西村浩平

 桐朋学園音楽高校のフルート科を卒業した西川浩平氏は、小澤征爾率いる新日本フィルハーモニーの一員、フルート奏者として、世界の大きな舞台を踏みました。1970年代のことです。

しかし音楽家の人生はそんなに簡単でまっすぐではないらしく、西川浩平氏はフルートを演奏しながら世界的に活躍する中に、楽器の奏でる音の中にふともう一つのノスタルジーに目覚めていったようです。邦楽。同じ笛でも日本の横笛です。

1980年には、日本音楽集団という現代邦楽グループに入団し、ヨーロッパ公演で今度は横笛の音を広めていきました。歌舞伎との共演も果たし、海外の大きな交響楽団と共演も。フルートといえば管楽器なのに、どうして木管の横笛の音に結びついていったのでしょうね。

今では自分のグループ「ニシカワ・アンサンブル」を率いていて、そのメンバーの故郷カナダやアメリカを中心に、熟年の渋さを和楽器の音に乗せて広めています。共演は東西の音楽が出会うよい機会になっているのですね。

西川浩平 和笛コンサートより(YOUTUBE-jp)

A Fish of Indigo Blue for Shinobue, Sou & Piano

Composition: Naoto Omasa大政直人
Shinnobue(篠笛): Kouhei Nishikawa西川浩平
Sou(十三絃筝): Keiko Miyakoshi宮越圭子、Piano: Hideko Nara奈良英子
Painting & Gold lacquer by Shibata Zeshin柴田是真
Shibata Zeshin (柴田 是真 March 15, 1807 — July 13, 1891) was a famous and revolutionary Japanese painter and lacquerer of the late Edo period and early Meiji era.

笛「龍笛」~伝統音楽デジタルライブラリー


西川浩平氏は日本を代表するフルート奏者として、20世紀後半を駆けていました。ところが運命の悪戯というのか、年齢とともに脂がのってきて、演奏 が円熟味を増してきた頃、世界を股にかけて演奏活動をしていたフルートを和楽器に持ち替えるという、一見不思議な行動に出たというところでしょうか。西川 浩平氏自身、年齢とともに洋風の酒と肴から和風の組み合わせがなつかしくなるという表現で、その気持ちを表しています。
同じ吹奏の楽器でも、フルートから横笛へ。しかもそれまでのキャリアを活かして、オーケストラとの共演を手がけています。海外の有名な楽団と東西の調べを合わせる試みは、大きな関心を持って世界中の音楽家たちから熱い視線を浴びています。
和楽器である横笛、あの小さくとてもシンプルな形をした楽器が、こんな大きな楽団をバックに信じられないような生きた音を響かせるなんて、日本伝統の音楽文化はまだまだ健在。そんな気持ちにさせてくれる現代の音楽家です。
伝統芸能と仕事

音楽に限らず伝統芸能を支えるのは職人の業と呼ばれるものです。大量生産のきかない、一つひとつ長年積み上げてきた技術と勘で、二つとないものを作 り出していく。ボタンを押したりラインに入れば流れてくるという次元ではないこの種の物づくりは、ちょっと勘が狂えばもう作れないという、ぎりぎりの線で ものを作り続けていく世界です。

こんな世界に就職口ってあるんでしょうか。答えは、あります。ただし、入社試験を受けて、合格したらスーツ姿で出勤できるという世界ではありません。服も体も汚れながら、コツコツと積み上げていく徒弟制度的な習熟の世界というのでしょうか。先輩の達人たちから教えてもらう、あるいは、自分から進んで教えを請いにいく、そんなひたむきな世界です。けれども将来有望な世界でもあります。

後を継ぐ若い世代の少ない世界だけに、一人でも多くの人が志願していくと、その奥の深さを惜しみなく開いて見せてもらえます。珍しい就職口でしょうけど、続ける勇気のある人は、おすすめの世界です。
第47回KEKコンサート「西川浩平 和笛コンサート」開催のお知らせ

2013年10月10日

KEKでは、職員や来訪研究者への文化福祉活動の一つとして、内外で活躍されているプロの演奏家をお招きしてKEKコンサートを開催し、平成15年度からは地域の方々との交流促進のためこれを入場無料で公開しております。

47回目となる今回は、「西川浩平 和笛コンサート-東洋からの風・西洋からの波-」と題して、横笛奏者の西川浩平さんと、ピアニストの奈良英子さ んをお招きして開催するもので、「祭りだ・わっしょい」、日本歌曲「五木の子守唄、浜辺の歌」、シューベルト「即興曲」、シューマン「蝶々」、林光「ソナ タ」、他の演奏を西川さんの説明も交えながら楽しんでいただきます。