土浦まちづくり市民集会

まちづくり行政検討し提案へ 土浦市民の会が新グループ

いいまちづくりG発足②
土浦まちづくり市民の会の高村義親事務局長
 福島原発事故以来、地元土浦市の放射能汚染問題に取り組んできた市民団体「土浦まちづくり市民の会」(代表・長坂慎一郎元山形大教授)が昨年、内部に新しい作業チーム「いいまちづくりグループ(仮称)」を発足させた。昨年11月の土浦市長選がきっかけ。同会事務局長の高村義親茨城大名誉教授は「市のまちづくり行政を専門的に検討し、市民目線で市民主体の新しいまちづくりを目指したい」と話す。

市の出前講座などを活用し広く参加を呼び掛けて勉強会を重ねていく予定だ。財政、人口減少問題、道路、図書館、つくば市との合併などがテーマになるとみられる。

昨年11月8日の市長選をきっかけに、「国民宿舎はどうなるの」「市民会館を立て替えてほしい」などが住民の間で話題に出るようになり、会員の間でまちづくりに対する関心が高まった。一方、12年ぶりに市長選が実施されたが、投票率は28・42%と過去最低にとどまった。

会内部から「お任せ主義は反省しよう」「設立当初の市民主体のまちづくりを考えよう」という声が出始め、これまで市政に積極的に関わってきたメンバー以外の市民にも呼び掛け、市長選直後の昨年11月23日、話し合いをもった。13人が集まり、全員が呼び掛け人となって、会内部に新しいグループが設立されたという。2番目の作業グループになる。

「市や議会に提案したい」

 話し合いの席では、今後検討にすべき行政課題について「すでに買収した常名運動公園用地を、子ども広場や森林公園、太陽光発電など五つぐらいのゾーンに分け活用してはどうか」「中心市街地の空き家を、若い子育て家族に活用してはどうか」「土浦の歴史を知ってまちづくりをすべき」などさまざまな意見が出た。

高村事務局長は、まちづくり行政の課題について「情報収集をし、学習会を開いて調査、検討をし、何が必要か、何が欠けているか、市民ニーズに合っているか、無駄はないかなど問題点を明らかにして具体的なまちづくり案をつくり、市や議会に提案したい」と話す。

市民の会は2011年2月、市民主体のまちづくりを考えるグループとして発足した。直後、東日本大震災と福島第1原発事故が発生したことから、内部に「放射線測定グループ」を設立し、放射能測定器を購入して、3年間にわたり、地域の放射能汚染の実態を独自に測定し調査してきた。

メンバーの中に物理学者や放射線取扱主任者など専門家が複数いたことから、市内に降下・沈着した放射性物質の量を推測したり、行政の対応を検証するなどした報告書をまとめ、現在も原発問題の勉強会などを続けている。

記者のつぶやき

 「12年ぶりの市長選」「過去最低の投票率」―。昨年11月実施された土浦市長選は、現在、土浦が直面している閉塞感や活力の低下の象徴だったようにも思えた。こんなまちではいけない、行政が何もしてくれないと嘆くのではなく自分たちで何とかしようと声を上げたのが「いいまちづくりグループ」だろう。幅広い市民が参加し、まちづくりの多様な課題を議論する場となって、次の選挙までに、新しい地域の担い手が誕生することを密かに期待している。ただしグループの13人のメンバーもやや高齢だそうだ。メンバーは若い世代の参加も大いに期待している。(鈴木宏子)