学校の2学期制

■茨城県牛久市 学校の2学期制について

 この「学校2学期制」というテーマについては、私自身もインターネットやレポートの中で取り上げ、皆様に様々なご意見を頂いていましたので、現に実施している先進市の生の声を聞くことができるということで大変楽しみにしていました。

 目的や制度のしくみについては、現在豊田市で行われていたり、来年度から高浜市において行うものと同じでありました。すなわち、平成14年度に打ち出された新たな学習指導要領に謳われている「ゆとりある教育活動を展開する中で、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実すること」「各学校が創意工夫を生かし特色ある教育、特色ある学校づくりを進めること」を主な目的として、4月から10月の体育の日前までを1学期、それ以降を2学期にするというものです。

そして具体的に「ゆとり」を生み出すために・・・

  1. 教師の事務的な仕事量を軽減する

    • 2学期制により通知票を作る時間、行事の準備、会議などの見直しをする

  2. 学期を長いスパンにしてカリキュラムを調整できる時間的ゆとりを作る

    • 体験の充実などを目安に単元の重点化を図る

  3. 行事やテストの見直しをして授業時間を増やす

    • 2学期制によるテストの削減や7月と12月の学期末授業等を通して授業時間数を増やす

  4. 長期休業日を学びの連続としてとらえる

    • 行事を長期休業日に位置づける

    • 学校図書館を開放する

    • 総合的な学習の時間の相談日をもうける

  5. 長期休業日に教師が実質的な勤務ができるようにする

    • 児童生徒の学習や生活相談の設定

    • 長期休業日の児童生徒それぞれの課題の支援

    • 評価、評定の準備

などの取り組みを行っているとのことでした。これまで私が捉えていた2学期制の主な目的は上記の(3)でありました。しかしこれを実施したとしても、学校完全週5日制に伴う授業時間の不足を決して補えるものではありません。しかし、今回の説明の中で判ったことは、2学期制はむしろ上記の(4)(5)に意義があるということです。すなわち夏休みが、1学期が終わっての息抜きとしてのご褒美の期間ではなく、1学期の中に組み込まれて、夏休みにやったことが1学期の成績の中に反映される学びの連続時間として捉えられることです。しかし、そのことは本当に「子どもにとってよりよい制度か」という視点に立っているかというと少し疑問になります。なぜならば、担当者の説明の中でこういった発言がありました。「土曜日が休みになったことで、教師はこれまでのように夏休みに長期の休暇を代休として取ることができずに、夏休み期間中も出勤しなくてはならなくなった。そして、学校に出勤した以上価値ある仕事をしなければならない」つまり、教師の側の都合で「夏休みを学びの連続の場」にしようとしていないかという点です。

 今回の視察で改めて強く感じたこと・・・学校2学期制の議論は、平成14年度から始まった学校完全週5日制により、「授業時間の不足→学力の低下」といった現象が背景にあると思います。その穴埋めを学校行事の削減や、夏休み中の中途半端な学びに求めるのではなく、たとえば月1回でも土曜日に半日だけ授業を行えば、年間48時間の授業時間数増加となります。そういった形での対処の方が子ども達にとっても教師にとっても無理がないと思います。私達の子ども時代、土曜日に半日で帰れることがどれくらい嬉しかったか。