円山応挙(研究)
■第一章 時代背景
■第三節 真写の時代
江戸時代も十七世紀の後半から十八世紀に入ると、架空のものを措いたり、あるいは筆勢や枯淡さなど、筆捌きの巧みさを前面に押し出す表現ではなく、現実にこの世に存在するものをリアルに表現しようとする動きが出てくる。「真写の時代」の到来である。 真に存在するものを措くということが時代の大きな特色として発生してきたのであるが、その背景には、可能な限り正確な知識を求めようとする人間の知識欲がうごめきはじめ、またその知識欲を刺激する大連な動きが起こつていた。それは百科全書時代とも言うべき時代の流れであった。今ここで、この動きのもととなる十七世紀から十人世紀にかけての一つの現象を追ってみよう。万暦
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