存修復工事で瑪瑙を回収・洗浄し、再度塗り上げられました。
外部の通路には、豚の顔を象った噴水が。こちらも保存修復工事で、口から水が出るようになりました。屋上には庭園が設けられています。朝倉がこの建物で彫塑塾を開いていた時は「園芸」が必修科目で、屋上で弟子が野菜を育てていました。
鉄筋コンクリート作りの旧アトリエ部分と、丸太と竹をモチーフにした数寄屋造りの旧住居部分からなり、その和洋折衷の特異な建築は朝倉文夫本人が自ら設計し、その意向が強く生かされている。
展示室は彫塑作品を展示する旧アトリエ部分を中心にして、遺品や蔵書を納めた書斎、コレクション品などを収めた応接室等があり、他にも掛軸、陶磁器など朝倉文夫のコレクションを展示している。また東洋ランの温室であったサンルームは「猫の間」とよばれ、朝倉の愛した猫をモチーフにした作品が一堂に会している。
庭園
朝倉彫塑館を特徴付けるのは、中庭の池を中心とした日本庭園と、大きなオリーブの樹が印象的な屋上菜園である。 池は谷中の湧水を利用しており、四季折々必ず白い花をつける木が植えられ、儒教の五常「仁・義・礼・智・心」を造形化した5つの巨石が配されたユニークな造園様式である。また日本で最初の屋上緑化ともいえるその菜園は自然に触れることを芸術の基本と考えていた朝倉文夫の理念そのものであり、当時は大根やトマト、東洋ラン等が育てられていた。現在は花壇となっている。
2001年(平成13年)に彫塑館の建物4棟(アトリエ棟、旧アトリエ、住居、東屋)が国の登録有形文化財に登録された。また2008年に中庭と屋上庭園が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定された。