前立腺生検 No.2
■立腺がんが疑われたときに行う検査 No.2
▶︎立腺がんが疑われたときに行う検査
PSA検査で数値が高かったり、直腸診で前立腺の形状が異常で硬いなど、前立腺がんが疑われるときは、がん細胞の有無を調べる「前立腺生検」により、がんかどうか確定します。
前立腺生検では、前立腺に針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察します。針は直腸から刺す場合と、会陰部の皮膚から刺す場合があります。
いずれの場合も、プロープという超音波を出す機器を直腸に入れ、モニターで超音波画像で前立腺を見ながら行います(経直腸超音波検査)。
プローブは直腸用に細いもので、自動生検装置がついていて、これが前立腺に針を刺します。針を刺すのは、辺縁領域を中心に12〜14カ所です。
PSAの数値が軽上昇度の場合、がんがあっても小さいため生検でがん細胞が発見されないこともあるので、悪性が疑われる要素があれば、2〜3回の生検を行います。3回の生検で98%のがんが発見できるとされています。
前立腺生検の際は局所麻酔を行います。検査後に直腸出血や血尿が生じることがあるので、通常生検州当日は入院し、翌日の退院となります。
最近は、PSA値の上昇や直腸診などから前立腺がんが疑われると、生検の前にMRI(54頁参照)を行うことが多くなっています。MRIでがんが疑われる部位があれば、通常の12力所に加えて、その部位の生検も行うことで、より精密に調べられます。なお、経直腸超波検査は前立腺肥大症が疑われるときに使われることもあります。経腹超音波検査(44頁参照)より、観察がしやすいです。
▶︎癌の状況と転移を調べる
がんの状態を知るために、がんの進行度を詳しく調べる検査を行います。前立腺がんは、一般的に進行がゆるやかで約30%は、特別な治療を行わずに観察することもあります。しかし、反対に進行が早かったり、骨などに転移するケースも少なくありません。
前立腺がんの診断が確定したあとは、がんのステージ、悪性度、患者さんの年齢やライフスタイルも含めて考え、治療法を検討します。がんの状態を把握することが、重要なのです。
まず使われるのが、「MRI(Ma彗et古刀esO⊃a⊃Cel∃a的孟、磁気共鳴画像法)」です。
MRIは、筒状の機器のなかに人り、体に電磁波をあてて内部の画像を得る検査です。体内にある水分が共鳴することを利用して撮影するので、前立腺のような臓器の撮影に適しています。さまざまな角度や断面の画像を得られ、形や大きさなどがよく観察できるので、前立腺がんの疑いがある段階で、がんの発見や生検する箇所の特定に役立ちます。
また、骨盤内全体を写して、がんが精嚢や膀胱などほかの臓器をおかしていないかも確認でき前立腺がんのステージを知るために使われるの仰が、CT(conputed Tomography、コンピーター断層法)」です。レントゲンを照射して体の断面を撮影する検査で、主にがんがリンパ節や肺・肝臓などへ転移していないか調べるのに使います。
PSA値が10〜20を超える場合は、骨転移の可能性があるので、「シンチグラフィー」を行います。これは、放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を注射して撮影します。がんが転移している骨の放射性同位元素を多く取り込む性質を利用した検査です。骨転移の状態を画像で確認することができます。
・リンパ節・・・リン管のところどころにある結節状の部分。リンパ液の老廃物を濾す働きをしており、がん細胞が血液に入るのをある程度防いでいる。
▶︎前立腺肥大症・なぜ加齢と共に肥大してしまうのか
前立腺肥大症は、前立腺が肥大することで、さまざまな問題が引き起こされる病気です。
前立腺が肥大する原因については、正確なところはわかっていません。ただ、大きく影響するものとして挙げられるのが、加齢です。年齢を重ねるにつれ、主に前立腺の移行領域の細胞が増殖して肥大してしまうのです。そういった意味では、前立腺が肥大するのは老化現象の1つともいえます。
しかし、年齢を重ねれば誰でも前立腺が肥大するわけではありません。なかには加齢によって、前立腺が小さくなる人もいるのです。
この違いはどこにあるのでしょうか。性ホルモンの影響や遺伝、食生活などいくつかの要因があるとされています。
前立腺は、男性ホルモンのテストステロンの影響を受けています。テストステロンは、思春期に精巣が成熟するとともに分泌量が増えます。しかし、加齢とともにこの分泌が減少し、女性ホルモンとのバランスが崩れるなかで、前立腺が肥大するのです。
遺伝については詳しくは解明されていないのですが、父親が前立腺肥大症の手術を受けた人は、そうでない人に比べ3・5倍、兄弟ならば6・1倍前立腺肥大症のリスクが高いことがわかっています。
食生活の影響も指摘されています。大豆や野菜、穀物に多く含まれるイソフラボノイドやリグナンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用をもつのですが、前立腺肥大症を抑えると考えられています。
また、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症では、血液中にインスリンが過剰になった状態の高インスリン血症になることが多く、そのため、」父感神経が刺激され、前立腺肥大症になりやすくなるのです。 メタポリッウシンドロームも前立腺の肥大と関連があるとされています。
エストロゲン・・・性ホルモンの一種。主に卵巣から分泌され、性機能や体つきなど、いわゆる女性らしさを保つよう働く。男性ホルモンの分泌を抑える作用もある
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