建築基準法の抜本的見直しの最近の記事


下記の「政策提言」は、東日本大震災以前に執筆したものです。

このような「政策提言」等を、昨年段階から各方面に働きかけていた矢先に (例えば、下記のように、国土交通省系の雑誌「建築技術」で、昨年段階で「東日本の地震活動度が異常である」ことを報告しています)、地震が発生しました。本来このような「政策提言」は大地震に備えるものであり、大地震発生までに実現していなければ意味のないもので、失われた多くの人命と、発生した甚大な被害を思えば、非常に痛恨事であります。

 「建築技術」2010年1月号特別記事 「震度6弱以上の地震発生確率の驚異的上昇とその建物被害」
 「建築技術」2010年4月号特別記事 「大きな節目の年、耐震基準の引き上げへ」
   この特別記事では、昨年段階で「東日本の地震活動度が異常である」ことを説明しています。
   それを受けて、昨年末から「耐震基準」改正について、以下のように連載していました。
 「建築技術」2011年1月号連載 1 「『耐震基準』を歴史的視点から見直す」
 「建築技術」2011年2月号連載 2 「『耐震基準』改定は喫緊の課題」
 「建築技術」2011年3月号連載 3 「『豊かな時代』にふさわしい『耐震基準』のために」
 「建築技術」2011年4月号連載 4 「足元固定構法から足元フリー構法への歴史的転換」
 「建築技術」2011年5月号連載 5 「地震国日本の有史以来の「悲願」実現と「日本復活」への処方箋」


西暦800年代後半の「大地震活動期」ともいえる状況になってきましたが、今後、日本の中枢を襲うであろう、東海地震、東南海地震、南海地震、関東地震、またこれらの地震前に発生する内陸直下地震(首都直下地震は関東地震の前に発生)のためにも、以下の「政策提言」は、今度こそ、これらの地震発生前に実現されなければならないものです。


※ブラウザの Safari では、帯グラフの文字(震度、galの表示)ずれを起します。
この内容は、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以前に執筆したものです。



日本復活のための

政 策 提 言


耐震基準の重大問題から


有史以来の「悲願」達成、夢の実現
地震被害0に向けての国づくり

内需拡大政策から
日本(経済)の復活へ




「政策提言 要約版」 「政策提言 簡約版」 「耐震基準の歴史的大改定へ」
「建築技術」2010年1月号「特別記事」 「建築技術」2010年4月号「特別記事」
「建築技術」2011年1月号から「建築基準法の抜本的見直しのために」連載
「大きな節目の年,耐震基準の引上げへ」) 



(主要8ヶ国(G8)+中国+インドのGDPグラフ 1985年? 世界銀行資料)
 ⇒ 「日本復活のために」

バブル崩壊後の「空白の15年間」(現在も続いているが)が、余りにひどい状況である。
まったく停滞している。このままでは日本の未来は無い。

この政策提言に、「日本復活」という思いを込めた。
このまま放っておいては日本は立ち直れる可能性は無く、日本経済は没落し、貧しい住宅、それも地震に対して半分程度の、耐力不足の住宅、建物だけが残る。悲惨な未来像である。
今回のチャンスを逃すと、明日の日本は無いと考えられる。
 



250万アクセス突破
( I AU HP)

 この政策提言の実行によって、有史以来の、日本の「悲願」である「地震に強い日本」が実現し、30年程度という長期間にわたる持続的成長が可能になる。成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよい。また、我が国が最も世界から求められている政策でもある。

 このようなことを実行しなければならないのは、耐震基準における重大問題が発生したからである。

 建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は、長期間にわたって震度6強?7程度とされてきたが、現行震度階(1996年気象庁震度階改定)では、震度6弱程度だったことが判明した


 ★1996年気象庁震度階改定による旧・新震度階の加速度比較
震度
5弱
5強
6弱
6強
震度階(gal)
25?80
80?250
250?400
400?
改定震度階(gal)※1
25?80
80?140
140?250
250?450
450?800
800?
改定震度階(gal)※2
  ?100
100?240
240?520
520?830
830?1500
1500?


         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0  80   250   400gal 



震度階
1996年以前


         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0  80 140 250    450      800gal



改定震度階
※1

5弱
5強
6弱
6強

         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0 100  240     520      830         
      1500gal 


改定震度階
※2

5弱
5強
6弱
6強


 損傷限界:建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界
 安全限界:建築物が倒壊・崩壊等しない限界

 ※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。
 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
 ※なお、グラフの色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定



 ★震度7の新旧震度階比較 (震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)
震度
加速度(gal)
速度(kine)
震度階
400?
40?
改定震度階※2
1500?
100?



 以上のように、1996年気象庁震度階の改定により、長年、300?400gal を、震度6強?7程度(旧震度階) としてきた建築基準法の「安全限界」は、1996年以降、震度6弱程度に引き下げられていた
 また、超高層建築物も、以下のように、「安全限界(レベル2)」は震度6弱程度である。

 ★超高層建築物の動的解析によく使用する地震動とその計測震度
 ※なお、震度の色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定


             (損傷限界)   (安全限界) 
            震度4?5弱   震度6弱 
   地動加速度:0gal 80?100gal    300?400gal程度 

  



基準法通り建物


 
無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■



 実際の地震でも、新耐震基準の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)している。



【1982年以降建物全壊率-計測震度/出典:中央防災会議+気象庁



 しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上(下地図の黄・橙・赤色地域)が予測されている。また、その「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿地方の多くの市区町村で50%を超えた(下表参照)。





30年以内で 震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる都道府県
(2009年基準での2008年との比較)
政府地震調査委員会
地方
都道府県
2009年
(県内最大値(役場))
2008年
(2009年同地点の値)
北海道
北海道
63.89%
20.21%
東北
宮城県
58.36%
 6.45%
関東
茨城県
78.13%
12.50%
埼玉県
65.39%
27.34%
千葉県
77.03%
17.85%
東京都
67.93%
29.20%
神奈川県
88.71%
73.41%
甲信
山梨県
89.88%
86.41%
長野県
60.31%
47.18%
東海
岐阜県
73.37%
29.68%
静岡県
96.44%
92.84%
愛知県
94.57%
85.46%
三重県
87.09%
73.37%
近畿
滋賀県
51.66%
 7.09%
京都府
61.40%
29.93%
大阪府
68.79%
28.55%
兵庫県
52.30%
26.28%
奈良県
73.63%
46.54%
和歌山県
86.80%
80.14%
四国
徳島県
68.93%
54.61%
香川県
54.33%
23.69%
愛媛県
65.00%
40.20%
高知県
65.09%
59.18%
九州
大分県
55.59%
 8.73%
宮崎県(参考)
49.27%
17.72%


※県内の県庁及び各市区町村役場(周辺)での最大地震発生確率で、県内の地域でこれ以上になる場合がある。 2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。
 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村)




30年以内で 震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる4大都市(役場単位)
(2009年基準での2008年との比較)
政府地震調査委員会
4大都市
場所
2009年
2008年
東京都区内 大田区役所
67.93%
29.20%
  江戸川区役所
66.27%
30.94%
  葛飾区役所
64.31%
29.78%
  荒川区役所
63.55%
14.27%
  江東区役所
62.25%
40.17%
  足立区役所
61.75%
13.06%
  港区役所
61.32%
27.15%
  中央区役所
61.20%
24.76%
横浜市 港北区役所
71.41%
30.48%
  栄区役所
69.00%
15.85%
  神奈川区役所
68.23%
29.62%
  鶴見区役所
67.82%
32.82%
  西区役所
67.66%
45.92%
  横浜市役所
66.73%
32.87%
  中区役所
66.73%
32.68%
  南区役所
55.96%
32.88%
  磯子区役所
55.22%
27.71%
名古屋 南区役所
88.11%
67.52%
  天白区役所
84.57%
44.74%
  中村区役所
82.78%
64.48%
  中川区役所
81.40%
48.92%
  港区役所
77.57%
53.46%
  西区役所
77.17%
58.03%
  北区役所
72.33%
55.52%
  熱田区役所
53.50%
47.36%
  緑区役所
50.67%
60.03%
  中区役所
50.01%
39.36%
大阪市 平野区役所
68.79%
28.55%
  鶴見区役所
68.61%
24.98%
  城東区役所
68.56%
30.19%
  都島区役所
68.52%
29.55%
  東成区役所
68.06%
25.73%
  旭区役所
65.80%
23.05%
  東淀川区役所
64.60%
21.84%
  住之江区役所
63.66%
26.75%
  西区役所
60.89%
23.52%
  大阪市役所
59.73%
23.04%
  福島区役所
59.04%
22.33%
  淀川区役所
57.65%
21.43%
  大正区役所
56.87%
24.31%
  西淀川区役所
56.14%
20.84%
  港区役所
55.06%
23.21%
  此花区役所
52.66%
22.00%


※各市区役場(周辺)での最大地震発生確率で、市区内の地域でこれ以上になる場合がある。 2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。
 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村)



 このような重大問題が発生している。

 2010年は、市街地建築物法公布(1920年)から90年、建築基準法公布(1950年)から60年、新耐震基準施行(1981年)から来年で30年、阪神・淡路大震災(1995年)から15年と、大きな節目の年である。
 上記の「安全限界」の問題が連動するのは標準せん断力係数=0.2であり、その概念自体は、関東大震災直後の1924年の「市街地建築物法施行規則改正」以来一貫してきたもので、あと4年で90年となる。現在、国の水準から考えると、見直すべき時期にきている。

 「耐震基準における重大問題」が発生した、このタイミングに、地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成を目標に掲げ、第二の建国といってもよい歴史的大事業を実行すべきであろう。
 そして、この大事業のおかげで、25?30年間は、建設ラッシュとなり、大きな内需拡大につながり、現在の経済不況から脱出できるだけでなく、25?30年間という持続的経済成長が見込める。

★有史以来の「悲願」である「地震に強い日本」の実現、歴史的大事業
 この事業は、地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成であり、第二の建国といってもよい歴史的大事業になる。有史以来の、この国の夢の実現である。
 そして、我が国は「地震被害を0にできる技術」をすでに持っている。

★過去最大にして非常に長期間にわたる「経済成長政策」
 耐震性アップを行わねばならないその戸数が、既存建物5000万戸以上という、あまりに多い戸数のために、非常に長期間にわたる。「国民の命」と直結する問題ゆえに、最優先的に行わねばならない。そのため、過去最大にして非常に長期間にわたり、成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよいものである。

★建設、未曾有の事態から、現在最も待ち望まれている経済政策
 国土交通省が2010年1月に発表した建築着工統計によると、2009年の新設住宅着工戸数は前年比27.9%減の78万8410戸となった。1968年に100万戸を超えてから初めての100万戸割れであり、45年前の水準にまで落ち込んでいる。まさに未曾有の事態であり、今現在においても、最も求められている経済政策といってもよい。

