フォンタナは、「画家として、キャンヴァスに穴を穿つ時、私は絵画を制作しようと思っているのではない。私は、それが絵画の閉鎖された空間を越えて無限に拡がるよう、空間をあけ、芸術に新しい次元を生みだし、宇宙に結びつくことを願っている。」(Jan van der Marck,”Lucio Fontana:From Tradition to Utopia”,op.cit.「フォンタナ展」図録 富山県立近代美術館他 1986年)と述べています。 時代が移り、人々の生活が変わっても、依然として絵画や彫刻といった芸術の枠組みが変化しないことに強い疑問を抱いたフォンタナは、絵画という芸術を支えてきたキャンヴァスに穴をあけ、絵画という枠組みを、文字通り突破しようとしたのでした。