■漆工史


これは発掘当時は、原形を維持したるも自然乾燥に従い攣曲したり折損してある。或はまた竹材を網代編みにしたる直径50㎜位の小鉢にアスファルト下地して赤漆を塗った藍胎漆器もある。或は土器に漆を塗ったもの現今の陶胎漆器の先駆をなしている。これは恐らく土器の吸水性を予防したものであろう。この外に使い残りの漆液が土器の中に乾固したるものあり、その状態は全く漆乾燥の特徴を示している。赤漆ほ水銀朱と酸化鉄の二種ある。なお泥炭層中に粟と胡桃(くるみ)は原形のまま固着して一塊となり炭化したるものおよび人骨も発見された。これ等の発掘品は是川村中居に二階建土蔵造の陳列館に全部文化財として保管陳列されてある。