 機は熟した。あとは実行あるのみである。



■耐震基準 (現行の耐震基準(新耐震基準)は昭和56年6月から適用)


中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず
極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない

ことを目標としている。 ⇒ 国土交通省のQ&A



【参考】 「気象庁震度階級関連解説表」における「震度7」の解説

 2009年3月31日に改定になった「気象庁震度階級関連解説表」でも、
木造建物で、「耐震性が高い」(昭和57年以降の「新耐震」を想定)ものは、
震度7」の解説において、

「壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。まれに傾くことがある。」

となっている。 ⇒ 説明




 それが現実には、

現行耐震基準の、木造、鉄骨造、RC造の建物が、実大実験で、震度6強の地震動で倒壊
実際の地震でも、新耐震基準の木造の建物が、震度6弱から全壊下記グラフ参照

している。




 しかるに、構造設計者は、このような、よくわからない状況下で、建築確認申請時に、「構造安全証明書」に押印させられて、建物の構造の安全性に関する責任を取らされている。
 一体、国の「耐震基準」が正しいのか、実際の実大実験、地震被害のデータが正しいのか。あまりに食い違いすぎている原因を明らかにすることが、本書執筆のきっかけであった。

■耐震基準の問題の骨子1


 この政策提言のベースとなる話は、日本の全ての建物、全ての国民の命に関わる国の「建築耐震基準の問題」の話である。


 建築関係の多くの方々から、

「耐震基準は、ずっとおかしいと思っていた。」
「他の領域に比べて、大きく時代に遅れてしまっている。」

という言葉をいただいた。


 建築基準法通りに作った建物が、震度6強の地震波で、実大実験で倒壊するたびに、研究者は、顔面蒼白になっていた。
 阪神・淡路大震災でのJR鷹取波などは、震動台上で体験すると、これでは、もつわけはないと納得できる。 それまでの 50kineクラスの地震波(現行基準では 40kine)に比べて、150kineクラスの地震波は全く水準の違うものだ。それでも現行の気象庁震度階では震度7にはならない。( kine=cm/秒 ⇒ 「全壊率の指標」 )

 建築基準法通りの建物が「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」というような観念が、このJR鷹取波を観測した阪神・淡路大震災後においても、どうして形成されてしまったのか。実大実験を重ねるごとに、不思議さを感じていた。

 このような震動台上での体験から、今この時期に(被害地震が頻発し、地震活動期に入らんとしている状況下で)、国民の生命と財産を守る「耐震基準」をきちんとしておかないと、大変なことになる、手遅れになってしまう、という思いで、今回、この内容をまとめた。


 この「建築耐震基準の問題」の話は、非常に単純な話である。
1996年に、気象庁が、前年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の現地調査の結果を見て、震度7の説明文の内容とほぼ一致するように、すなわち、家屋の倒壊が30%以上になるように、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った(800?1500gal)。 ⇒ 説明1 
 その時点で(それ以降も)耐震基準の改定を行わなかったので、上記の「耐震基準」と矛盾することになってしまった。

 その結果、

現行耐震基準の、木造、鉄骨造、RC造の建物が、実大実験で、震度6強の地震動で倒壊
実際の地震でも、新耐震基準の木造の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)

している。


【1982年以降建物全壊率-計測震度 】

 青▲は1995 年兵庫県南部地震の西宮市のプロット、
 黒●▲は、平成15年の宮城県北部の地震、平成16年(2004 年)新潟県中越地震、平成17年
 の福岡県西方沖の地震、平成19年(2007 年)能登半島地震、平成19年(2007 年)新潟県中
 越沖地震、平成20年(2008 年)岩手・宮城内陸地震、平成20年の岩手県沿岸北部の地震

 出典は、気象庁「震度に関する検討会 報告書」(平成21年3月) 第1章の 1 - 22頁
 震度階級と計測震度との関係:波形記録有無含む全データは第3回検討会資料2-2 20頁より
 震度6弱:計測震度5.5?6.0  震度6強:計測震度6.0?6.5  震度7:計測震度6.5?



 建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とするなら、耐震基準の「安全限界」の加速度(300?400gal)も、同等に改定すべきである、ということである。


 特に、

頻発する被害地震
30年以内 震度6弱以上の地震発生確率の異常な高さ
100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測 (4000gal観測も)

のことを考えると、耐震基準の見直しは急務である。 ( 重力加速度1G=981gal )


 既に民間でも動き出しつつある。

「民間独自の耐震基準づくり」 (150kine 1500gal基準)

それに対し、現行耐震基準は、40kine 400galである。あまりに大きく隔たっている。

■耐震基準の問題の骨子2


  建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とする場合、標準せん断力係数をどの程度上げざるを得なくなるか、を考えてみる。


■「加速度基準」で考えて

 建築基準法通りの建物が倒壊等の被害を生じない、「安全限界」の加速度は、300?400gal である。その震度は、長年にわたって震度6強?7程度とされてきたが、1996年の気象庁震度階改定により、震度6弱程度に引き下げられている。

 【1996年気象庁震度階改定による旧・新震度階の加速度比較】
震度
5弱
5強
6弱
6強
震度階(gal)
  
25?80
80?250
250?400
400?
改定震度階(gal)
※1
25?80
80?140
140?250
250?450
450?800
800?
改定震度階(gal)
※2
  ?100
100?240
240?520
520?830
830?1500
1500?

 ※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は※2のように大きくなる。
 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。


 上表からわかるように、「加速度」で考えて、
震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標
とする限りは、1996年の気象庁震度階改定で、2倍以上差が生じているので、2倍以上、標準せん断力係数を上げざるを得なくなる。

 ⇒ 詳細


■実効入力地震動からみても

 「震度を知る?基礎知識とその活用」(監修気象庁)212頁の記載に従えば、
1996年に気象庁は、前年の兵庫県南部地震の現地調査の結果を見て、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った。

 この説明に従えば、
1948年の福井地震の被災状況をみて、1949年に、家屋の倒壊が30%以上となる(震度7相当の)地震加速度を400galとし、
1995年の阪神大震災の被災状況をみて、1996年に、家屋の倒壊が30%以上となる(震度7相当の)地震加速度を、800gal(河角式の通り)まで引上げているので、
1996年改定段階で、実質2倍に引き上げたことになる。
(1981年に建築基準法改正で、在来木造の必要壁量を1950年段階の約2倍に上げているので、この話は対応する。)

1949年に、実効的なものとして、400galとし、
1996年に、実効的なものとして(継続時間=「建物への作用時間」を考慮して)、800galとしたわけである。

1997年版「建築物の構造規定」、2001年版、2007年版の「建築物の構造関係技術基準解説書」の説明に従えば、「実効入力地震動」に相当し、

実効入力地震動 400gal ⇒ 地表面地震動 800gal
実効入力地震動 800gal ⇒ 地表面地震動 1500gal(内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より)

というようになる。

 このように「実効入力地震動(加速度)」で考えてみても、
震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標
とする限りは、1996年の気象庁震度階改定で、2倍程度差が生じているので、2倍程度、標準せん断力係数を上げざるを得なくなる。

 ⇒ 詳細


■「速度基準」で考えてみても

 本論全体は、現行の気象庁震度階の震度計算における「加速度基準」に従って論を進めているが、現行の気象庁震度階には、後述のような問題があるので、中央防災会議の全壊率テーブル等にしたがって、震度を「速度」で換算して考えてみた。その場合でも同様の結果となった。全壊率は、「加速度」よりも「速度」の方が、より相関していることは、「全壊率の指標」の通りである。

 内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」から、

震度
5弱
5強
6弱
6強
最大速度(kine)
4?10
10?20
20?40
40?60
60?100
100?
となる。

現行建築基準法の「耐震基準」の、倒壊等の被害を生じない「安全限界」の地震動の速度は、40kineである。この表 から見ても、現行「耐震基準」は、「5強?6弱」である。これは時刻歴応答解析結果と合致する。

 ※出典:
 ・「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定?確率論から考えても」渡部丹 37-3、145頁、公共建築、1995年
 ・「設計用模擬地震動に関する研究」渡部丹 建築研究報告No.92,March1981,建設省建築研究所


それに対して、
震度7は、100kine以上である。

  このように「速度」で考えても、
震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標
とする限りは、1996年の気象庁震度階改定で、2倍以上差が生じているので、2倍以上、標準せん断力係数を上げざるを得なくなる。

 この「速度基準」での説明の方が、気象庁の現行震度階の「加速度基準」による問題に煩わされずに、現行建築基準法の「耐震基準」の問題を明瞭にすることができる。

 ⇒ 詳細


■以上のことから

 建築基準法の耐震基準を「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」とする限りは、2倍程度、標準せん断力係数を上げざるを得なくなるのである。

 ⇒ 詳細

■極めて心配な問題 (施主・設計者・建設会社の立場から見て)


1.国の「耐震基準(新耐震基準)」は、
「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としています。」 ⇒ 国土交通省のQ&A

2.実際は、
震度6弱程度で安全限界に達し、最悪、震度6弱から全壊の可能性がある。 ⇒ 説明1 




★極めて心配な問題 1
 昨年の政府地震調査委員会の発表では、その震度6弱以上の地震の30年以内発生確率が驚異的に上昇し、関東・東海・近畿の多くの市区町村で50%を超えている。 ⇒ 説明1 




★極めて心配な問題 2
 こういう状況であるが、
 国は、いまだに、この「耐震基準」を改訂していないので、
 施主は「震度6強から震度7程度」では大丈夫と思い、「震度6強から震度7程度」の地震がくれば、倒壊した建物の下敷きになって大怪我をしたり、命を失う可能性もある。
 その場合、設計事務所、工務店・建設会社等は、施主側から、国の「震度6強から震度7程度では倒壊等は生じない」という耐震基準に違反しているとして、訴訟を起される可能性が高い。 ⇒ 説明




★極めて心配な問題 3
 さらに、国の耐震基準の「震度5強程度に対しては、ほとんど損傷を生じず」も、動的解析によれば、震度4?5弱という結果になっている。 ⇒ 説明

 この場合も、
 施主からみると、「震度5強程度に対しては、ほとんど損傷を生じず」と思い込み、震度4?5弱地震で損傷してしまうと、想定外の大きな損害となり、資産価値が大きく低下することになる。
 設計事務所、工務店・建設会社等は、国の耐震基準が「震度5強程度まで損傷が生じない」となっているので、施主から訴えられる可能性がある。訴訟の数としては、こちらの方が圧倒的に多いかもしれない。



