地盤条件と強震動・液状化の危険性

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 地震波の伝わる速度は岩石・地層の硬さによって決まり、軟らかい地層では硬い岩盤に比べ1/30程度にも遅くなります.地下岩盤から伝わってくる地震波は地表の軟弱地層中で速度を大きく低下させるので、引き続き到達してくる波がこの地層中にいわば詰め込まれ重なり合うような状態が生じて、地震の揺れが強くなります.

軟らかい地層の代表的なものに沖積層が挙げられます.これは河流や海流が運んだ砂や泥からなり、堆積して間もないので(最大で1.8万年程度)、まだ締まっていなくて軟弱です.河川の低地はこの沖積層からなります.その厚さはその河が氷河期に陸地を削りこんだ深さによってほぼ決まります.


震動の増幅には共振現象によるものもあります.物体はすべて、地層も建物も非常に揺れやすい固有の周期を持っています.地震波にはいろいろな周期の波が重なっていますが、
0.5?1.0秒ほどの波が最も多いのが通常です.厚い砂泥質の沖積層の固有周期はほぼこれに一致するので、共振により震動が大きく増幅されます.

地震の揺れの強さは、最大加速度、最大速度、気象庁の震度などで表されます.最大加速度でみてみると、硬い岩盤よりなる山地に比べ沖積層よりなる河川・海岸の低地では
2倍程度(震度では1?1.5大)に、かなり締まった砂質層よりなる洪積台地では1.5倍程度(震度では0.5程度大)になっています.1923年関東地震のときの東京における家屋倒壊率から推定される震度は、武蔵野台地(稲敷台地と同じローム台地)で5強程度、沖積層の厚い荒川低地中央部では6強?7という違いがありました

龍ケ崎南部の低地には厚さ30mを超える沖積層が分布します(図3).これは氷河期に鬼怒川が削り込んだ谷を埋めた地層です.橋や道路などの大きな構造物の建造にあたっては、軟弱な沖積層の厚さが30m以上を最も悪い第3種地盤に分類して耐震設計を行っています.

地層の構成はボーリングにより調べられますが、一般にボーリングの数は少なくまた偏って分布しているので、地形なども手がかりにして推定します.地層の硬さや締まりの程度を示す値にN値があり、これによって地盤の良し悪しなどを簡易に判定できます.この値は地層を抜き取るサンプラーを一定深さ打ち込むのに要する打撃回数で、0は打ち込む必要のないほど軟弱であることなどを示します(図4)

牛久沼の南方には、N値がおよそ5未満の地層が厚さ30mを超えるというボーリングが多数あります.沖積層の底面は氷河期の河床面であり凹凸はあまりないはずなので、沖積層厚30mの等深線は龍ケ崎南部から小貝川を越えて藤代方面に連続していると推定されます.埋没谷の中心はほぼ低地中央部を通っており、その深さは最大で40m以上です.

関東鉄道龍ケ崎線のあたりから台地際までの間には地下に卓状の地形いわゆる埋没段丘が存在し、沖積層は薄くなっています.龍ケ崎中心市街はこの埋没地形の境界付近にあります.台地際には表層が有機質土である非常に軟弱な地層が分布しており、台地際は河川の堆積作用から取り残されて沼沢地が多数出現したと考えられます.表層が非常に軟弱なところも最も悪い第3種地盤に分類されます.

台地内の谷底の沖積層は厚さ数m程度で、砂質・泥質とさまざまであり、局地的に泥炭のような有機質土が分布します.台地面の表層にはN値が10未満のかなり軟らかいローム層と常総粘土層が厚さ数mあり、関東平野以外の他地域の洪積台地に比べ地震時の震度を少し大きくしています.

液状化の可能性のある砂質層は、低地内の全域にわたって多かれ少なかれ分布します.一般に自然堤防は砂質ですが、この地域の自然堤防の規模は小さくて特に砂質というわけではありません.1987年の千葉県東方沖地震では、15kmほど離れた東町や利根川対岸の千葉県側低地で液状化が生じています.

液状化は地下水で隙間が満たされた締まりの緩い(N値がほぼ10未満の)砂の層で生じます.締まりが緩いと砂粒子はお互いに角を突っ張りあって全体を支えています.地震により繰り返し揺すられるとこの突っ張りあいがはずれ、圧力を高めた水の中に砂粒子が浮いた状態になります.これが液状化です.圧力を高めた水が砂と共に地上に噴き出すと、地層の中身が抜け出たたことになり亀裂・陥没・流動などの地盤変形が生じます.

大火災や津波がない場合、地震による死者の大部分は建物の倒壊により生じほとんど即死の状態です.火災も建物の倒壊によって起こります.住む家が存在するか否かは地震後の生活に決定的な影響を与えます.被災者の救援・収容対策にも大きく影響します.地盤条件に応じて建物を耐震的にし壊れないようにすることが地震対策の基本です.

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