■スケルトン工法とは
現在、建設業界を取り巻く環境は著しく変化しています。
特に時代は公共事業の縮小へと大きく進路変更し、新たな建造に向けての積極的取り組みは期待できないのが実状です。
一方、高度成長期に大量建設されたコンクリート建造物は老朽化が進み、今後更に加速度的に進行し、社会問題化することが予測されます。
その為、交通インフラ基盤であるコンクリート構造物の整備が急務となっていますが、経済的・環境配慮の観点から、これまでのように構造物を「壊して造る」ことは困難となり、「活かして使う」という「リフォーム時代」へとシフトしつつあります。
外壁塗装の独自技術「ホームメイキャップ」を軸に建物外壁のリフォーム事業を展開していますが、この技術をコンクリート構造物の補強に活用できないかと考え、新たな技術開発に着手。
そして度重なる研究・開発を経て、これまでの防災補強の概念をくつがえす革新的工法「スケルトン防災コーティング」の商品化に至りました。
この「スケルトン防災コーティング」は、性能もさることながら、施工後もコンクリート表面が「透けて見える」のが最大の特徴かつ革新的な点です。
コンクリートの状態が目視で確認できるということは、点検作業が容易になることであり、異常個所の早期発見にも繋がります。
「消費型社会」から「持続型社会」への移行が世界の共通認識となった今、この技術が新たな時代への一歩になることと信じています。
■従来工法の問題点
■コンクリートの表面が目視不可能
従来工法の多くは、コンクリート表面の保護材として色付きのコーティング材を使用しています。このため、施工後はコンクリート構造物の表面や内部を見る事ができず、異常が起きているのかどうか、また、その範囲はどこまでなのかを確認することが容易ではありません。 確認のためには広範囲にわたる調査が必要になり、費用や時間に大きな無駄が出ます。これは、メンテナンスの時期および方法に不透明性をもたらします。
▶︎作業工程と使用材料が複雑
従来工法の多くは、「下塗り」・「中塗り」・「上塗り」と、それぞれの工程で多くの異なるコーティング材料が使用されています。このため、作業が複雑で効率が悪くなり、膨大な手間と時間が必要となります。 管理費や仮設費等のコストの負担も大きくなってしまいます。
▶︎繊維が硬いまたは厚い
従来工法の多くは、コンクリート保護材の繊維が硬い、または厚く、細かい部材や部分の施工が不得意です。そのため施工には、入念な調整を行う必要があり、作業効率の低下や品質の低下をまねきます。
■スケルトン工法の特徴
▶︎1.コンクリート表面が透けて見える
従来工法とは、異なり施工後もコンクリート表面が透けて見えるため、異常箇所を素早く特定することができます。 また、点検精度も向上し、メンテナンスコストも抑制できます。
▶︎2.繊維が柔らかい
コーティングに使用するガラス連続繊維シートは柔らかく、細かい部分の施工も可能です。
▶︎3.シンプルな作業工程と使用材料
使用材料は、「透明特殊コーティング゙材」と「ガラス連続繊維シート」の2種類のみです。プライマーは不要です。 施工も容易で、従来工法に比べ30~50%も工期短縮が可能です。
▶︎4.構造物の長寿命化
「中性化抑制」、「耐候性向上」、「遮水・遮塩」、「その他諸性能」とコンクリート構造物の長寿命化を可能にします。
▶︎5.構造物のじん性向上
コンクリート構造物の粘り強さを向上させ、じん性・強度を再生し、二次災害を防止します。
▶︎6.水蒸気透過性
コンクリート構造物から発生する水蒸気をコーティングの外に逃がします。また、外側からの水分は遮断します。この性能によりコーティングの膨れやはがれを抑制します。(ASR抑制効果もあります。)
■材料
▶︎極めてシンプルな施工方法で、
保護面の透明度を確保しつつ、耐久性能を飛躍的に向上。
「スケルトン防災コーティング」は、使用目的に応じて二種類の工法があります。基本となる「はく落防災コーティング」は、下地処理後ガラス連続繊維シートをコーティング材で挟み込み(ベースコーティング)、硬化後、ファイナルコーティングで仕上げるという非常にシンプルなものです。
「クリアーコーティング」は、ガラス連続繊維シートを必要とせず、作業工程も1工程となる省工程の小片コンクリートはく落防止工法となります。
■使用材料
▶︎スケルトン防災コーティングの透明度
▶︎柱の耐力試験
■試験データ
▶︎厚膜スケルトンはく落防災コーティング
試験項目 | 試験結果 | 基準値 | 試験規格 |
---|---|---|---|
中性化阻止性 | 0.0mm | 28日間促進 平均0.0mm | 西日本旅客鉄道(株)鉄道本部施設部 コンクリート構造物補修の手引き [第四版](平成17年10月) 表面処理材基本規格値 |
促進耐候性(3000h) | 異常を認めない | 300Hr異常がないこと | |
付着性 | 3.7N/mm2 | 1.0N/mm2以上 | |
酸素透過阻止性 | 3.7×10-4mg/cm2・日 | 1.5×10-2mg/cm2・日以下 | |
水遮断性 | 0.00g | 0.05g以下 | |