 以上の話は、1996年に問題が起こっているので、それ以降の全ての建物が対象の話である。



■成熟期の最後に残された最大且つ持続的な景気・経済対策


★過去最大にして 非常に長期間にわたる「景気・経済対策」
 耐震性アップを行わねばならないその戸数が、既存建物5000万戸以上という、あまりに多い戸数のために、非常に長期間にわたるが、「国民の命」と直結する問題ゆえに、最優先的に行わねばならない。そのため、過去最大にして非常に長期間にわたり、成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよいものである。
 法的、税制上の優遇、誘導策を講ずれば、30年程度と長期間にわたり持続的経済成長が遂げられる政策になる。その期間は、戦後復興期+高度成長期以上のものとなる。
 住宅は内需拡大の最大のものである。非常に裾野が広く、乗数効果が高い。
 まだこの国には家計部門の金融資産1452兆円(2010年3月末)があり(蓄えがある段階にやらねば手遅れになる)、それが世に出まわりはじめれば、経済活性化のきっかけになる。
 そして、30年以上という長期間にわたる持続的経済成長が見込めるので、将来に対する不安を一掃でき、これをきっかけにして本格的経済成長が始まる。

★有史以来の「悲願」である「地震に強い日本」の実現、歴史的大事業
 地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成であり、第二の建国といってもよい歴史的大事業になる。有史以来の、この国の夢の実現である。
 そして、我が国は「地震被害を0にできる技術」をすでに持っている。

★世界の国々から最も求められている大事業
 この「地震に強い日本」へと向かう大事業は、我が国が世界経済の重要な役割を担っているため、世界経済の安定という視点からも、世界の国々から最も求められているものである。
 そして、これは、次の日本の発展ために、生活基盤だけでなく、産業基盤の整備、「地震に強い日本」を形成し、世界経済の安定、そして、世界平和に貢献する。

★建設、未曾有の事態から、現在最も待ち望まれている経済政策
 国土交通省が2010年1月に発表した建築着工統計によると、2009年の新設住宅着工戸数は前年比27.9%減の78万戸台となった。1968年に100万戸を超えてから初めての100万戸割れであり、45年前の水準にまで落ち込んでいる。また、国土交通省の2010年度の建設投資の見通しも、1977年度以来の、33年ぶりの低水準としている。まさに未曾有の事態である。
 そのため、この経済政策は、今現在において、最も待ち望まれている経済政策といってもよいものである。

 ⇒ 詳細



■「建築基準法の見直しに関する検討会」座長と関係委員、及び
日本建築学会、日本建築構造技術者協会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の各会長への送付内容(要旨)について



今回の「耐震基準の重大問題」について、既にご報告しております。
この問題を、国民の視点、建設会社・設計者の視点で、もう一度まとめてみました。

国民の視点で考えれば
「国民は、自分の命を守れない状態に置かれている」ことです。
今回の「耐震基準の重大問題」の事実の公表が絶対必要です。

★建設会社・設計者の視点で考えれば
気になる問題としましては、下記 2.に書いていますが、
下記 1.のことを国民(施主)に説明したとしても、
建設会社・設計者の責任という観点で考えれば、まだ十分ではないと思われます。
なぜなら、
国の「耐震基準」の震度階が、いまだ訂正されておらず、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」となっていますので、
震度6強から震度7程度の地震で倒壊した場合、
建設会社・設計者の責任にされる可能性が十分にあり、紛争になることは目に見えています。
(構造設計者の場合は、建築確認申請時に「構造安全証明書」に押印させられていることもありますので、責任はさらに重大です。)
これは、心配なことです。

国民(施主・使用者)の立場に立っても、「耐震基準」の誤った情報のために自分達の命さえ守れない状態にあり、建設会社・設計者の立場に立っても、国の「耐震基準」の震度階の訂正を、一刻も早くしてもらわなければ、ということです。

★さらに、問題なのは、今回の「耐震基準の重大問題」が、いまだ、「建築基準法の見直しに関する検討会」では、取上げられていないことです。
今回の「耐震基準の重大問題」は、「国民の生命と財産」に直結する重大問題です。
「建築基準法の見直しに関する検討会」は、耐震偽装問題から始まっていますが、これは、さらに、大元の問題であり、見過ごすことができない重大問題です。


以下に、国民への説明内容をまとめてみました。
まずは、事実のみの発表だと思います。
国民に事実をまず知ってもらい、国民の論議を待って「耐震基準」の引上げを考えても良いのではないかとも思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.国民への説明内容

 「国民は、自分の命を守れない状態に置かれています」
 事実の公表が絶対必要です。
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◆国民の視点で考えて、
日本の建物の安全を規定している「耐震基準」が、以下のように大きく違っています。
そのため、現在、国民は、自分の命を守れない状態に置かれています。
事実が公表されていないゆえの大問題です。

国民への説明内容を整理しますと、

◆現行の「耐震基準」の国交省説明は、
「(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」
  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10 (国交省)
の震度は、1996年改定前の「旧震度階」に基づくもので、それが、現行の改定震度階(「新震度階」)と混同されています。しかも、その旧と新の震度階の差が非常に大きい。

◆「新震度階」に基づけば、例えば、内閣府「地震被害想定支援マニュアル」の説明では、
  http://www.bousai.go.jp/manual/v-4.htm
震度6強-7の境界加速度は、1500galとなっています。
それに対して、現行の「耐震基準」の、「倒壊等の被害を生じない」水準の「極めて稀にしか発生しない大規模の地震」の加速度は、300gal?400gal程度であり、現行の震度階での震度6強-7の境界加速度(1500gal=内閣府)との差が、あまりにも大きく拡がっています。
つまり、「加速度」基準で見ると、「耐震基準」での震度6強-震度7と、現行の震度階での震度6強-7とでは、4倍程度の差がついています。

◆基準法レベルと震度6強との比較
また、全壊との関係の相関性が高い、「速度」基準で見ても、「基準法レベル」と「震度6強-7の地震動」とに、非常に大きな開きが出ています。
以下のように、「基準法レベル」と、本来は「耐震基準」では耐えられるはずの「震度6強-7の地震動」とに3倍程度の差がついています。

                     南北     東西      東西南北合成
 基準法二次設計(5強6弱) 40kine  40kine  56kine※
 JMA神戸(6強 (6.3))   75kine  90kine 105kine
 JR鷹取 (6強 (6.4))  121kine 125kine 156kine


※基準法二次設計レベルの40kineは、渡部丹著「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定?確率論から考えても」37-3、145頁、公共建築、1995年、 東西南北合成は40kine×√2としました。

以上のことだけでも、最低限、国民に説明すべきでしょう。

またさらに、
◆全閣僚が委員の政府の中央防災会議の発表では、「新耐震」の建物でも「震度6弱から全壊が始まる」となっています。
  http://www.iau.jp/pdf/m-zenkairitukeisokushindo2.pdf (このグラフは中央防災会議+気象庁)

◆政府の地震調査委員会の発表では、その「震度6弱」以上の30年以内地震の発生確率が、関東・東海・近畿・四国地方の多くの市区町村で50%を超えています。
  http://www.iau.jp/pdf/m-JISHINCHOSAIINKAI01.pdf (政府の地震調査委員会からの資料)

◆実大実験の結果を見ても、
建築基準法通り(またそれ以上の)、木造、鉄骨造、RC造の建物が、実大実験で、震度6強の地震動で倒壊しています。
  http://www.iau.jp/m-taishinkijunkaitei.htm#13 (木造、鉄骨造、RC造の倒壊のまとめ)
木造に関しては、
★2004年に(財)建材試験センターが行った実大実験、現行の建築基準法通り(耐震等級1)の木造住宅が、震度6強の地震動(JMA神戸波 NS818gal、3方向100%加振)で倒壊しました。
  http://www.asahi.com/special/051118/TKY200611230297.html
  http://www.jtccm.or.jp/library/jtccm/news/kentikugakai/22003.pdf
★昨年2009年10月27日に(独)防災科学技術研究所などが行った実大実験、建築基準法の1.46倍の耐力で耐震等級3に近い木造住宅が、震度6強の地震動で倒壊しました。
  http://sumai.nikkei.co.jp/news/latestnews/index.cfm?i=2009102711008p2(日経新聞)
  http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/wmv/20091027.wmv (倒壊映像)

も補足されればと思います。「耐震基準」に関しての国民の論議のためには必要だと思います。

※速度単位、加速度単位につきまして、
速度単位 : kine=cm/秒、100kine=1m/秒
※加速度単位: gal=cm/秒2、981gal=1G(重力加速度)、400gal≒0.4G、1500gal≒1.5G
です。



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2.気になる問題 (建設会社・設計者の視点で)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以上のことを国民(施主)に説明したとしても、

現行の「耐震基準」の
「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」
  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10 (国交省)
の気象庁震度階は、1996年改訂前の旧震度階に基づくもので、

それを改めて、現行の気象庁震度階に基づけば、
「中規模の地震(震度5弱程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6弱程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」
となるでしょうが、

しかし、いまだ、国の「耐震基準」の震度階が訂正されていませんので、
震度6強で倒壊した場合、
国の「耐震基準」は「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」となっていますので、建設会社・設計者の責任(構造設計者は、建築確認申請時に「構造安全証明書」に押印させられている)にされる可能性があり、紛争になることは目に見えています。


以下、「全壊が始まる地震発生確率の驚異的上昇」に関してです。
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3.補足 全壊が始まる地震発生確率の驚異的上昇
  ※この項目のみ全員には送られていません。
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次に、建物の全壊が始まる震度6弱以上の地震の30年以内の発生確率が、日本の中枢地帯の関東・東海・近畿地方の400以上の市区町村で50%を超えてしまっているという大問題があります。
  http://www.iau.jp/pdf/m-JISHINCHOSAIINKAI01.pdf (政府地震調査委員会資料、50%以上市区町村)
東京都区内・横浜市・名古屋市・大阪市だけを取り出しても、
           2009年 2008年
 東京都大田区役所  67.93% 29.20% 
 東京都江戸川区役所 66.27% 30.94% 
 東京都葛飾区役所  64.31% 29.78% 
 東京都荒川区役所  63.55% 14.27% 
 東京都江東区役所  62.25% 40.17% 
 東京都足立区役所  61.75% 13.06% 
 東京都港区役所   61.32% 27.15% 
 東京都中央区役所  61.20% 24.76% 

 横浜市港北区役所  71.41% 30.48% 
 横浜市栄区役所   69.00% 15.85% 
 横浜市神奈川区役所 68.23% 29.62% 
 横浜市鶴見区役所  67.82% 32.82% 
 横浜市西区役所   67.66% 45.92% 
 横浜市役所     66.73% 32.87% 
 横浜市中区役所   66.73% 32.68% 
 横浜市南区役所   55.96% 32.88% 
 横浜市磯子区役所  55.22% 27.71% 

 名古屋市南区役所  88.11% 67.52% 
 名古屋市天白区役所 84.57% 44.74% 
 名古屋市中村区役所 82.78% 64.48% 
 名古屋市中川区役所 81.40% 48.92% 
 名古屋市港区役所  77.57% 53.46% 
 名古屋市西区役所  77.17% 58.03% 
 名古屋市北区役所  72.33% 55.52% 
 名古屋市熱田区役所 53.50% 47.36% 
 名古屋市緑区役所  50.67% 60.03% 
 名古屋市中区役所  50.01% 39.36% 

