■アルネ・ヤコブセンのトータルデザイン




1937年、ヤコブセンは建築家のエリック・ムラー(1909−2002)と共同で「オーフス市庁舎」(1937−1942)のコンペに勝利する。ちょうどアスプルンドが「イエーテボリ裁判所」の増築(1934−1937)を完成させた翌年のことだった。ヤコブセンは、アスプルンドの裁判所を手本に市庁舎を手掛けた。メインホールの上部トップライトからの光天井、木をふんだんに用いた内壁、内部の手摺の繊細な縦桟のデザイン、階段の蹴上げと踏み面の断面を連続的に見せるささら板のデザイン、随所に設置した木の文字盤の大きな壁掛け時計に類似点が散見される。ヤコブセンは外壁のファサードや時計塔の設置に関しても逐一アスプルンドに相談した。そしてアスプルンドもヤコブセンを若き教え子とみなして、快く指導した。


