





忘却が意識下のものであり、生の必然であるとしても、コーネルは意識上のそれとして記憶を箱に収めねばならなかった。それは偶然には箱であり、精神の器でさえあれば、瓶でもコラージュでもよかったのである。実際、最初のオブジェのひとつであろう「グラス・ベル」(’32頃)は、文字通りガラスの鐘状の容器に、眠がコラージュされたバラの花、マネキンの手、扇が収められたものだった。また同年頃の作品「シェルレアリストの玩具」のように、ふたのある紙箱の中に収納され、出し入れできる作品もあれば、直径3センチほどの円形の箱の作品もあるのだ。