石田 徹也(いしだ てつや、1973年(昭和48年)6月16日 – 2005年(平成17年)5月23日)は日本の画家。、静岡県立焼津中央高校を経て、武蔵野美術大学を卒業後、東京にて精力的に絵画の発表を続けてきた。2005年5月に東京の町田付近にて踏切事故にあい、不帰の人となった。NHK「新日曜美術館」にて紹介後、多くの鑑賞者に衝撃を与えることとなった。
石田徹也の作品はキャンバスに石田個人の実生活からイメージした世界を描くが、描かれた世界は非現実な世界のように見える。けれども自らが選んだ自画像とも思える描写は日本の社会における個人の人権の尊さ、学校教育の問題、管理された日本の社会構造を痛切に批判し、人々の心の問題を表現している。少年の犯罪や児童殺害事件が社会問題になっている今日、石田徹也は弱者である少年や児童の心のよりどころを自己の問題として捉えて、絵画によって表現することで、現代人の心の奥底に潜む「痛みや悲しみ」を描いた。
1973年に静岡県焼津市に生まれた石田徹也は、1990年代のバブル崩壊後に世の中の価値観が大きく変わろうとする中、社会に生きる人が抱く痛みや苦しみ、不安や孤独感を、さまざまな器物や風景と人物が一体化した「他人の自画像」とも呼べる独自のスタイルで、辛辣に、ユーモラスに描き続けました。子供の頃から絵を描くのが得意で、美大進学を志し、高校3年生の時、静岡市内の予備校に通いはじめました。1992年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科に進学すると、親元を離れ東京で暮らし、イラストレーターを目指し学ぶかたわら、公募展への応募を繰り返して発表の場を広げていきます。22歳で、「3.3㎡展」のグラフィックアート部門でグランプリを受賞したのを皮切りに頭角を現し、VOCA展奨励賞受賞により、気鋭の画家としてもさらなる活躍が期待された矢先、2005年に踏切事故により31歳の若さでその生涯を閉じました。没後に遺作展や遺作集でその作品がひろく知られるようになり、メディアでも取り上げられて大きな反響を呼んでいます。残されたノート類からは、石田徹也がひたすら描き続け、また描くことによって思索を繰り返し、前進することを目指した跡がみられます。
本展では、静岡県立美術館が所蔵する21点を含む石田徹也の代表作約110点に加えて、51冊のスケッチブックに描かれた、下絵やアイデアノートを初公開します。また、随所に石田の言葉を紹介し、制作の過程や思考の跡をたどり、創造の秘密を探ります。
■人物
静岡県焼津市出身。父親は元焼津市議会議員。4人兄弟の末子。焼津市立小川小学校、焼津市立小川中学校、静岡県立焼津中央高等学校卒業。1996年、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業[1]。元々高校は美術系を希望していたが、親からの強い要望で普通高校に入る。本人は苦痛を感じていたという。大学時代の友人に映画監督の平林勇がおり、共同で作品を製作していた。就職活動中に一社だけデザイン会社に行ったが、採用されず、画家としての活動する。
蒸気機関車やビニール袋、便器などといった日常生活で使用するものと一体化した青年を題材とすることが多い。題材としている青年はほとんどが同じような顔をしており、作家本人と似ているが本人は否定している。2005年5月に踏切事故で死亡。
死後、2006年11月にクリスティーズが香港で開催したオークション『アジアの現代美術』に Lot. 496 として出品された『無題』(2001年)は、78万香港ドル(約1200万円)で落札された。2009年、遺族が紺綬褒章を授与される。
■主な作品
みのむしの睡眠(1995年 第6回グラフィックアート『ひとつぼ展』 グランプリ受賞作)
SLになった人(1995年 第6回グラフィックアート『ひとつぼ展』 グランプリ受賞作)
飛べなくなった人(1996年)
健康器具(1997年 JACA’97 日本ビジュアル・アート展 グランプリ受賞作)
回収(1998年 キリンコンテンポラリーアートアワード1998 奨励賞受賞作)
捜索(2001年 VOCA展2001 奨励賞受賞作)
前線(2001年 VOCA展2001 奨励賞受賞作)
「飛べなくなった人」を含め、21点の作品を郷里の静岡県立美術館に遺族が寄贈した。
■創造の秘密は、「とにかく、かく」だった!
展覧会で常に話題になっていた、アイデア・ノートの初書籍化。
独自なスタイル「他人の自画像」までの道のり、画家生活の苦悩、発想の源、ユーモア、夢が一杯詰まった石田ワールドの道案内。
本書の特徴:
・ 本画とそのアイデアスケッチ、合計416点を掲載、作品誕生のプロセスが分かる。
51冊ものノートやスケッチブックから259点を抜粋。
本画157点を掲載し、展覧会未出品作品もアイデアスケッチと共に紹介。
・ 美術館学芸員による主要作品の解説付き。
・ 作品化されていない斬新・面白スケッチの数々を掲載。
・ 作品化のアイデアのためにつけていた「夢日記」の文面公開。
・ 映画鑑賞や読書感想を掲載。独創的な考えが垣間見える。
著/石田徹也
B5変型(247×182ミリ) 並製本 336頁
展覧会情報
「石田徹也展-ノート、夢のしるし」
日時:2013年9月7日(土)~10月27日(日)
会場:足利市美術館
日時:2014年4月12日(土)~6月15日(日)
会場:平塚市美術館
日時:2014年9月6日(土)~10月5日(日)
会場:砺波市美術館
日時:2015年1月24日(土)~3月25日(水)
会場:静岡県立美術館
※本書は本展の公式図録兼書籍です。
★読者の声
高校生の時に石田徹也さんの作品を雑誌で見かけてから、
いつかこの方の作品がぎゅっと詰まった本が欲しいと思っていました。
先日、書店でふっとこの本を見つけて衝動買いをしてしまいました。
内容も充実していますし満足です。
( M.N 21歳 女性)