なぜ「今原発回帰」

■なぜ「今原発回帰」

岸田文雄首相が8月、原発の新増設や建て替え(リプレース)について年内に検討を進めるよう指示した。2011年に東京電力福島第「原発で事故が起きて以来の大きな政策専換だ0なぜ今「原発回帰」なのか。事故があらゎにした藻琴は解決したのか。√一−)

▶︎核や核廃棄物対策置き去り

 −原発の新増設や建て香えの検討を進めるという岸田首相の方針を、どうみますか。

 「昨年10月に閣議決定された土ネルギ一基本計画で瞥新増設や建て替えについて言及はありませんでした。ロシアのウクライナ侵攻や円賢で、原油やガスなどの輸入コストが上醍ユています。その不安に乗じた火事場泥棒的な方針の表明だと感じま心た。国の審議会でまともに議論した形跡もなく、内容もおょそ現実的ではありません」

 −新増設の候補は「次世代盲新炉」だとしています。。

 「革新炉といいますが、苦か\環境工泉ル半丁政策研究所所長いいだ てつなり飯田、哲也さんら開発されてきたものも含まれています。例えば高速炉。政府は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場

一と、プルトニゥムを使う属速炉による核燃瓢サイクルを回せ曙∵高レベル放射性廃棄物の処分期間が短縮できる利点もあるとしできました。しかし、高速増殖原型炉『もんじゅ』は廃炉、再処理工場も完成しておらず、完全に失敗しています」

 「これまで政府がしてきたことを、冷静に見直すべきです。候補とされながら何十年も落選し続けてきて、今更なにを期待1959年生まれ。京都大学や原子核工学を学び原子力産業などに従事した後、再生可能エネルギーの研究者に。2000年に現在の研究所を設立。するのでしょうか。同様に、以前かろ開発されている核融合炉や高温ガス僻も、実用化のめどは立っていません」稼働の振り返な遅れとコスト増をいます。

 建設過程で安全華厳しくなっていき、より原発の構造が複雑化しているから寧」基準を満たすまで止I従来より小さく低リスクとされる、小型モジュール炉はめられサ漉いた原発の再稼働を、ど事故や核廃 物対策匝 去り㌧rゼル・ゲイツ氏が開発に乗打出すなど、世界中で構想★開発が進められていますが、まだ実用化には至っていません。炉型も規模も燃料もバラバラで、、どのぐらい低リスクになるのか分からない上拡発注も進んでおらず」大量生産で安価になるという効果も望めないでしょう」

 「(電源を地域ごとに持つ)分散型エネルギー社会に貢献できるという主張もありますが」本当に分散立地できると思いますか。原発は、社会合意との闘いでした。建設の合意をとるのに10年、2・0年とかかる。すでに立地した地域の人間関係や雇甫などの情実に絡めて、集中立地してきたのが現実の歴史です」

 既存の原発と同じタイプながら安全性を高めたとされる、革新軽水炉は。

 「建設中のフランスや英国の原発などでは、いずれも工事や原子力ば、さされま委員会の審査を通れし「再擾働すれば使用済み核燃料はた濠ち続けます。福島庸一原発事鹿の処屈も事に負えない状況ですり革新軽水炉を含め、同程度塵早故が起きうる可能性に常に備えなければなりませんが、事遜を収束できる態勢や避♯計画蜜.っているとはい見ません。笹つした問題を横に置いて再稼働を進めるのは、極めて無責任です」菅′㌢舐小‖ち峯 冬 −政府は再生可能エネルギーの拡淡方針包ボしています。

 「原子力ではなく、ごちらに人とお金と時間を使うべきです。太蕩光も風力も、日議会国の電力供給量を十分にまかなえるポテンシャルがあり、約10年間で太陽光の発電コストは約90%下がった。風力も約70%下がっています。′市場が拡大していますから、今後丸り続けるでしょう。

 「太陽光と聾から、最大化すゎ油、⊥天然ガスなびても済む。エネ山上も得策です。ヰ備は1〜2年で卓風力も数年。蓄轟くな丁ていて、.ナを主役にして苦瓜とが世界の本流爪 −太陽光発爵つながるとの指墟 「土地利用の悶確かです。林地紺らいレか規制の爪知事の許可が必東上。環境アセス」大規模なものだ山2′012年に始央固定価格買い取hスが過剰な開発丸・1どうすべ七f 「すでに人の土を優先的に利用ふていくべきでずっ地です。農業をト発電をする、を地を利用する。免役立ちます一塁た不正には規制ぶ


