タピエス

■タピエス

 アントニ・タピエスAntoni Tàpies1923年12月23日  – 2012年2月6日[1])はスペインの現代芸術家。スペイン・バルセロナ生まれ。20世紀の現代美術の巨匠の一人と言われている。

 油絵具にワラや砂、大理石の粉などを混ぜて、キャンバスに厚く壁のように塗りこめていく。素材の質感はカタロニアの風土を思わせ、鮮烈な色彩がスペインの血を思わせる。カタロニアの熱い風土が生んだ画家といえる。 1923年バルセロナに生まれ、父を継ぐべく法律を学ぶが、画家を志望してスペイン市民戦争のさなか絵画を独修する。1950年の初の個展で奨学金を得てパリに滞在。52年を皮切りにヴェネツィア・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレなど国際展への出品と受賞が相次ぎ、アンフォルメル(非定形絵画)運動の旗手として60年代には早くも国際的な名声を得る。 

  タピエスの触覚的ともいえる「壁面」には記号、数字、名、亀裂のようなものが描かれ、椅子など物体が貼り付けられて人々を驚かせる。

   日本文化にも精通しており、禅、俳句、書道の本を愛読し、座右の書は岡倉天心の「茶の本」であり、「精神と物質をわけず、宇宙的な広がりを捉える見方が私の考え方と一致します」という。滝口修三と詩画集「物質のまなざし」(1975)もつくっている。96年に大作を集めた回顧展が日本全国を巡回した。

▶︎初期の作品(シュールレアリスムの影響)

▶︎クロス文字・ダブルイメージ・素材研究の時期

▶︎人体への表現(戦時の体験からの記憶か)

 1950年に初めての個展をバルセロナで開催、以後パリに居を移す。タピエスは、初期の頃はパウル・クレーなどに影響を受けたシュルレアリスムの画家としてキャリアを始めたが、その後すぐ抽象表現主義に進み、美術用画材ではないものを利用した芸術であるアルテ・ポーヴェラ(Arte Povera)」スタイルで創作活動を行う。1953年にはミックス・メディアでの創作を開始、後にこれが彼の芸術への最大の貢献と評価される。このスタイルの一つの例は、粘土と大理石粉を絵具に混ぜ廃紙、糸、絨毯などを使用している(灰色と緑の絵(Grey and Green Painting・1957年)、ロンドン・テート・ギャラリー収蔵)。

 国際的な評価は1950年末までに定着し、1960年代初期まではエンリケ・タバラ、アントニオ・サウラ、マノロ・ミラレスや他のスペイン人アンフォルメル派の芸術家と作業した。1970年代にはポップ・アートの影響を受け、家具の破片などのもっと大きな物体を絵画にくわえるようになってきた。タピエスのアイデアは世界中の芸術、特に絵画、彫刻、版画の分野などに大きな影響を及ぼした。世界中の様々な美術館に彼の作品が収蔵されている。

ギャラリー

 スペイン・バルセロナには彼の作品を集めて展示している「タピエス美術館(Fundació Antoni Tàpies)」がある。