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■銅器着色について
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銅器着色
▶銅器着色について
高岡銅器にはさまざまな着色が施されております。
青銅色・煮色・宣徳色・鍋長色・朱銅色・焼青銅色・鉄漿色(オハグロ)etc・・・。いろいろな技法・薬品の組み合わせで数十種類もの色のバリエーションを作り上げております。
これらの色の発し方(出し方)は先人方が試行錯誤を繰り返しながら研究し、開発してきた大切な財産であると思います。これら着色技法は、実に利に適った手法で、自然に背を向けず、ブロンズ・真鍮といった、銅合金に自然調和した着色法です。これが長い間、高岡銅器の信用と名声を保ってきた大きな要因と考えられます。
代表的な着色法
▶[煮色]
硫酸銅・塩基性炭酸銅の溶液に銅器を浸し、徐々に温度を上げ、その後自然に温度が下がるまで浸しておき色目を発生させま す。概して茶褐色・黄銅色を表現する手法などにみられる、酸化被膜形成による着色とは違い、酸化によって色が着いただけの極めて薄い緻密な被膜の表面に、 銅が無電解メッキされた事になります。主に、高級花器・茶道具などに使われます。
▶[鍋長色]
丹礬酢溶液(硫酸銅を食酢に溶解させた液で下色と称す)に浸した後、乾燥した刈安草(山林に自生するススキに似たイネ科の植物)を水で煎じて煮出した溶液に浸し、また下色に戻し黄赤色にし、朱合漆を塗布し仕上げます。主に花器・茶道具に使われます。
▶[朱銅色]
品物に米糠に薬品を混ぜ込んだ物を塗布し、真っ赤になるまで熱し、冷却した後、表面の黒い酸化被膜を研磨し赤い朱銅がムラとなって現れます。丹礬酢溶液(下色)や、煮色に漬けることによって朱斑がはっきりと引き立たせられます。主に香炉や、花器に使用されます。
▶[鉄漿(おはぐろ)]
日本酒・食酢に焼いた鉄屑などを入れ数ヶ月以上寝かせた溶液を、用途によって2~10倍程度に水で薄め、焼き付け・染め 付けをしていく着色で、品物を加熱しながら、シュッ・シュッと音出るくらいに鉄漿を何度も刷き上げます。刷き回数、鉄漿の濃度によって浅い赤みや,茶褐色 などの色を表現します。前記した煮色・宣徳色・鍋長色・朱銅色と組み合わせて着色する場合が多くあります。
主に、香炉・花器・置物などに使用されます。
▶
[焼青銅]
品物を米糠に薬品を混ぜ込んだ物を塗布し、または塗布せず直接炭火で焼き上げ酸化被膜を研磨し、その後、後に記す青銅色を発色させます。主に花器に使われます。
▶[焼青銅]
青銅色は他の趣のある渋み色に比べ鮮やで、優雅な色目となります。青銅器は、紀元前何千年もの昔に銅を発見して以来石器文化から移行し、使用されております。メソポタミア文明そして大陸を伝播し、中国・日本と青銅器文化は移ってきました。
日本でも銅鐸などの青銅器は多く発掘されておりますが、どの青銅器も、エメラルドグリーンや・深い緑・鮮やかな青色・茶褐色などが絡み合い銅の素材が長い 年月に渡り朽ち、銅錆が満遍なく形成されており、ここで称する青銅色になっております。青銅色は、銅素材の自然腐食・錆色を人為的に発色させる技法です。
銅の錆を緑青と表しますが、緑青とは大気中の炭酸ガスと銅が長時間に渡り反応し合い生じた形成物であり、その緑青(銅錆)を短時間で俄かに発生するには 様々な薬品、技法を使います。丹礬酢・硫酸銅・酢酸銅・塩化アンモンetc・・・・といった薬品を調合し、時には加熱しながら、
また時には日光の下で塗布 し、何度も何度も繰り返し塗布、ふきあげを行うことによって自然に形成された緑青に近い酸化被膜を表面に発生させております。自然に大気中の炭酸と銅が化 合してできる保護被膜(緑青)の形成も妨げず、助長し合うように表面処理を行います。この青銅色は、青みの強い色には「この薬品とあの技法」、黄ばみのあ る色目には「あの薬品を使用し、加熱をしながら発色させる」、「真鍮製品ではこれ」など、仕上がり色目と素材によって、また職人よって千差万別で、各々の 家で伝承されてきた技法を受け継ぎ、変化してきております。
▶コーティング
着色の仕上げには蜜蝋やイボタ蝋を表面にコーティングして仕上げます。蝋をコーティングすることによって艶出しと、ゴミ・汚れの付着を防止し耐久性を増します。
▶[蜜蝋]
蜜蜂の巣から採取する蝋で艶出しと着色被膜の保護に優れております。
▶[イボタ蝋]
いぼたの木の樹皮にイボタカイガラムシが寄生し、この虫が体表に蝋を分泌し、秋に羽化するときに、この蝋を樹皮に残して いきます。これを俗にイボタ花と言います(粉状)。これを布で包みタンポンのように作品に塗布し、すり込んで仕上げます。また、イボタ花を熱し精製し固め たものをイボタ結晶と言います。品物を熱しイボタ結晶を微量に塗布し布で伸ばし刷りこませます。イボタ結晶は他の蝋に比べ融点が高く非常に伸びがよく優雅 な光沢感と耐久性に優れた最高級の蝋です。
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