水蒸気透過性 | 1.85mg/cm2・日 | 0.03mg/cm2・日以上 | |
ひび割れ追従性 | 試験不可 ※1 | 0.1mm以上 | |
耐アルカリ性 | 異常を認めない | 30日間異常がないこと | |
遮塩性 | 検出限界(0.7×10-3)以下 | 2.5×10-3mg/cm2・日以下 | |
外観 | 0(SO) ※2 | JIS K 5600-8-1:1999による | |
付着性(耐アルカリ性試験後) | 1.1N/mm2 | JIS A 6909-2003 7.9に準ずる | |
押抜き荷重試験 | 6.8kN | 1.5kN以上 ※3 |
■薄膜スケルトンはく落防災コーティング
試験項目 | 試験結果 | 基準値 | 試験規格 | |
---|---|---|---|---|
中性化阻止性 | 0.0mm | 28日間促進 平均0.0mm | 西日本旅客鉄道(株)鉄道本部施設部 コンクリート構造物補修の手引き [第五版](平成20年4月) 全面表面処理工法 表面処理材基本規格値 |
|
酸素透過阻止性 | 定量下限値(3.6×10-4)以下 | 1.5×10-2mg/cm2・日以下 | ||
水遮断性 | 0.01g | 0.05g以下 | ||
水蒸気透過性 | 0.63mg/cm2・日 | 0.03mg/cm2・日以上 | ||
遮塩性 | 定量下限値(0.7×10-3)以下 | 5.0×10-3mg/cm2・日以下 | ||
外観 | 0(SO) ※2 | JIS K 5600-8-1:1999による | ||
燃焼性能 | 加熱後の残炎有無及び残炎時間なし(0秒) | 30秒以内に消炎すること | 「FRPによるトンネル覆工剥落対策マニュアル」 参考資料8燃焼試験方法(案)※4 |
|
はく落防止の押抜き性能 | 最大平均荷重 3.2kN | 1.5kN以上 | JHS424 | |
はく落防止の耐久性能 | 塗膜劣化 | 変色程度 4号 | -(9段階) | JHS425 |
表面状態 ひび割れはがれなし | ひび割れはがれの有無 | |||
白亜化度 等級1 | -(6段階) | |||
光沢保持率 平均85.9% | – | |||
ひび割れ抵抗性 | 最大荷重(平均値) 2.34kN | 押抜き試験最低値×最少保持率≧1.5kN | ||
変位(平均値) 3.99mm | ||||
付着強さ | 付着強さ(平均値) 4.36N/mm2 | 1.5N/mm2以上 | ||
塩化物イオン透過性 | CI透過度 0.000g/m2・日 | 0.005g/m2・日以下 |
■超薄膜スケルトンはく落防災コーティング
試験項目 | 試験結果 | 基準値 | 試験規格 |
---|---|---|---|
中性化阻止性 | 0.0mm | 28日間促進 平均0.0mm | 西日本旅客鉄道(株)鉄道本部施設部 コンクリート構造物補修の手引き [第五版](平成20年4月) 全面表面処理工法 表面処理材基本規格値 |
促進耐候性(3000h) | 膨れ・割れ・はがれ 異常を認めない | 異常なし ※6 | |
光沢保持率 試験不可 ※5 | 80%以上 | ||
色差 試験不可 ※5 | 3.0以下 | ||
白亜化 0 | 0または1 | ||
付着性 | 3.6N/mm2 | 1.0N/mm2以上 | |
酸素透過阻止性 | 0.9×10-2mg/cm2・日 | 1.5×10-2mg/cm2・日以下 | |
水遮断性 | 0.01g | 0.05g以下 | |
水蒸気透過性 | 1.99mg/cm2・日 | 0.03mg/cm2・日以上 | |
ひび割れ追従性 | 促進・常温とも試験不可 ※1 | 促進:0.3mm/常温:0.6mm以上 | |
耐アルカリ性 | 異常を認めない | 30日間異常がないこと | |
遮塩性 | 定量下限値(0.7×10-3)以下 | 5.0×10-3mg/cm2・日以下 | |
外観 | 0(SO) ※2 | JIS K 5600-8-1:1999による | |
付着性(耐アルカリ性試験後) | 2.0N/mm2 | JIS A 6909-2003 7.9に準ずる | |
押抜き荷重試験 | 3.2kN | 1.5kN以上 ※3 |
■スケルトン覆工目地部はく落防災コーティング
試験項目 | 試験結果 | 基準値 | 試験規格 |
---|---|---|---|
押抜き試験 | 荷重0.7kN時 変位1.3mm(平均値) | 荷重0.7kN時の変位の平均値が23mm以下 | JHSトンネルはく落の押抜き試験方法(案) |
荷重0.8kN時 変位1.5mm(平均値) | 荷重0.8kN時の変位の平均値が23mm以下 | ||
荷重1.1kN時 変位5.0mm(平均値) | 荷重1.1kN時の変位の平均値が23mm以下 | ||
温冷繰返し接着強さ | 3.4N/mm2 | 1.5N/mm2以上 | JHSトンネルはく落防止用繊維シート 接着工の温冷繰返し試験方法(案) |
湿潤接着強さ | 2.6N/mm2 | 1.5N/mm2以上 | JHSトンネルはく落防止用繊維シート 接着工の湿潤接着強さ試験方法(案) |