■第3章モエレ沼公園の幾何学的空間構成







ビスタラインが園路と一致してはっきりと見える可視直線(VS)と可視曲線(VC)は一般的なビスタの手法であり、園路の消失点に彫刻ヤ施設をオブジェ的に配置し、人々を次なる地点へといざなう手法である。
さらにビスタとしてはやや例外的な不可視複数(IP)は、焦点見えるビスタライン視点に向かう視点を無数に持ち、ビスタラインが1本に定まらない。すなわち前後の施設を重ねあわせ、しかも視点の移動によって刻々と変化する輪郭の重なり具合を鑑賞させることで異なる形態や場所を対比・共鳴させる。日本庭園などで用いられるいわゆる借景の手法が、ここでは時間的要素を組み入れて静的なものから動的なものへと変換されている。前節で明らかにした「見えない軸線」とこの「動く借景」が公園全体をひとつにするユニークな隠し味となっている。