■「クルーズ船 感染拡大に3つの理由?」

■「クルーズ船 感染拡大に3つの理由?」

堀家 春野  解説委員

 クルーズ船の中で新型コロナウイルスの感染が拡がった背景には
3つの理由が考えられるといいます。

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Q)。3つの理由とはどのようなものなのでしょうか。

 A)。まずクルーズ船は感染が拡がりやすい構造的な問題があり、船の中で感染防止策がとられる前にそもそも感染が拡がっていた可能性があります。検査が進むにつれ感染者が増えていますが、これまでの乗客への聞き取り調査から症状が出た日のピークは2月7日。厚生労働省は潜伏期間を考えると感染防止策が始まる5日より前に感染が拡がっていたとしています。多くの人が閉じられた空間で一緒に生活し、ビュッフェで食事をとり、船が揺れるので手すりを触る機会も多く、ウイルスが付着していればそこから感染が拡がってしまうおそれがあります。

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Q)。ほかの理由は何でしょうか。

 2つ目は乗客・乗員が船に“隔離”され感染を防止する対策が取られた後も、感染した人とそうでない人が一緒に過ごしていたということです。検査体制が整っていなかったため最初はすべての人に検査が行われませんでした。その間は感染しているのかいないのかわからないため、感染者と同じ部屋で過ごし、感染してしまったというケースもあるといいます。そして、3つ目の理由は乗客と接する乗員の感染が相次いでいることです。感染者のおよそ1割を占めています。(20日現在)乗員は相部屋でトイレ・バスも共用です。ここからさらに感染が拡がった可能性があるのではないか。専門家からは懸念の声があがっています。

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Q)。クルーズ船の乗客は高齢者も多く、厳しい環境だったという声も聞きますね。

 A)。はい。乗客の8割は60歳以上で持病がある人も少なくありませんでした。
部屋に閉じこもっていたためストレスがたまり、体調を崩したという方もいました。
3000人を超える人の健康状態を調べる中で検疫官や厚生労働省の職員が感染するという事態も起きてしまいました。クルーズ船の利用客は世界中で増えています。今回の対応をしっかりと検証し、今後の対策にいかさなければならないと思います。

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(堀家 春野 解説委員)