指導要領「公共」「歴史総合」必修で新設
■指導要領「公共」「歴史総合」必修で新設 高校改定案
▶︎22年度から55科目中27科目が新設・見直しの大幅改定
文部科学省は14日、2022年度の新入生から実施する高校の学習指導要領の改定案を公表した。憲法や領土問題を扱い、主権者教育に力を入れる「公共」や、近現代の日本史と世界史を学ぶ「歴史総合」を必修科目として新設するなど、55科目中27科目が新設または内容が見直される大幅改定となる。大学入試センター試験に代わって20年度から実施される大学入学共通テストを見据え、知識だけでなく思考力の育成を重視した内容へと転換する。
高校の指導要領の改定は09年3月以来9年ぶり。記述の分量は現行の1・5倍程度になる。文科省は「育成すべき能力別に教科の目標や内容を整理し直したためで、学ぶ内容そのものは大きく増えていない」と説明する。
新共通テストでも問われる思考力、判断力、表現力を養い、社会や日常の課題を解決するプロセスを学ぶため、全ての科目で討論や発表を通じた「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)による授業改善を進める。昨年告示された小中学校の指導要領でも同様の授業改善が掲げられており、小中高と一貫性を持たせる。
公共は「公民」の1科目として新設され、現行の「現代社会」と「政治・経済」の一部の内容を引き継ぐ。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて重要度が増す主権者教育に力を入れるほか、日本の安全保障や国家主権など現代社会の課題を多角的に考察し、解決する力を育成する。
歴史総合は「地理歴史」の1科目として設けられ、18世紀以降の世界と日本の動向を関連付けて学ぶ。現行は世界史が必修科目、日本史が選択科目だが、改定案では通史を扱う発展的な「世界史探究」「日本史探究」が選択科目になっており、履修しない生徒は近現代以外の歴史を学ばない。
このほか小中と同様、道徳教育推進教師を中心に全教員が道徳教育に関わるよう新たに規定。教科としての道徳は設けないが、公共と「倫理」「特別活動」が指導の場面になるとした。文科省は意見公募を経て3月中に次期指導要領を告示する。
高校学習指導要領改定案のポイント
・必修科目「公共」「歴史総合」を新設
・主権者教育や領土問題の指導を強化
・思考力、判断力、表現力の育成を重視
・「主体的・対話的で深い学び」による授業改善
・全教員が道徳教育を展開