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ねむの木こども美術館
■ねむの木こども美術館
ねむの木こども美術館では初めて、
宝形や流れではない屋根を試みた
。ドーム状に盛り上がる屋根を
主展示室の上に載せた
。私は
「マンモス」
と説明しているが、学園長の宮城まり子さんは「マンモス」が嫌いらしく、「
ドングリ
」と言っているらしい。言われてみると、ドングリのヘタによく似ている。
▶︎自由曲面に”手もみ銅板″を葺く
ドーム状ではあるが、ドームではない。ドームのように幾何学には従わず、自由曲線による屋根になっている。正確に言うと、私の描いた自由曲線を共同設計者の
内田祥士
が苦労してなんとか
微分し、図化し
、つくり上げた。
木造トラスのズレた連続の上に曲面を木摺り
でつくつて下地としてくれたのだが、その先は私が決めなければならない。
木造の限りなく自由に近い曲面の上を何でどう葺くか。金属板しかないが、平葺きは全ピースが現場切断となり無理だろう。ハゼ立ても同じこと。調べてみても、こうした難題に取り組んだ先例はないが、幸い私は、
高過庵
(下写真)
の時、”手もみ銅板″を柿(こけら)状に葺いてうまくいった経験があり、今回も”手もみ銅板″を駆使することにした。
▶︎児童や職員も手もみに参加
幸い宮城さんの理解を得て、
学園の児童と職員が総出で銅板の手もみ
を
やって
くれ、それを呆れながら眺めていた職人さんが、腕のかぎりを尽くして、
一番心配な扁平な頂部まで葺き上げてくれた
。
うまくいったが、反省もあって、いくら手でももうと、この数になると微妙な差は吸収され、均質化して、印象が工業製品に近づいてしまう。
(藤森照信)
■追加資料
この美術館は、
宮城まり子
さんが運営する“
ねむの木学園
”のある“ねむの木村”の中にあり、
秋野不矩美術館を見て設計を依頼されたと言う
。他に、ここには、
ねむの木こども美術館(ねむの木緑の中)と女優 宮城まり子が生前、交流のあった吉行淳之介の文学館
がある。
この美術館で特異なのは、建物に入り受付を済ませた後、一旦外に出て芝生の斜面をぐるっと巡らせた
舗石の上を歩き、2階展示室への玄関にアプローチする所であろうか。
斜面から生え出てきたように見える
建物の先端はこんもりと盛り上がり
、
マンモスの頭(建物の名前が示すように、屋根に葺かれた銅板が丁度“どんぐり”のへたの部分にも見える
)をイメージしたと言われる。
処女作以来の、
屋根を支えるように見える方杖は屋根から突き出し
、奥にある
R面のRC壁が空調室外機を上手く隠している
。屋根にのる芝棟には季節になると、
青々とした芝生と赤い花が咲く
ようです。
建物の足元廻りには学園のこども達による“麦の絵”が描かれている。
■ねむの木学園の作品群
■ねむの木学園の映像記録
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