 大阪市平野区役所  68.79% 28.55% 
 大阪市鶴見区役所  68.61% 24.98% 
 大阪市城東区役所  68.56% 30.19% 
 大阪市都島区役所  68.52% 29.55% 
 大阪市東成区役所  68.06% 25.73% 
 大阪市旭区役所   65.80% 23.05% 
 大阪市東淀川区役所 64.60% 21.84% 
 大阪市住之江区役所 63.66% 26.75% 
 大阪市西区役所   60.89% 23.52% 
 大阪市役所     59.73% 23.04% 
 大阪市福島区役所  59.04% 22.33% 
 大阪市淀川区役所  57.65% 21.43% 
 大阪市大正区役所  56.87% 24.31% 
 大阪市西淀川区役所 56.14% 20.84% 
 大阪市港区役所   55.06% 23.21% 
 大阪市此花区役所  52.66% 22.00% 


となります。2008年に比べて2009年が驚異的に上昇をしています。まさに、非常事態といってよいものです。「耐震基準の重大問題」についての事実の公表と「耐震対策」は、急を要するということです。

■日本建築構造技術者協会会長への質問状(要旨)


社団法人日本建築構造技術者協会
会長殿

5月17日以降、連絡させて頂いております。
気になったことをご質問させていただきます。

1.国土交通省の「耐震基準」通りに、
 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10 (国交省)
「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」と施主に説明している構造設計者も多いと聞いておりますが、そのような場合に、「震度6強から震度7程度」の地震で倒壊した場合、日本建築構造技術者協会の会員を代表するお立場で、「影響が無い」と、お考えなのでしょうか。

2.また、この「耐震基準」の震度記述に関して、「間違い無し」「訂正不要」と、日本建築構造技術者協会の会員を代表するお立場で、考えておられるのでしょうか。

ご回答を頂ければと思います。

国民は、「耐震基準」に対する正しい情報を知らず、
建築基準法通りに建てれば、
「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」
と思い、
1日に住宅だけでも2000戸以上建て続けています。相当な投資額です。

この事態に対して、良識を疑いかねない、国民から見た場合、決して許されない不謹慎な発言も聞こえてきています。
こういう事態こそ、姉歯事件による社会的信頼を回復するために、日本建築構造技術者協会の会長として、「良識」を示される、最も良い機会だと思います。







(目次)




■はじめに




■耐震基準における重大問題の発生

 要約

 建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は、長期間にわたって震度6強?7程度とされてきたが、現行震度階(1996年気象庁震度階改定)では、震度6弱程度だったことが判明した


 ★1996年気象庁震度階改定による旧・新震度階の加速度比較
震度
5弱
5強
6弱
6強
震度階(gal)
25?80
80?250
250?400
400?
改定震度階(gal)※1
25?80
80?140
140?250
250?450
450?800
800?
改定震度階(gal)※2
  ?100
100?240
240?520
520?830
830?1500
1500?


         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0  80   250   400gal 



震度階
1996年以前


         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0  80 140 250    450      800gal



改定震度階
※1

5弱
5強
6弱
6強

         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0 100  240     520      830         
      1500gal 


改定震度階
※2

5弱
5強
6弱
6強


 損傷限界:建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界
 安全限界:建築物が倒壊・崩壊等しない限界

 ※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。
 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
 ※なお、グラフの色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定



 ★震度7の新旧震度階比較 (震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)
震度
加速度(gal)
速度(kine)
震度階
400?
40?
改定震度階※2
1500?
100?



 以上のように、1996年気象庁震度階の改定により、長年、300?400gal を、震度6強?7程度(旧震度階) としてきた建築基準法の「安全限界」は、1996年以降、震度6弱程度に引き下げられていた
 また、超高層建築物も、以下のように、「安全限界(レベル2)」は震度6弱程度である。

 ★超高層建築物の動的解析によく使用する地震動とその計測震度
 ※なお、震度の色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定


             (損傷限界)   (安全限界) 
            震度4?5弱   震度6弱 
   地動加速度:0gal 80?100gal    300?400gal程度 

  



基準法通り建物


 
無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■



 実際の地震でも、新耐震基準の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)している。



【1982年以降建物全壊率-計測震度/出典:中央防災会議+気象庁



 しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上が予測されている。また、その「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿地方の多くの市区町村で50%を超えた次章参照)。
 このような重大問題が発生している。


現行の耐震基準
実大実験において耐震等級1(建築基準法通り)・耐震等級2の建物が震度6強で倒壊
倒壊の原因
現行震度階では、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は震度6弱程度と判明
震度7の新旧震度階比較 (震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)
現行震度階での、損傷限界・安全限界に至る地震動の震度算出
損傷限界・安全限界に至る地震動の震度算出方法
実際の地震でも「震度6弱から全壊」=新耐震で全壊被害があった地震から
「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率驚異的上昇
変位の大きな地震の増加とその破壊力
【参考】 加速度(震度)が小さくて地震被害の大きい地震、加速度(震度)が大きくても地震被害の少ない地震
耐力として余裕があるか
「相互作用」で補完する説明にも限界
国の耐震基準の基本的考え方
【参考】 100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測 (4000gal観測も)
実効入力地震動からみても
震度を「速度」で換算して考えてみても
震度6強?震度7程度でも倒壊しないためには「耐震基準」を改定すべきである

【参考】 「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」について
【参考】 住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」等
【参考】「設計用地震力の評価」について/住宅局建築指導課監修「建築物の構造関係技術基準解説書」等から
【参考】 震度=加速度基準での混乱
【参考】 「気象庁震度階級関連解説表」の震度7解説の問題
【参考】 気象庁計測震度計算プログラムのローカットフィルターの問題点について
【参考】 周期1.6秒を超えると、震度7の地震動が、震度6強(6弱)にランクダウン
【参考】 中央防災会議の全壊率について (気象庁計測震度計算プログラムのローカットフィルター無考慮のため、全壊率は上がることになる)
【参考】 阪神・淡路大震災建物被害率について
【参考】 新耐震(1982年以降)の木造全壊率について (改定震度階でみると)
【参考】 「全壊」と「倒壊」について
【参考】 「耐震性不十分な戸数」について




■地震非常事態というべき状況

 要約

 建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は震度6弱程度だったことが判明した


 しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上(下地図の黄・橙・赤色地域)が予測されている。また、その「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿地方の多くの市区町村で50%を超えた(下表参照)。





30年以内で 震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる都道府県
(2009年基準での2008年との比較)
政府地震調査委員会
地方
都道府県
2009年
(県内最大値(役場))
2008年
(2009年同地点の値)
北海道
北海道
63.89%
20.21%
東北
宮城県
58.36%
 6.45%
関東
茨城県
78.13%
12.50%
埼玉県
65.39%
27.34%
千葉県
77.03%
17.85%
東京都
67.93%
29.20%
神奈川県
88.71%
73.41%
甲信
山梨県
89.88%
86.41%
長野県
60.31%
47.18%
東海
岐阜県
73.37%
29.68%
静岡県
96.44%
92.84%
愛知県
94.57%
85.46%
三重県
87.09%
73.37%
近畿
滋賀県
51.66%
 7.09%
京都府
61.40%
29.93%
大阪府
68.79%
28.55%
兵庫県
52.30%
26.28%
奈良県
73.63%
46.54%
和歌山県
86.80%
80.14%
四国
徳島県
68.93%
54.61%
香川県
54.33%
23.69%
愛媛県
65.00%
40.20%
高知県
65.09%
59.18%
九州
大分県
55.59%
 8.73%
宮崎県(参考)
49.27%
17.72%


※県内の県庁及び各市区町村役場(周辺)での最大地震発生確率で、県内の地域でこれ以上になる場合がある。 2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。
 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村)



この10年間での地震死亡者約75万人/自然災害死亡者のうちの約7割
頻発する地震
地震活動期
30年以内 震度6弱以上の地震発生確率の異常な高さ
政府中央防災会議の地震被害想定
東海地震 過去30年で最も危険な状態

【参考】 震度別地震回数表からの比較について




■100kine・1000gal以上多数観測の時代

 要約

 地震防災対策として、地震静穏期・活動期関係なく、本来は、
直下型地震対策
海溝型巨大地震対策
の両方を行う必要がある。

特に、地震活動期に入った場合は、「直下型地震対策」にもウェイトをおく必要がある。
というのは、下記のように、直下型地震は、海溝型地震に比べて、地表面加速度が大きいからである。1000gal以上(100kine以上)が多く観測されている

直下型地震を含めた地震防災対策を考えた場合、「震度6強?7程度」の加速度として、
内閣府防災部門 「地震被害想定支援マニュアル
震度6強と7の境界加速度の 1500gal は納得できるところである (なお、建築基準法の安全限界加速度は 300?400gal である)。


100kine以上・1000gal以上の地震動多数観測 (4000gal観測も)
全壊率の指標 ( 加速度+変位 ⇒ 「速度」)
「民間独自の耐震基準づくり」 (150kine 1500gal基準も)
土木においても建築の耐震基準の2倍 (C0=2.0相当)
防災対策=直下型地震+海溝型巨大地震対策




■大きな節目の年、耐震基準(安全・損傷限界)引上げへ

 要約

 現行の建築基準法通りの建物の「安全限界」は震度6弱程度であるから、「震度6弱」から危険水位、「震度6強」では「安全限界」を超え、(建築物が倒壊・崩壊等しないという)安全が保証されない状態になっている
 しかるに、政府地震調査委員会の発表では、「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率が驚異的上昇関東・東海・近畿の多くの市区町村で50%を超え、中央防災会議の発表では、関東・東海・近畿の広域で震度6強以上を予測している

 2010年は、市街地建築物法公布(1920年)から90年、建築基準法公布(1950年)から60年、新耐震基準施行(1981年)から来年で30年、阪神・淡路大震災(1995年)から15年と、大きな節目の年である。
 上記の「安全限界」の問題が連動するのは「標準せん断力係数=0.2」であり、その概念自体は、関東大震災直後の1924年の「市街地建築物法施行規則改正」以来一貫してきたもので、あと4年で90年となる。現在、国の水準から考えると、この「標準せん断力係数=0.2」を大幅にアップすべき段階にきている。そして、この改定は、地震列島日本にとって、有史以来の、地震被害根絶という「悲願」達成につながるものにすべきである。

【現行耐震基準における耐震等級+新耐震等級の比較】


            震度4?5弱  震度6弱 
   地動加速度:0gal 80?100gal   300?400gal程度 

  


耐震・制震住宅
(耐震等級1)
 
無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■


            震度5弱        震度6弱?6強 
   地動加速度:0gal  100?125gal     375?500gal程度

 


耐震・制震住宅
(耐震等級2)
 
