長崎の教会群とキリスト教関連遺産(ながさきのきょうかいぐんときりすときょうかんれんいさん)は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ追加掲載が決まった長崎県内にある教会、キリスト教に関わる史跡、文化財の総称。
2007年1月23日、文化庁が富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県富岡市など)、富士山(山梨県、静岡県。2013年に富士山-信仰の対象と芸術の源泉として世界遺産登録)、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群(奈良県明日香村など)とともに追加申請を決めた。
■概要
長崎におけるキリスト教の伝来と繁栄、激しい弾圧と250年もの潜伏、そして奇跡の復活、という、世界に類を見ない布教の歴史を物語る資産として、ユネスコの世界遺産暫定リストに登録された。長崎県では、正式に世界遺産として登録されるために、関係市町と情報共有を図って、保存管理計画の策定や国内外の同じような資産との比較研究などの一体的な取り組みを進めることとし、2007年11月12日に「第1回 長崎県世界遺産登録推進会議」を開催した。この推進会議はその後も開かれ、2012年6月までに5回開催されている。このうち2012年1月の第3回推進会議では、29の構成資産を14に整理することが承認され[1]、第4回および第5回推進会議を経て、現在は下記の13資産が構成資産とされている。
2013年8月に開催された文化庁の文化審議会では「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を同年度中の正式推薦候補とされたが[3]、内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議では「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が推薦候補とされた。政府は最終的に後者を2013年度の推薦物件とすることを決定し、前者の推薦は2014年度以降に持ち越しとなった。
2014年7月10日に文化審議会の世界文化遺産・無形文化遺産部会は、2016年の世界文化遺産登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する候補に選んだ。政府は閣議了解を経て、2014年9月末までに暫定推薦書をユネスコに提出し、2015年2月1日までに正式な推薦書をユネスコに提出する。登録の可否は2016年夏ごろの世界遺産委員会で決まる。
■構成資産
指定区分のうち「重要文化財」は、日本の文化財保護法第27条に基づき日本国文部科学大臣が指定した重要文化財(「国の重要文化財」)を指す。
■長崎県内
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大浦天主堂(国宝・地図)
大浦天主堂(おおうらてんしゅどう)は、長崎県長崎市にあるカトリックの教会堂で、1865年(元治2年)に建立された日本最古の現存するキリスト教建築物。正式名は日本二十六聖殉教者堂。その名のとおり日本二十六聖人に捧げられた教会堂で、殉教地である長崎市西坂に向けて建てられている。
1953年(昭和28年)に国宝に指定された。また、2007年(平成19年)にユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ掲載が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する文化財の1つである。
観光客の増加に伴い、1975年(昭和50年)に、天主堂に登る石段横の隣接地にカトリック大浦教会が建てられ、毎日のミサは大浦教会で行われている[1]。
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出津教会堂と関連遺跡(旧出津救助院を含む・地図)
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大野教会堂(重要文化財・地図)