あり、雇用維持も期待されます」原発政策を検討する原子力貞会の委員長ですね。「昨年、政府のエネルギー基画が蕾とめられる際に、小して康子力の最大活用を捉ました。
今回の首相の検討はむ点で、再稼働への鍵力、運鞍期間延長など既設原最大の活用、革新開設、使用汲み核燃バックエンドプロスと理解しています。

はどこにありますか。ますので、年末までに仕上げていくことになります」 −原発の新設・増設の利点
「原発は、エネルギー安全保障・脱炭素・発電コストの面で貢献でき、エネルギー政策の重妻な選択肢です。新着すれば、何十年も電力が確実に得られるシステムとして社会の安定化に寄与します。その場合、最新技術を導入した炉を新増設した方が、国民にとっては安全安心が向上します。そして国内で原子力技術者が継承され、技術が発展して国際的にも貢献できる。建設から廃炉までの100年間、合計で20万人の雇用が生まれるという国際機関の報告書も

新増設を検討する「次世代革新炉」とはて 「小委の作業部会で挙げたのは革新軽水炉、小琴(軽水)モジュール炉、一高速炉、ノ高温ガス炉、核融合炉の五つです」 「三つのグループに分かれると患っています。一つ目が(従来の原発同様に)熱中性子を便′う、革新軽水炉と小型モジュール炉。二つ目が(奔炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ同様に高速中性子を使う)高速炉J三つ目の高温ガス炉と核融合炉のグループは、まだ技術的に難しい点があります」
−次世代炉は小型炉などと患っている人も多いですが、近い将来の新増設として実際に考えられているのは、今の原発の延長線上の革新軽水炉ですね。

「今の技術で2050年ぐらいまでを見通すと、きちんとエネルギーを供給できるのは、やはり軽水炉になります。今の規制基準に合わせて安全性が相当程度舟上し、軽水炉の集大成のような形になっているから革新軽水炉なのです。現実的な可能性が一番高いと考えています」

−経済性を追求して大型化を進めてきた従来路線の選長で・いいのですか。 「革新軽水炉も経済性の観点から大型化する流れはあります。大型炉の方が、炉心に含まれる核燃料物質の量が多いのは間違いない。ただ、色々な設計があるので、必ずしも規模と安全性は反比併の関係ではありません。大型は大型に適した安全の考え方できちんと見ることが重要だと思います」
「(5重に安全対策を重ねる)『深層防護』の考え方で、バランス良く防護を考えるのが筋です。小型モジュール炉は安全性が高くて何も心配がない、大型炉だから安全性を軽視しているということでは決してない。安全健保の考え方を国民に′説明しないといけません」

 ー福島第一原発事故はし原発集中立地のリスクをあらわにしました。新増設と打っても、どこにどの程度の立地が認められるのですか。
「60年運転でも、2060年ぐらいになると国内の原発は5基程度になります。(エネルギー基本計画に書かれている)20〜22%の原子力比威すれば、その頃ま不基ぐらいは新しく放けない。今後30年ぐらいでしっかり議論して方針を定める必要があると思っています」

 原子力の安全や信頼は、事業者にかかっています。東電柏崎刈羽原発でのIDカード不正使用や、関西電力持ち役員らの金品受領問題など、耳を疑うなことが続いています。

 「これからカギを握るのは、原子力産業界の自主規制機関だと思います。安全文化やモラル、倫理観などが劣化しないよう、自主的に電力会社をコントロールし、規制委はそれがパフォーマンスに反映されているかをしっかり見る。そんな仕組みを確立すべきです。
・・・福島第一原発事故では、運転員らが献身的に対応してくれましたが、民間企業の従業員に命を懸けた対応を求めることが許されるのかとも考えます。 「事故以来、緊急事態では200㍉シーベルトまで被曝を承諾してくれた人が関わることにはなうていますが、もっと大きな事態では自衛隊などが関わることもあるかもしれません」

山口 彰さん(やまぐちあきら・原子力安全研究協会理事)・・・・1957年生まれ。専門は原子炉工学、リスク評価など。東京大学教授、日本原子力学会会長などを経て2022年から現職。