無損傷
小?大破
壊に至る
能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■


            震度5弱           震度6強 
   地動加速度:0gal  120?150gal       450?600gal程度

 


耐震・制震住宅
(耐震等級3)
 
無損傷
小?大破
壊に至る
能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■


             震度5弱?5強        震度6強 
   地動加速度:0gal   140?175gal        525?700gal程度

 


耐震・制震住宅
(新耐震等級4)
 
無損傷
小?大破
壊に至る
能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■


              震度5弱?5強          震度6強 
   地動加速度:0gal    160?200gal         600?800gal程度

 


耐震・制震住宅
(新耐震等級5)
 
無損傷
小?大破
壊に至る
能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■


                                                            震度7 
   地動加速度:0gal                                             約2400gal
 

免震住宅
(良い免震)
上部構造:耐震等級1

無損傷
損傷の
可能性


大きな節目の年
現行の建築基準法の損傷限界・安全限界について
震度6強?震度7程度でも倒壊しないための「耐震基準」改定の目安
安全限界・損傷限界の引上げへ
耐震基準引上げの機会は今しか無い
「暫定措置」案
地震静穏期と地震活動期の建築基準法

【参考】 標準せん断力係数C0=0.2について
【参考】地震活動期の建築基準法の耐震基準案




■有史以来の「悲願」達成、夢の実現へ

 要約

 有史以来の「悲願」達成と言った場合、地震によって二度と壊滅的にならない国づくり、さらに進んで地震被害を0にする国づくりである。

 江戸時代以降をみても、
 1703年元禄地震(関東地震)M7.9?8.2、1707年宝永地震(東海・東南海・南海地震)M8.6 が、繁栄を極めた元禄文化を終わらせ、
 弘化・嘉永・安政年間の大地震の連続、すなわち、1854年11月4日安政東海地震M8.4、1854年11月5日安政南海地震M8.4、1855年10月2日安政江戸地震M7.0?7.1 など、1847年善光寺地震M7.4 から1859年までの13年間に及ぶ地震の連続が、徳川幕府の終末を早めさせ、
 1923年の関東大震災M7.9 が大正デモクラシーを終焉させ、第二次世界大戦に至るまでその国家的大負債を解消できなかったという歴史がある。
 この歴史的繰り返しに今こそストップをかけなければいけない。

 未だに政府中央防災会議の地震被害想定発表のたびに、数万人の死者、100万棟近い全壊棟数が新聞紙面に踊っているのは、世界で1・2位を争う先進国としては、「国民の命を守るための政治」を国政の基本としている国としては、まことに恥ずかしい話である。
 それを脱却できる、地震被害を0にできる技術をもちながら実行に移さないのは、極めて怠慢と世界からそしられてもおかしくない話である。
 今こそ、このタイミングに、地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成を目標に掲げ、第二の建国といってもよい歴史的大事業を実行すべきであろう。
 そして、この大事業のおかげで、25?30年間は、建設ラッシュとなり、大きな内需拡大につながり、現在の経済不況から脱出できるだけでなく、25?30年間という持続的経済成長が見込める。

★有史以来の「悲願」である「地震に強い日本」の実現、歴史的大事業
 この事業は、地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成であり、第二の建国といってもよい歴史的大事業になる。有史以来の、この国の夢の実現である。
 そして、我が国は「地震被害を0にできる技術」をすでに持っている。

★過去最大にして非常に長期間にわたる「経済成長政策」
 耐震性アップを行わねばならないその戸数が、既存建物5000万戸以上という、あまりに多い戸数のために、非常に長期間にわたる。「国民の命」と直結する問題ゆえに、最優先的に行わねばならない。そのため、過去最大にして非常に長期間にわたり、成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよいものである。

★建設、未曾有の事態から、現在最も待ち望まれている経済政策
 国土交通省が2010年1月に発表した建築着工統計によると、2009年の新設住宅着工戸数は前年比27.9%減の78万8410戸となった。1968年に100万戸を超えてから初めての100万戸割れであり、45年前の水準にまで落ち込んでいる。まさに未曾有の事態であり、今現在においても、最も求められている経済政策といってもよい。


国家にとって必要不可欠な基盤づくり、「国民の命を守る」基盤づくり
第二の建国/日本の再生/地震被害を根絶する国づくり
未曾有の建設ラッシュが25?30年続く、持続的経済成長
有史以来の「悲願」達成
地震被害を0にできる技術
日本復活のために




■姉歯事件以降の問題・混乱も解決へ

 要約

 今回の話は、実は姉歯事件から始まっている。
 建築基準法の半分の耐力で、なぜ「震度5強で倒壊の恐れがある」のかという疑問から始まっている。
 そして、今回の問題の大きさは、姉歯事件など比ではなかった。
 姉歯事件さえも、この問題の中で起こったといっても良い。
 そのため、これを解決しなければ、現在の建築全体に起こっている未曾有の危機も解決しない。
 というより、これを解決すれば、現在の起こっている大問題も解決するだけでなく、この国の有史以来の「悲願」も実現するのである。


姉歯事件の問題
建築全体が瀕死の状態から、建築文化の再生・復活へ
創作的時間の回復/国全体の建築・都市の文化的豊かさへ

【参考】「最高裁が震度6強以上の地震で倒壊・崩壊する恐れ」について




■最後に、歴史から見て、足元フリー構法について

 要約

 現行の建築基準法の耐震基準 (安全限界の地震動入力加速度 300?400gal に耐えられる構造) のままで、震度6強?7の地震でも倒壊しない方法があるとするなら、それは「足元フリー構法」である。

 歴史を見ると、1920年以前には、そのことは知られていたようである。

 日本列島のように大地震多発地帯で、特に地震活動期に入った場合、「足元固定(緊結)構法=耐震構法」、すなわち、「地震力の頭打しない構法」は、不経済なだけでなく危険でもある。
 地震入力の頭打ち効果」「地震応答低減効果」のある「足元フリー構法」が、地震列島日本が、長い歳月の末にようやくたどり着いた、最終的な構法である。建築基準法の想定以上の地震でも「倒壊・全壊」を防げる可能性のあるものである。現状の耐震基準における重大問題の発生から、耐震基準引上げを考えた場合、特に地震活動期に入り、地震の加速度が観測される度に上がっている状況からも、非常に着目すべき構法である。
 そして現代の「免震」はその発展形である。建物の「倒壊・崩壊防止」はいうまでもないが、より大きな地震での「無損傷」をめざした構法である。

 
地震入力
上階応答
大地震動時※
足元
フリー
プレ免震の時代
頭打ち
1倍に近づく
(免震時)
大地震動を超えても
「崩壊・倒壊」防止も
足元
固定
耐震の時代
際限なく入る
戸建:1.5?3倍
高層:数倍  
大地震動を超えると
「倒壊・崩壊」可能性
足元
フリー
免震の時代
頭打ち
(100gal以下も)
約1倍
(免震時)
無損傷
          ※建築基準法上の「最大級の地震動」で、建物への入力加速度300?400gal程度
            建築基準法通りの耐震基準の建物の場合。




 普通の日本造り家屋は、弱小なる地震動のときは、土台石より辷り動かさるゝこと無ければ、地面に固定せるが如くに振動すれども、 大地震となりて震動激烈なるときは、水平地震力強くして、木造家屋の下底と土台石との間に存する摩軋に超過することあるべく、斯かる場合には家屋は土台石より離れて多少移動すべく、即ち実際に地震の激動の幾分を遮断するの効果あるなり、木造家屋は、その柱が挫折する事なければ、決して全体として転倒せざれば、少しく注意して構造するに於ては、如何なる大地震に際するも倒るゝこと無かるべきなり、明治二十四年の濃尾地震、同二十七年の庄内地震の如き、大地震の震央地にても、存立せる農家ありき


現行の耐震基準(地震入力 300?400gal)のままでよい方法、足元フリー構法
足元フリー/固定での「建築構造歴史」
「足元フリー構法」と「安全限界加速度=300?400gal」との整合性
中村達太郎 曽禰達蔵 片山東熊 辰野金吾著「木造日本風住家改良構造仕様」1896年
大森房吉著「臺灣地震調査」震災豫防調査會報告1906年
「足元フリー」と「足元固定(緊結)」の比較
「プレ免震」と「免震」の比較

【参考】 足元フリー/固定での、建築構造の歴史
【参考】 足元フリー構法について
【参考】 足元フリー構法に関する重要文献での記載内容





■はじめに

 この政策提言の実行によって、有史以来の、日本の「悲願」である「地震に強い日本」が実現し、30年程度という長期間にわたる持続的成長が可能になる。成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよい。また、我が国が最も世界から求められている政策でもある。

 このようなことを実行しなければならないのは、耐震基準における重大問題が発生したからである。

 建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は、長期間にわたって震度6強?7程度とされてきたが、現行震度階(1996年気象庁震度階改定)では、震度6弱程度だったことが判明した
 しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上が予測されている。またその「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿の多くの市区町村で50%を超えた

 2010年は、市街地建築物法公布(1920年)から90年、建築基準法公布(1950年)から60年、新耐震基準施行(1981年)から来年で30年、阪神・淡路大震災(1995年)から15年と、大きな節目の年である。
 上記の「安全限界」の問題が連動するのは標準せん断力係数=0.2であり、この耐震基準自体は、関東大震災直後の1924年の「市街地建築物法施行規則改正」以来一貫してきたもので、あと4年で90年となる。現在、国の水準から考えると、大きく見直すべき時期にきている。
 この問題の解決は、地震列島日本にとって、地震被害の根絶という、有史以来の「悲願」達成となる。

★過去最大にして 非常に長期間にわたる「経済成長政策」
 耐震性アップを行わねばならないその戸数が、既存建物5000万戸以上という、あまりに多い戸数のために、非常に長期間にわたるが、「国民の命」と直結する問題ゆえに、最優先的に行わねばならない。そのため、過去最大にして非常に長期間にわたり、成熟期の最後に残された最大の「経済成長政策」といってもよいものである。
 法的、税制上の優遇、誘導策を講ずれば、30年程度と長期間にわたり持続的経済成長が遂げられる政策になる。その期間は、戦後復興期以上のものとなる。
 住宅は内需拡大の最大のものである。非常に裾野が広い。
 まだこの国には家計部門の金融資産1452兆円(2010年3月末)があり(蓄えがある段階にやらねば手遅れになる)、それが世に出まわりはじめれば、経済活性化のきっかけになる。
 そして、30年程度という長期間にわたる持続的経済成長が見込めるので、将来に対する不安を一掃でき、これをきっかけにして本格的経済成長が始まる。

★有史以来の「悲願」である「地震に強い日本」の実現、歴史的大事業
 地震被害を根絶する国づくりという、有史以来の「悲願」達成であり、第二の建国といってもよい歴史的大事業になる。有史以来の、この国の夢の実現である。
 そして、我が国は「地震被害を0にできる技術」をすでに持っている。

