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■設計 伊藤豊雄
建築家 伊東豊雄
Toyo Ito
1941年生まれ。東京大学工学部を卒業後、菊竹清訓建築設計事務所勤務を経て、1971年に独立し、現在に至る。 近作に「多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)」、「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」など。主な受賞として、日本建築家協会新人賞(1984年、「笠間の家」)、ベネチア・ビエンナーレ金獅子賞(2002年に生涯業績部門で、2012年にコミッショナーを務めた日本館が受賞)、プリツカー建築賞 (2013年)など。
茨城県の優れたデザインの商品や製品、空間や活動等を選定し、県内外にPRすることで、茨城県の産業イメージやブランド力を高める取り組みとして、今年で9年目となる「いばらきデザインセレクション2013」において、応募総数112件の中から、「笠間の家」が知事選定を受賞いたしました。
陶芸家里中英人氏のアトリエ兼住宅として建てられた「笠間の家」は、日本を代表する建築家伊東豊雄氏の設計による建築作品のひとつであり、今回の受賞では、「市に移管された個人住宅を公共施設としてリノベート。建築的な価値を認め、全てオリジナルのデザインに戻しているところが文化的である」という評価をいただきました。
伊東豊雄「笠間の家」
笠間の家は、陶芸家である故里中英人氏のアトリエ兼住居として1981年に建築されたもの。それを笠間市が里中氏のお嬢様から寄贈を受け、今回公開に至ったという作品。現代建築かつ生存している建築家の作品を自治体が修復し、無料で公開するという試み、しかも住宅であるということは評価すべき点であろう。場所は笠間芸術の森の西側、笠間駅から歩いたとしてもそんなにかからないと思う。
周辺はいわゆる住宅メーカーの個人住宅が点在し、バラック的な住宅との対比が面白い。その住宅地の屋根を見下ろす場所に、この「笠間の家」は建っている。高低差のある敷地を活かしながら、アトリエと住宅の空間を配置しており、駐車場アプローチ側から見えるアトリエへのエントランスやリビングの開口部が、この住宅のファサードを印象づけている。住宅部分へのアプローチは少し坂を登ったところにある。
シルバーハットを彷彿させるメタリックな扉。
扉を開けると、正面にリビングへの扉、右側に書斎へと続く空間が二手に分かれる。 これはリビングの扉の部分から両方を見たところ
まずは右手の仕事場へ。
開口の抑制された空間であり、左手に引き違い窓、右手奥にトップライトがあるのみ。
その奥の書斎には2面開口あり、遠くまで美しい景色がを望むことが出来るが、この空間はある種の緊張を感じさせ、トップライトから降り注ぐ光へ救いを求めたくなる。
以前、このブログで
中野本町の家の形態
について書いたことがあるが(クリックするとこのエントリーの下に表示されます)、住み手いわゆる伊東さんのお姉様が「外側に意識が行かず、内へ内へと向かっていく」といった感じのニュアンスを含む言葉を残し、それが「中野本町の家」との決別の理由の一つとなるわけであるが、この空間でもその指向性が内側に滞留しているような感覚になる。それに対し、リビングはゆったりと弧を描きながら、この中心を開放的な開口部へと向かわせ、先程の空間とは正反対の緊張を解きほぐすような感覚になる。
光を絞り込んでいる空間では「救済」を、光を満たす空間では「安堵」を与えているとも言えよう。
スキップフロアで構成されたリビングから数段上がると、寝室。リビングと寝室の間には、階段を下ってもうひとつの空間とアトリエ。
里中氏の後に一時教え子が家族で住んでいたらしく、このもうひとつの空間の机には子どもの落書きの痕跡が。
さらに数段下がるとアトリエに続く。
上階の空間とはまったく異なる空間質。
この作業台も伊東さんのデザイン。
とにかく、この住宅では伊東さんの若い頃のエネルギーをとても強く感じる。
それは安藤忠雄も同じ。小さければ小さいほど彼らの住宅に注ぐ情熱がどれだけのものだったのか、わかる気がする。
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