■終活~法制度からみた老いに向けての準備~
【日程】 11月15日(水) 【時間】 16:30~18:30
【会場】 六中地区公民館 [講師] 大河原 清人(土浦公証役場公証人)
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■参考資料
■法制度からみた「終活〜老いに向けての準備」(レジュメ) 土浦公証役場 公証人 大河原清人
▶︎はじめに
▶︎相続
○法定相続人と相続分
配偶者(1/2)と子(1/2)
配偶者(2/3)と親(1/3)
配偶者(3/4)と兄弟姉妹(1/4)
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2
2 相続権のない者
(1)内縁関係にある者
(2)離婚した者・離縁した者
(3)認知されていない子(非嫡出子・婚外子)
(4)子の配偶者
(5)その他
3 相続に当たっての留意点
(1)「代襲相続」とは、相続人が相続開始以前に相続権を失った場合に、その直系卑属が代わって相続すること(887)。
(2)「遺留分」とは、法律上保障された最低限の相続可能な割合(直系尊属のみの場合:被相続人の財産の3分の1。それ以外の場合:被相続人の財産の2分の1)。遺産の保障分。配偶者と直系の相続人(父母、子、孫)に認められている(兄弟姉妹にはなし)(1028)。遺留分減殺請求は、被相続人が亡くなったことを知った日から1年以内に(1042)。
(3)「廃除」とは、遺留分を有する推定相続人から相続権を失わせること(892)。
(4)「相続欠格」とは、法律上、当然に相続資格を失うこと(891)。
(5)「放棄」とは、裁判所に相続の放棄を申し述べること(938)。3月以内に(915)。
(6)相続人がいないときは、最終的には、相続財産は国庫に帰属(959)。
4 まとめ
(1)相続人(誰が財産を相続するか)は、法律で決まっている。その範囲は、被相続人[自分(配偶者力ている場合には、配偶者を含む。)]を基準に考える。
(2)法律に定める相続分とは、物の特定でなく、単に割合にすぎない。
→ 誰が何を相続するかについては、相続人間で遺産分割協議が必要.。
第3 遺言
1 相続との違い
(1)遺言とは、被相続人(自分)の財産を「誰に」「何を」「いくら」残すかを被相続人(自分)が決めること。
(2)遺産分割の必要なし。
相続では、相続人全員による遺産分割協議の同意が必須。
2 遺言能力は、15歳以上
(1)遺言をする時においてその能力を有すること(行為能力の規定の適用はない。)。
(2)遺言者本人の意思が不可欠。代理によってはできない。
3 遺言をしておいた方がよいとされる場合
(1)相続人が多数の場合
(2)相続人の中に判断能力のない人がいる場合
(3)相続人の中に行方不明者がいる場合
(4)相続人間の感情的な対立が想定される場合
(5)遺言者との関与の程度に応じて相続分の調整を望む場合
(6)相続人以外に財産をあげたい場合
○内縁の妻や離婚した妻、認知した子に財産を残してやりたい。
○死亡した子の配偶者(例えば、嫁)に財産を残してやりたい。
○寄付したい。
(7)スムーズに遺産を引き継いでいきたい場合
4 遺言の種類・方式と各遺言の主なメリット・デメリット
(1)自筆証書遺言(968)
<一般的な例>
私は、次のとおり遺言する。
○ 妻乙に次の不動産を相続させる。
・所在 ・地番 ・地日 ・面積
○ 長女Aに00銀行△△支店の預貯金を相続させる。
○ 長男Bに本遺言に記載のないその他一切の財産を相させる。・・・等
※ 全文を自筆で記載し、作成年月日、氏名を自署(自筆)の上、印(実印が望ましい。)を押印する。その上で、封書に入れ、封緘(ふうかん)する。
※ 留意点(後に遺言が無効とならないように、法律に則り作成。)
※ 執行に当たっては家庭裁判所での検認手続が必要。
<メリット> 自分で簡単にいつでも作成できる。
<デメリット> 偽造されるおそれ、発見されないおそれがある。厳格な要式。
(2)公正証書遺言(969)
○ 証人2人以上の立会い。
○ 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授。
○ 公証人が、遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
○ 公証人の筆記が正確なことを承認し、各自が押印。遺言者の署名が困難な場合には、事由を付記し、公証人による代印、代書も可能。
○ 公証人の署名、押印が必要。
<メリット> 偽造・紛失の心配なし。公証役場で厳重に保管される。
<デメリット> 手数料がかかる。
(3)秘密証書遺言(970)
パソコンやワープロで作成も可能。ただし、氏名は「自筆」の上、印(実 印が望ましい。)を押印する。
その上で、封書に入れ、さらに遺言書に使用した印鑑により封緘。この封書を公証役場に持参し、公証人及び証人2人の面前で、遺言者の遺言であることを申述して、確認の上、関係者全員が署名、押印する。
※ 執行に当たっては家庭裁判所での検認手続が必要。
<メリット> 偽造の心配なし。ただし、遺言書は、遺言者自身が保管。
<デメリット> 手数料がかかる。
(4)特別の方式による遺言
○ 死亡の危急に迫った者の遺言(976)
○ 伝染病隔離者の遺言(977)
○ 在船者の遺言(978)
○ 船舶遭難者の遺言(979)
○ 外国に在る日本人の遺言の方式(984)
(5)遺言の効力発生時期
遺言者死亡時(985)
(6)遺言事項
○財産関係
○予備的遺言
○祭祀主宰者
○遺言執行者
○その他(認知等)
○付言事項
5 まとめ
(1)遺言は、法定相糸売に優先。ただし、遺留分に留意。
法律で決めている相続人や相続分は、遺言がない場合の救済措置。
(2)遺産分割協議が不要。遺産の継承がスムーズ。
第4 成年後見制度
1 法定後見
2 任意後見
(1)将来型
(2)即効型
(3)移行型(委任契約→任意後見契約)
第5 その他
1 死後事務委任契約
民653①との関係(最高裁平成4.9.22判決)
2 尊厳死宣言
3 その他
第6 おわりに
■資料