★世界の国々から最も求められている大事業
 この「地震に強い日本」へと向かう大事業は、我が国が世界経済の重要な役割を担っているため、世界経済の安定という視点からも、世界の国々から最も求められているものである。
 そして、これは、次の日本の発展ために、生活基盤だけでなく、「地震に強い」産業基盤の整備になる。

★建設、未曾有の事態から、現在最も待ち望まれている経済政策
 国土交通省が2010年1月に発表した建築着工統計によると、2009年の新設住宅着工戸数は前年比27.9%減の78万戸台となった。1968年に100万戸を超えてから初めての100万戸割れであり、45年前の水準にまで落ち込んでいる。また、国土交通省の2010年度の建設投資の見通しも、1977年度以来の、33年ぶりの低水準としている。まさに未曾有の事態である。
 そのため、この経済政策は、今現在において、最も待ち望まれている経済政策といってもよいものである。

 そして、その問題を解決する技術もすでに完成している。
 機は熟した。あとは実行あるのみである。


【地震被害を0にできる技術】


 以下の耐震と免震の比較(2階建て戸建住宅の場合)でわかるように、
 「耐震」は、地震入力の大きさに従い、際限なく地震力が入り、2階・屋根(R)階の応答加速度はさらに増幅する。
 「免震」は、「地震入力の頭打ち効果」「地震応答低減効果」の2重の低減効果が得られ、地震入力の大きさによらず、1階・2階・屋根(R)階の応答加速度は、ほぼ一定値が得られる。「免震」の方が、断然有利である。
 ⇒ 詳細参照


             震度4?5弱   震度6弱 
   地動加速度:0gal  80?100gal    300?400gal程度 

 

耐震建物
(基準法通り)
(足元固定) 

無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■
(地震力が際限なく入る)■■■■■■■■


           震度4?5弱※4  震度6弱※4
   地動加速度:0gal 80?100gal※1 300?400gal程度※1

 


足元フリー建物
(プレ免震)
摩擦係数0.3?0.4
無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
免震スタートして倒壊・崩壊免れる可能性も
(地震入力の頭打ち効果・地震応答低減効果)


                                                                震度7 
   地動加速度:0gal                                                 約2400gal

 

免震建物
(良い免震)
上部構造:耐震等級1

無損傷
損傷の
可能性


地震入力
上階応答
大地震動時※
足元
固定
耐震
際限なく入る
戸建:1.5?3倍
高層:数倍  
大地震動を超えると
「倒壊・崩壊」可能性
足元
フリー
プレ免震
頭打ち
1倍に近づく
(免震時)
大地震動を超えても
「崩壊・倒壊」防止も
免震
頭打ち
(100gal以下も)
約1倍
(免震時)
無損傷




 以上のことは、
 現在の「建築基準法」の前身である「市街地建築物法」(1920年)成立期までの下記文献、
中村達太郎 曽禰達蔵 片山東熊 辰野金吾著「木造日本風住家改良構造仕様」1896年
大森房吉著「臺灣地震調査」震災豫防調査會報告1906年
を見ると、
ある一定以上の地震力では、「足元フリー構法 」しか方法がないことを
日本最大の直下型地震である濃尾地震M8(1891年)と同時代の、大森房吉、中村達太郎、曽禰達蔵、片山東熊、辰野金吾たちは知っていた(辰野金吾は東京駅設計者、片山東熊は赤坂離宮設計者、曽禰達蔵は丸の内の三菱オフィス街の設計者であり、日本を代表する建築家達であり、大森房吉は日本の地震学の父と言われている)。

 しかし、濃尾地震を直接には知らない、次の世代から、現在の建築仕様の「足元固定(緊結)」が始まり、1920年の市街地建築物法で、まず大都市に、そして1950年の建築基準法で、全国に「足元固定(緊結)」が適用された。
  しかし、その市街地建築物法施行直後の関東大震災以降は、東海地方?関東地方が地震静穏期に入ったので、それほど問題にならなかった。

 しかし、現在の、直下型地震の頻発、地震活動期への移行を考えると、 今回のタイミングを逸してならない。
 大地震が迫るこのタイミングに、「足元フリー構法」を考慮した、建築基準法の耐震基準と耐震仕様の大改定をすべきである。






■耐震基準における重大問題の発生

 要約

 建築基準法通りの建物が、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は、長期間にわたって震度6強?7程度とされてきたが、現行震度階(1996年気象庁震度階改定)では、震度6弱程度だったことが判明した


 ★1996年気象庁震度階改定による旧・新震度階の加速度比較
震度
5弱
5強
6弱
6強
震度階(gal)
25?80
80?250
250?400
400?
改定震度階(gal)※1
25?80
80?140
140?250
250?450
450?800
800?
改定震度階(gal)※2
  ?100
100?240
240?520
520?830
830?1500
1500?


         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0  80   250   400gal 



震度階
1996年以前


         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0  80 140 250    450      800gal



改定震度階
※1

5弱
5強
6弱
6強

         損傷限界     安全限界
            ▼          ▼
  地動加速度  0 100  240     520      830         
      1500gal 


改定震度階
※2

5弱
5強
6弱
6強


 損傷限界:建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界
 安全限界:建築物が倒壊・崩壊等しない限界

 ※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。
 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
 ※なお、グラフの色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定



 ★震度7の新旧震度階比較 (震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)
震度
加速度(gal)
速度(kine)
震度階
400?
40?
改定震度階※2
1500?
100?



 以上のように、1996年気象庁震度階の改定により、長年、300?400gal を、震度6強?7程度(旧震度階) としてきた建築基準法の「安全限界」は、1996年以降、震度6弱程度に引き下げられていた
 また、超高層建築物も、以下のように、「安全限界(レベル2)」は震度6弱程度である。

 ★超高層建築物の動的解析によく使用する地震動とその計測震度
 ※なお、震度の色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定


             (損傷限界)   (安全限界) 
            震度4?5弱   震度6弱 
   地動加速度:0gal 80?100gal    300?400gal程度 

  



基準法通り建物


 
無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■



 実際の地震でも、新耐震基準の建物が、震度6弱から全壊(下記グラフ参照)している。



【1982年以降建物全壊率-計測震度/出典:中央防災会議+気象庁



 しかるに、中央防災会議の発表では、東海地震だけでなく、東南海地震、南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震でも、広域で震度6弱以上が予測されている。また、その「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率も、昨年の政府地震調査委員会の発表で驚異的に上昇し、関東・東海・近畿地方の多くの市区町村で50%を超えた次章参照)。
 このような重大問題が発生している。



■現行の耐震基準

 現行の建築基準法の耐震基準(新耐震基準)は昭和56年6月から適用され、以下の通りである。

中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず
極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない

ことを目標としている。 ⇒ 国土交通省のQ&A



■実大実験において耐震等級1(建築基準法通り)・2の建物が震度6強で倒壊

 以上のように、現行建築基準法の耐震基準では、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としているが、耐震等級1(建築基準法通り)・耐震等級2の建物が、「震度6強」地震動を使った実物大実験で、倒壊した。それも、2009年10月27日に(独)防災科学技術研究所などが行った実物大実験では、耐震等級3に近い、建築基準法の1.44倍の耐力をもつ木造住宅が、震度6強で倒壊した。

木造

★耐震等級1の木造が実験で倒壊
 2004年に、(財)建材試験センターが行った実大実験において、現行の建築基準法通りの木造住宅が、震度6強の地震動(JMA神戸波 NS818gal、3方向100%加振)で倒壊した。
 同実験の論文(2005年日本建築学会大会発表論文 講演番号22003)にも、「建築基準法や品確法の等級1を満たした建物であっても、(中略)兵庫県南部地震のような大地震時に倒壊する危険性を有していることがわかった。 」と記載されている。 → 朝日新聞記事 2006年11月24日

★耐震等級2の木造も実験で倒壊
 2009年10月27日に(独)防災科学技術研究所などが行った、耐震等級2で建築基準法の1.46倍の耐力をもつ木造住宅が、震度6強の地震動で倒壊した。 → 神戸新聞記事 実験説明 倒壊ビデオ 3階建て木造軸組構法の設計法検証事業の報告



鉄骨造

★基準法通りの鉄骨が実験で倒壊
 2007年9月に(独)防災科学技術研究所が、実大4階建鉄骨造建物の震動台実験を実施した。 試験体は、現行の建築基準法で定められる最低限の安全性を満足するよう設計され、鉄骨の構造骨組だけでなく、コンクリートの床・軽量コンクリートの外壁・アルミサッシ・ガラス窓・石膏ボードの間仕切壁・天井など、非構造体と呼ばれる部材も含めて、建物としての主要な要素を全て再現した((独)防災科学技術研究所の説明)。震度6強の地震動で倒壊した(倒壊ビデオ、倒壊保護措置付)。



鉄筋コンクリート造

★基準法通りの鉄筋コンクリート造が実験で倒壊
 2006年1月に(独)防災科学技術研究所が、実大6層鉄筋コンクリート建物の震動台実験を実施した。 試験体は、縦12m、横17m、高さ16mの6層構造で、70年代のやや古い設計であるが、ただし、建築基準法の現行規定を概ね満足するレベルのものである。震度6強(JMA Kobe波)の地震動で倒壊した(実験説明 倒壊ビデオ、倒壊保護措置付)。



 以上のように、建築基準法通り、もしくはそれ以上の設計での、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造が、ことごとく、震度6強の地震動で倒壊した。



■倒壊の原因

 1996年に、気象庁が、前年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の現地調査の結果を見て、震度7の説明文の内容とほぼ一致するように※a、すなわち、家屋の倒壊が30%以上になるように※a2、震度6と7との境界加速度(400gal)を大きく引き上げる震度階改定を行った(800?1500gal※b)。 ⇒ 説明
 その時点で(それ以降も)耐震基準の改定を行わなかったので、
 現行の「耐震基準」の「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じない」と完全に矛盾することになってしまった。

 【気象庁の震度階改定

 
震度6-7境界加速度
震度7の家屋倒壊率※a2
建築基準法の対応
1949年当初


400gal※c

1948年福井地震
の被災状況から※a2
30%以上
1981年の建築基準法改正で、在来木造の必要壁量を、1950年頃当時の約2倍に上げている。このことの辻褄が合う。
1996年改定


800gal※b

1995年兵庫県南部地震
の被災状況から※a
30%以上




※a 「震度を知る?基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:?ぎょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)の212頁、「兵庫県南部地震の現地調査の結果、(中略)震度7を計測震度6.5以上と定義すれば、対応する現象が現在の震度7の説明文の内容とほぼ一致すると考えられる。」と記載。

※a2 「対応する現象が現在の震度7の説明文の内容」については、同書「震度を知る?基礎知識とその活用」の8頁、「昭和24(1949)年?平成8(1996年)地震津波業務規則 別表第4付表」の「階級?」の説明「激震。家屋の倒壊が30パーセント以上に及び」とある。

