1.日本家族法の成り立ちと特徴

■日本家族法の成り立ちと特徴

■家族と法

  家族と法は、相性が悪いと言われる。夫婦が相互に愛し合い、両親が慈愛に満ちた聡明な育児をすることが理想だとしても、法は、たとえば愛を失った配偶者に愛することを強制できない。しかし民法は、家族間の権利義務を定める。それはどのような内容で、どのような機能を果たすのだろうか。この講義では、それを考えてみたい。
150年前に明治維新を迎えた日本は、欧米諸外国との不平等条約を改めるために立法作業をすすめ、120年前に明治民法を立法した。「家」制度を定めていた明治民法が、個人の尊厳と両性の本質的平等を要求した日本国憲法に従って、70年前に大改正されて「家」制度が廃止され、現在の民法になったことは、常識として知られている。しかし現在の日本民法が定める家族法であっても、モデルにしたヨーロッパの民法とは相当に異なっていることは、それほど知られていない。日本家族法の特殊性とその抱える問題性を、比較法的な観点からも検討する。

    • 家族に関する最近の最高裁憲法判例

  • 日本人の法意識

    • 徳川日本と明治維新

  • 戸籍制度・登記制度の創設と明治民法の立法

  • 戦後の民法改正

  • 家庭裁判所の創設

  • 戸籍制度とは何か

  • 民法立法後の社会の変遷

  • 日本家族法の特徴