※b 800galといっても、800galが数秒間継続という条件がつくので、実質の加速度は大きくなり、内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」では、震度6強と7の境界加速度を1500gal程度となる。

※c 宇佐美龍夫編著「地震工学」市谷出版社14頁 表1・1 気象庁震度階級表「気象庁震度階級(1949)」に記載。 杉山英男著「地震と木造住宅」丸善 1996年 194頁 「1949年(中略)改訂当初は各震度に相当する加速度が記載されていた」と記載。




■現行震度階では、倒壊等の被害を生じない「安全限界」は震度6弱程度と判明

 現行建築基準法の耐震基準の「安全限界」では、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としているにも関わらず、耐震等級1・2の建物、それも耐震等級3に近い建物が、震度6強で倒壊した理由は、以上のように、1996年に気象庁が、1949年以来約50年ぶりに震度階を大改定していたからである
 以下に、1996年改定以前と改定後の比較を示す。

震度階(1991年までの時期、目安として明記)】
 震度4:25?80gal、震度5:80?250gal、震度6:250?400gal、震度7:400gal以上

改定震度階(1996年改定、周期約0.6秒※Bで下記加速度が数秒間継続した場合)】
 震度4:25?80gal、震度5弱:80?140gal、震度5強:140?250gal、震度6弱:250?450gal、震度6強:450?800gal、震度7:800gal以上(この値をめざしたフィルター設計のため誤差がある※C気象庁「震度と加速度」図3参照)

 このように、1996年の震度階改定で、阪神・淡路大震災での被害状況も勘案し震度6と7の境界加速度が400galから2倍の800galに引上げられているが、但し、800galといっても、800galが数秒間継続という条件がつくので、実質の加速度は大きくなり、内閣府の「地震被害想定支援マニュアル」では、震度6強と7の境界加速度を1500gal程度(下記表参照)としており、3.75倍程度に引上げられている

※「震度を知る?基礎知識とその活用」(監修:気象庁、発行:?ぎょうせい、平成8年9月30日初版発行、平成9年4月15日第3版発行)212頁。

 【内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より】

震度
5弱
5強
6弱
6強
最大速度(kine)
4?10
10?20
20?40
40?60
60?100
100?
最大加速度(gal)
        100       240        520       830  1100  1500




 加速度と震度階を整理すると以下のようになる。

震度
5弱
5強
6弱
6強
震度階(gal)
25?80
80?250
250?400
400?
改定震度階(gal)※1
25?80
80?140
140?250
250?450
450?800
800?
改定震度階(gal)※2
  ?100
100?240
240?520
520?830
830?1500
1500?


 ※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。
 ※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。

 そのため、長年、300?400galを、震度6強?7程度※Aとしてきた建築基準法の「安全限界」は、1996年以降では、震度6弱程度に引き下げられていたのである。なお「安全限界」とは、建築物が倒壊・崩壊等しない限界のことで、これを超えると倒壊・崩壊が始まる。



          損傷限界     安全限界
             ▼          ▼
  地動加速度  0  80   250   400gal 



震度階
1996年以前


          損傷限界     安全限界
             ▼          ▼
  地動加速度  0  80 140 250    450       800gal



改定震度階
※1

5弱
5強
6弱
6強


          損傷限界     安全限界
             ▼          ▼
  地動加速度  0 100  240     520       830         
       1500gal 



改定震度階
※2

5弱
5強
6弱
6強





損傷限界:建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界
安全限界:建築物が倒壊・崩壊等しない限界

※1 周期約0.6秒で数秒間継続した場合の加速度。そのため、実際の加速度は、※2のように大きくなる。
※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。
※なお、グラフの色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定




■震度7の新旧震度階比較 (震度7:倒壊等が生じない「安全限界」の本来の基準震度)

 現行建築基準法の耐震基準の「安全限界」では、「震度6強から震度7程度に対しても、倒壊等の被害を生じないことを目標」としている。以下に、震度7の、気象庁震度階1996年改定以前と改定後の比較を示す。

 【震度7の新旧比較

震度
加速度(gal)
速度(kine)
震度階※1
400?
40?
改定震度階※2
1500?
100?


※1 速度は、下記説明   の通り、基準となる周期Tは、T≒0.6秒であり、ω=2π/T≒10 なので、加速度の1/10が速度となる。
※2 内閣府「地震被害想定支援マニュアル」より。


 この差は非常に大きく、後述のような「建物と地盤の相互作用」で埋められるものでは無い



■現行震度階での、損傷限界・安全限界に至る地震動の震度算出

 ここで建築基準法の「損傷限界」また「安全限界」の震度を詳細に検討してみる。
 「損傷限界」とは、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じない限界のことであり、これを超えると、建物の損傷が始まり、「安全限界」とは、前述の通り、建築物が倒壊・崩壊等しない限界のことで、これを超えると、倒壊・崩壊が始まる、というものである(下記、2007年版国土交通省住宅局建築指導課監修『建築物の構造関係技術基準解説書』53頁)。

 2007年版の国土交通省住宅局建築指導課監修『建築物の構造関係技術基準解説書』では、
安全限界」に対応する「最大級の(極めて稀に発生する)地震動」に関しては、従来記載されていた「震度6強?7程度」の記載が抹消(49頁2001年版の48頁には「震度6強?7程度」と記載)されており、「標準せん断力係数1.0以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」となっており、時刻歴応答解析から逆算して求めるしか方法がなくなった。
損傷限界」に対応する「中程度の(稀に発生する)地震動」に関しても、同様で、従来記載されていた「震度5強程度」の記載が抹消(49頁2001年版の48頁には「震度5強程度」と記載)されており、「標準せん断力係数0.2以上又はこれに相当する加速度応答スペクトルに基づく地震力」となっており、時刻歴応答解析から逆算して求めるしか方法がなくなった。

 そこで、時刻歴応答解析を行った結果、固有周期0.15秒?0.8秒減衰定数5%の範囲に入る一般建物では、以下の通りであり、やはり、「安全限界」は、震度6弱程度であった

建物に最不利入力時=安全側
損傷限界」(標準せん断力係数0.2)に至る「中程度の地震動」: 震度4?5弱  (計測震度3.9?4.5)
安全限界」(標準せん断力係数1.0)に至る「最大級の地震動」: 震度5強?6弱(計測震度5.4?5.9)

建物に最有利入力時=危険側
損傷限界」(標準せん断力係数0.2)に至る「中程度の地震動」: 震度4?5弱  (計測震度4.3?4.7)
安全限界」(標準せん断力係数1.0)に至る「最大級の地震動」: 震度6弱?6強(計測震度5.7?6.1)

 ここで、
建物に最不利入力時=安全側」とは、建物が耐えられる地震力が計算上最も小さくなる(安全側の)場合で、建物のXまたはY方向の水平1成分のみ地震入力した場合である。
建物に最有利入力時=危険側」とは、建物が耐えられる地震力が計算上最も大きくなる(危険側の)場合である。 すなわち、同じ大きさの地震力を水平2成分で入力想定の場合で、そのため基準法上、XY方向別々計算のため入力加速度を上記「最不利入力時」に比べ1.41倍大きくでき、加えて、上下動入力も想定のため(基準法上計算しないので)上下動入力加速度分を大きくできる場合である。 上下動は水平2成分合成1G時に0.3G(平12建告2009号水準)となるような比率で地震継続全時間での入力を想定した。 なお、構造計算ではこのような「危険側」となる計算は許されていない

 耐震等級1・2・3ごとの「安全限界」「損傷限界」の震度算出は、下記の震度算出方法を参照。

 さらに、「超高層建築物」に関しての設計用地震動の震度も、以下に示す。
 「建築物が倒壊、崩壊等しないこと」を要求(平成12年告示第1461号)されている「極めて稀に発生する地震動」(=レベル2)は、すなわち、「安全限界」は、同様に、震度6弱程度である。 ⇒ 【参考】「民間独自の耐震基準づくり」(150kine 1500gal基準も)

 【超高層建築物の動的解析によく使用する地震動とその計測震度】

 ※なお、震度の色は中央防災会議の被害想定の震度分布図に合わせた。⇒「政府中央防災会議の地震被害想定


 以上のことから、「建築基準法通りの建物」を、大略イメージ化すれば、以下のとおりである。
・「無損傷」と「小?大破壊に至る可能性」の境界加速度:「80?100gal」、
・「小?大破壊に至る可能性」と「倒壊・崩壊の可能性」の境界加速度:「300?400gal程度」
は、『2007年度版 建築物の構造関係技術基準解説書』『1997年度版 建築物の構造規定』(国土交通省(建設省)住宅局建築指導課他監修)に記載の「最大級の地震動(大地震動)=300?400gal」「中地震動=80?100gal」に則っている。また、震度は、上述の通りである。


             (損傷限界)   (安全限界) 
            震度4?5弱   震度6弱 
   地動加速度:0gal  80?100gal    300?400gal程度 

  



基準法通り建物


 
無損傷
小?大
至る
破壊に
可能性
   
倒壊・崩壊の可能性■■■■■■■■





■損傷限界・安全限界に至る地震動の震度算出方法

 最後に、上述の損傷限界・安全限界※Cに至る地震動の震度の算出方法を説明する。
?建物は、固有周期 0.15秒、0.3秒、0.6秒、0.8秒、減衰定数 5%の範囲のものとし、1質点モデルとした。
?模擬地震波(建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号、平成12年建設省告示1457号の加速度応答スペクトルに基づく)を、工学的基盤、第1種地盤、第2種地盤ごとに、10波(ランダム位相)ずつ作成した。
?上記地盤ごとに作成した10波ごとに、どの程度の増幅(低減)率の地震波が、建物応答で
・損傷限界(C0=0.2 ⇒196.2gal)、
・安全限界(C0=1.0 ⇒981gal)
に至るかを時刻歴応答解析で求めた。
?その地震波ごとに、その解析結果から計測震度、震度を求めた。
?以上の計算を、建物にとって「安全側」と「危険側」の2つの場合について行った。

詳細結果は、下記から参照可能である。 耐震等級2・3の場合も掲載している。

建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号に基づく地震力×1.0 倍(耐震等級1)の場合 [PDF形式:55kb]
建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号に基づく地震力×1.25倍(耐震等級2)の場合 [PDF形式:55kb]
建築基準法施行令第88条、第82条の5第三・五号に基づく地震力×1.5 倍(耐震等級3)の場合 [PDF形式:55kb]



【ここまでの共通の※】

※A 「約300gal?400gal程度で、震度6強?7程度」の記載について
・1997年版の建設省住宅局建築指導課等監修「建築物の構造規定」においても、従来通り「約300galから400gal程度で、気象庁震度階の震度6強?7程度」(17頁)と記載。 ⇒ 【参考】 1997年版「建築物の構造規定」
・2001年版の国土交通省住宅局建築指導課等編集「建築物の構造関係技術基準解説書」でも、「極めて稀に発生する荷重・外力」として「震度6強?7程度」(48頁) と記載。 ⇒ 【参考】 2001年版「建築物の構造関係技術基準解説書」


※B 新耐震(1981年)では、80galで 8kine(一次設計)、400galで 40kine(ニ次設計)が設計用入力地震動の基準的なもので、ω=10 であり T=2π/ω≒0.6秒 となる。 この設計用入力地震動の周期と合致するので、「目安として」は妥当なものと考えられる。
新耐震(1981年)においては、80galで 8kine(一次設計)、400galで 40kine(ニ次設計)が設計用入力地震動という記載に関しては、
・渡部丹著「設計用入力地震動強さとそのレベルの設定?確率論から考えても」37-3、145頁、公共建築、1995年
・渡部丹著「設計用模擬地震動に関する研究」 建築研究報告No.92,March1981,建設省建築研究所
を参照。
この周期0.6秒を例に挙げたのは、旧震度階との継続性を維持した周期(約0.6秒)に着目するのが、わかりやすいためである。 さらに言えば、旧震度階では、震度6と7の境界加速度(400gal)は、「河角の式(I=2×log(a)+0.7)」に基づいておらず、1996年震度階改定時に、河角の式(最終的には定数項が違う修正式)に基づいた結果、旧と新の震度階の、震度6と7の境界加速度に大きなずれが生じた


※C フィルター設計と「河角の式(I=2×log(a)+0.7)/河角の修正式(I=2×log(a)+0.94)」の定数 07、0.94 について、少し詳しく説明する。
気象庁「震度と加速度」図3グラフについては、気象庁にヒアリングして同グラフを作成した。
グラフの作成手順は、
(1)震度階毎の計測震度の境界値から、河角の修正式で加速度を算出
(2)周期毎に、計測震度算出で使用する、ハイカットフィルター、ローカットフィルター、周期の効果を表すフィルターによる低減値をそれぞれ算出し、それらを乗じて低減係数を算出
(3)(1)と(2)を乗じて、各震度階に対応する加速度を周期毎に算出し、グラフを作成
となる。
旧震度階算出方法と、現行の震度階算出方法との関係を調べるため、加速度a[gal]について河角の式で算出した震度と、加速度b[gal]について河角の修正式で算出した震度が等しいとすると、
I=2×log(a)+0.7=2×log(b)+0.94
が成り立つ。 これより log(a/b)=0.12であり、a/b≒1.318となる。
つまり、現行の震度階算出方法で旧震度階算出方法と同じ震度を得るには、加速度に b/a≒1/1.318=0.759倍の差がある。
ここで、上記グラフで周期0.588秒(上記グラフエクセル中の「表」参照)のところを見ると、3種類のフィルターによる低減係数が0.759となっており、このように、周期約0.6秒付近(0.588秒)で、旧震度階算出方法と、現行の震度階算出方法とが一致するように、フィルター設計していることが分かる。


※D 「安全限界」の地震動の震度算出方法の動的解析に関して
住宅局建築指導課等監修「建築物の構造規定(1997年版)」の説明によると、

8.2.5 保有水平耐力 (1)保有水平耐力と必要保有水平耐力
 (前略、以下、140頁記載)
この尺度として考えられるものが、以下に示す考え方である。大きな地震動を受けた場合の建築物の挙動についてはN.M.Newmarkの研究以来一般に次のことが認められている。完全弾塑性復元力特性をもつ一質点系構造物が地震動を受けた場合、弾塑性応答と弾性応答との関係は地震による入力エネルギーが同量であるため図8.2-5に示す力?変形曲線の囲む面積が同じになる。
 これを建築物の耐震性とあわせて考えれば次のようになる。建築物が地震により崩壊しないためには、地震動に対して構造体が弾性状態にとどまるか、塑性状態に入っても構造体の抵抗力が急激に減ずることなく変形し得る必要があるということになる。
 つまり、図8.2-5で与えられる面積は地震時に建築物に入力し得るエネルギーの大きさを表すことになる。このように考えて、図8.2-5のOAのような力?変形関係をもつ建築物と、OCDのような力?変形関係をもつ建築物の耐震性が△OABと□(台形)OCDEの面積が等しければ同じであると評価するのである。
 建築物に要求すべき最終的な水平方向の抵抗力を必要保有水平耐力というとき、図8.2-5に示されるA点の耐力がQudで表される。その大きさは、弾性応答1Gの水平力である。

以上から、「安全限界」の、応答1Gの水平力(加速度)計算も、弾性応答を行うということである。
(要するに、「弾塑性応答」で計算すれば、1Gまで応答値は達しないが、「ねばり」を期待できるので、エネルギー的に等価になるように「弾性応答」で換算すれば、1G相当になるという考え方である。)




■実際の地震でも「震度6弱から全壊」=新耐震で全壊被害があった地震から

 2003年7月26日宮城県北部の地震以降に、1982年以降の木造(「新耐震」)の全壊被害があった地域の観測点での地震動を下表に掲載する。震度6弱から全壊が始まっている


【新耐震で全壊被害があった最近の地震動】

 加速度以外の速度、変位のデータが無いものは、時刻歴データを公表していないためである。
 全壊棟数の出典は、気象庁「震度に関する検討会 報告書」(平成21年3月)の第1章

 さらに、上記の2003年7月26日宮城県北部の地震以降の地震被害と、1995年兵庫県南部地震の西宮市での地震被害とを足し合わせて、「新耐震木造全壊率と計測震度との関係」を下図に掲載する。
 震度6弱から全壊が始まっているのが、より明瞭になる。

 震度階級と計測震度との関係は以下の通りである。
 震度6弱:計測震度5.5?6.0  震度6強:計測震度6.0?6.5  震度7:計測震度6.5?


【1982年以降建物全壊率-計測震度 】

青▲は1995 年兵庫県南部地震の西宮市のプロット、
黒●▲は、平成15年の宮城県北部の地震、平成16年(2004 年)新潟県中越地震、平成17年の福岡県西方沖の地震、平成19年(2007 年)能登半島地震、平成19年(2007 年)新潟県中越沖地震、平成20年(2008 年)岩手・宮城内陸地震、平成20年の岩手県沿岸北部の地震

出典は、気象庁「震度に関する検討会 報告書」(平成21年3月) 第1章の 1 - 22頁 震度階級と計測震度との関係:波形記録有無含む全データは第3回検討会資料2-2 20頁より



■「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率驚異的上昇

 しかるに、以下の章で述べるように、昨年の政府地震調査委員会の発表では、「震度6弱以上の地震」の30年以内発生確率が驚異的に上昇し、関東・東海・近畿の多くの市区町村で50%を超えている(下表参照)。
 中央防災会議の発表でも、東海地震、東南海地震、南海地震、首都直下地震の発生確率は、30年以内に60?70%、50年以内90%である(東海地震はすぐに来てもおかしくない状況)。且つ、関東・東海・近畿の広域で震度6弱以上を予測している(下地図の黄・橙・赤色地域)。
 以上のように、現行の建築基準法通りの建物の「安全限界」は震度6弱程度であるから、「震度6弱」から危険水位、「震度6強」では、「安全限界」を超えており(建築物が倒壊・崩壊しないという)安全が保証されない状態になっている




30年以内で 震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる都道府県
(2009年基準での2008年との比較)
政府地震調査委員会
地方
都道府県
2009年
(県内最大値(役場))
2008年
(2009年同地点の値)
北海道
北海道
63.89%
20.21%
東北
宮城県
58.36%
 6.45%
関東
茨城県
78.13%
12.50%
埼玉県
65.39%
27.34%
千葉県
77.03%
17.85%
東京都
67.93%
29.20%
神奈川県
88.71%
73.41%
甲信
山梨県
89.88%
86.41%
長野県
60.31%
47.18%
東海
岐阜県
73.37%
29.68%
静岡県
96.44%
92.84%
愛知県
94.57%
85.46%
三重県
87.09%
73.37%
近畿
滋賀県
51.66%
 7.09%
京都府
61.40%
29.93%
大阪府
68.79%
28.55%
兵庫県
52.30%
26.28%
奈良県
73.63%
46.54%
和歌山県
86.80%
80.14%
四国
徳島県
68.93%
54.61%
香川県
54.33%
23.69%
愛媛県
65.00%
40.20%
高知県
65.09%
59.18%
九州
大分県
55.59%
 8.73%
宮崎県(参考)
49.27%
17.72%


※県内の県庁及び各市区町村役場(周辺)での最大地震発生確率で、県内の地域でこれ以上になる場合がある。 2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。
 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村)



30年以内で 震度6弱以上の地震に見舞われる確率が50%以上となる4大都市(役場単位)
(2009年基準での2008年との比較)
政府地震調査委員会
4大都市
場所
2009年
2008年
東京都区内 大田区役所
67.93%
29.20%
  江戸川区役所
66.27%
30.94%
  葛飾区役所
64.31%
29.78%
  荒川区役所
63.55%
14.27%
  江東区役所
62.25%
40.17%
  足立区役所
61.75%
13.06%
  港区役所
61.32%
27.15%
  中央区役所
61.20%
24.76%
横浜市 港北区役所
71.41%
30.48%
  栄区役所
69.00%
15.85%
  神奈川区役所
68.23%
29.62%
  鶴見区役所
67.82%
32.82%
  西区役所
67.66%
45.92%
  横浜市役所
66.73%
32.87%
  中区役所
66.73%
32.68%
  南区役所
55.96%
32.88%
  磯子区役所
55.22%
27.71%
名古屋 南区役所
88.11%
67.52%
  天白区役所
84.57%
44.74%
  中村区役所
82.78%
64.48%
  中川区役所
81.40%
48.92%
  港区役所
77.57%
53.46%
  西区役所
77.17%
58.03%
  北区役所
72.33%
55.52%
  熱田区役所
53.50%
47.36%
  緑区役所
50.67%
60.03%
  中区役所
50.01%
39.36%
大阪市 平野区役所
68.79%
28.55%
  鶴見区役所
68.61%
24.98%
  城東区役所
68.56%
30.19%
  都島区役所
68.52%
29.55%
  東成区役所
68.06%
25.73%
  旭区役所
65.80%
23.05%
  東淀川区役所
64.60%
21.84%
  住之江区役所
63.66%
26.75%
  西区役所
60.89%
23.52%
  大阪市役所
59.73%
23.04%
  福島区役所
59.04%
22.33%
  淀川区役所
57.65%
21.43%
  大正区役所
56.87%
24.31%
  西淀川区役所
56.14%
20.84%
  港区役所
55.06%
23.21%
  此花区役所
52.66%
22.00%


※各市区役場(周辺)での最大地震発生確率で、市区内の地域でこれ以上になる場合がある。 2008年の値は、2009年に最大地震発生確率となる同役場での値である。
 ⇒ 詳細(地震発生確率50%を超える各市区町村)

 

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